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翠雨なんて大嫌い

 ナゼオマエガココニイルノ。

 目の前には血走った目で私を見る翠雨の姿。私のスマホをつかみお姉ちゃんお姉ちゃんと連呼している。待って、超怖い。

 私はすぐに父さんの携帯に飛んだ。


「父さん」

「どうした?」

「助けて」

「……なるほど」


 父さんも事情を察していたらしい。

 翠雨がまたどっかいったのはわかっていたみたいだ。


「あの子の狂気的な時雨への愛情はどうにかならないものか……」

「あれ狂気的すぎるんだけど。また勝手に来てるんだけど」

「今迎えに行く。待っていてくれ。あと来栖さんのお詫びの品も……。ったくあのバカ娘……」


 と、父さんも呆れ顔だった。

 私は自分の携帯に戻りたいが、戻ったらあの血走った顔の翠雨と対面することになる。私はそれが恐怖でしかない。

 父さんは立ち上がり、車を手配していた。


「父さん、これからどこか行くんですか?」

「ちょっと翠雨を、な」

「……あのバカ」

「寒九。来るか?」

「あの妹のことは兄として謝らないと」

「の前に、ミノルの母さん、警察呼んだりしてないかな」

「……それは困る」

「……しょうがない」


 私は自分の携帯に戻ると、なにやら喧嘩していた。

 ミノルが翠雨につかみかかり、翠雨はミノルの髪をつかんでぎゃーぎゃーと喧嘩していたのだった。


「お前が、お姉ちゃんと私を引きはがしてっ!」

「シグレは渡さーーーーん!!」

「むきー!」

「うきー!」


 と、ベッドの上でつかみがかっての喧嘩だった。

 私は心の中でミノルを応援するが、もう夜だし、騒いでいると……。すると、階段を駆け上がってkるう音が聞こえてくる。

 そして、ゆっくりと扉が開かれた。


「あんたたち、なに騒いでいるの……?」

「あっ」

「このミノルさんに暴力を……」

「なっ……」

「べー」


 と、翠雨がミノルに罪を擦り付けた。

 ミノルの母さんはミノルにちょっと来いといって、ミノルは泣きじゃくって嫌だと伝えるが、無理やり連れていかれたのだった。

 そして、部屋の中には翠雨と私だけ取り残される。


「これで、二人っきり、だね?」

「…………」


 ムカつくな。

 私としてもミノルをああいう目にはさせたことがない。こいつ……。私が自分の体があればぶんなぐっているところだ。

 さすがにあんなの見せられて怒らないわけがない。


「離せよ」

「やだ」

「……てめぇ、私の友達になにしてくれてんだ?」

「えっ、あ、お、お姉ちゃん?」

「おまえなんか妹じゃない。どっか行けよ。二度と顔見せんな」


 私はそういうと、翠雨は私の入ってるスマホを優しく置いてうろたえる。

 言葉の暴力で殴るしかない。私ができる唯一の仕返しはそれぐらいだった。


「私が大好きとか気持ち悪いんだよ。私は今のお前は大嫌いだからどっか行けよ」

「ご、ごめんなさ……」

「ごめんなさい? 謝る気持ちがあるのなら態度で示せよ。ほら、下でミノルが叱られてるんだろ? それをまずどうにかしようって話にはならんのか? おい」

「た、ただちにっ」


 と、下に向かった。

 私はミノルの携帯に飛ぶ。ミノルは母さんにがみがみと叱られ、謝りにいかなきゃとまで言っていた。すると、翠雨が現れる。


「この度は私がミノルさんに暴力をふるってしまい……」

「あら、翠雨さん。うちのミノルが……」

「いえ、私が悪いんです。私のせいです。本当は私が最初……最初に手を出したから」


 と、つらつらと述べる。


「最初はミノルからだしたとミノルが言っているけれど……」

「ミノルさんはお優しいので私が最初に手を出したといわなかったんです」

「そうなの……」


 これは嘘だな。

 ミノル。お前……。ミノルはバカみたいに単調だから嘘なんて付けっこない。バカ真面目に本当のことを白状してしまったんだろう。


「この度は申し訳ありませんでした。軽率でした。どうか、貴殿の大事なご息女を傷つけてしまったこと、大変お詫び申し上げます」

「こちらこそ……。ミノルもあなたを傷つけてしまったわけですし……。こちらこそごめんなさいね」

「いえ……」

「ミノル。あんたも殴られたからって殴り返さないように。喧嘩することもあるけど、暴力に頼っちゃだめよ」

「……はーい」

「今日のところはこれでおわり。仲直りするようにね」


 そういって、ミノルは部屋に返されたのだった。


「どういうこと?」

「……お姉ちゃんに嫌われた」

「シグレが? シグレはうちのこと好きだからなー」


 と、ミノルがそういった。

 誰が好きだといったんだ。いついったんだこら。


「くっ……。悔しいけど認めざるを得ないでしょう。でもね! 私はまだお姉ちゃんを取り戻すことをあきらめませんよ! 今度は怒られないような、嫌われないような手段で取り戻しますとも! 高級ディナーで篭絡とか!」


 そういう方面でならまだいいんだけどさ。お前……必死だな。


「ディナー連れてってくれるの!?」

「まあいいでしょう。あなたでは普段いけないようなお店に招待いたしますよ」

「やったー!」

「お姉ちゃんを取り戻すためならなんだってしますからね」

「でも嫌われたんでしょ?」

「あれです。お姉ちゃんは素直じゃないので口では嫌いとか言っても本当は好きなんです」

「わかる! シグレ素直じゃないよねー!」


 あれだ。こいつらには私の暴言が通じないな。








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