会えて嬉しい
街に向かうことを決め!私は木から飛び降りると。
そこには目を光らせている熊のような魔物がいた。
「……どうもー」
「グルアアアアア!」
熊は立ち上がり威嚇。私はすぐに逃げる!
こんな森のクマさんに出会ったら逃げるしかない! けどたしか熊って割と速く走るんじゃなかったっけ?
「やっぱ速い!」
クソ、ついてない!
私は全速力で走る。追いつかれるのも時間の問題だけど! こんなことなら素直に街中にしておくべきだったよ! 後悔先に立たないな!
「いきなりデスペナとか食らいたくねぇええええ!」
死に物狂いで私は突っ走る。
すると、街が見えてきた。私は熊に追われながら街へ目指す。すると、誰かがいるように見えた。
青い髪の女の子。頭には犬の耳が生えており、尻尾もある。そしてその顔は……。
「ミノル!」
「あ、シグレーーー!! 感動の再会だねっ!」
「今そんなこと言ってる場合じゃないっての! 逃げるよ!」
「へ?」
私はミノルの手を引っ張り突っ走る。
「ちょちょ、なになに!?」
「熊に追われてんの!」
「熊? うわーーー! ほんとだーーー! 可愛いーー!」
「可愛くない!」
馬鹿だやっぱこいつ!
街へ入ると、熊は諦めたのか急に止まりとぼとぼと帰っていく。
生き延びれた……。死ぬかと思った。
「はーー、災難だったねー」
「そうだな」
「それにしても、久しぶりの生身のシグレだあああ!」
「ちょ、人前で抱きつくな恥ずかしい」
私に抱きついてくるミノル。ミノルは距離感が近いからな……。こういうのも男子にたまにやるから勘違いさせるんだよ。
まったく。警戒心が薄いっていうかなんていうか。だけどまぁ、抱きつかれて悪い気持ちではない。
「久しぶりっ、ミノル」
「うんっ……!」
「青髪にしたんだ」
「こっちの方が可愛いっしょ? 青が今のブームだし!」
「ははっ、そうだな」
ミノルは嬉しそうに笑う。その笑顔が私は好きだ。ミノルも寂しかったのかな。私と会話できるとはいえ私はあくまでスマホの中に生きる少女だし。実体がない。
だからいつも会話しかしてこなかった。けれど今は触れられる。仮初の体だとしても、触れられるというのは安心するものだ。生きている証となる。
「ミノル、早速一緒に狩りにいこうよ! 私たち二人でさ!」
「いいよ。ところでミノルは種族……は一目でわかったけど武器は?」
「剣!」
「お、ちょうどバランスがいいね」
私は弓だ。後衛と近接でちょうどいい。メインはミノルでいいだろうね。
「じゃ、魔物狩りにしゅっぱーつ!」
「はしゃぎすぎるなよ」
「わかってるって!」
「ほんとかな……」
また再び私たちは門の外にでる。
ここはたぶんはじまりの街なので、そこまで強いモンスターはいないでしょ。初心者でも簡単に倒せるようなものになっているはず。
「シグレー! 後ろは任せたよーー! うちがんばっからーー!」
「大声で言わなくても聞こえてるっての……」
はしゃぎすぎだよ。