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シスコン

 私はフルハチの防具店に戻る。

 ちょっと遅くなってしまったが、ベルルはきちんと待ってくれていたようだった。私は素材をカウンターの上に置く。


「お、ありがとよ。結構集めてきてくれたな。それで遅かったのか?」

「いや、ほかのパーティの戦闘に巻き込まれた」

「戦闘に?」

「火の鳥っていうボス戦に巻き込まれた」


 まぁ、レベルも上がったし言うことはほとんどないんだけどよ。


『火の鳥? フェニックス!』

「フルハチ、これで作ってくれるか?」

「オーケー。ま、ちょっと時間かかるし待って……明日でいいか? もう夜遅いだろ」

「そうだね」


 私はベルルに明日になると告げると、もう夜遅いからねといってログアウトするーといっていた。火の鳥戦でだいぶ時間を食ってしまったからな。

 ベルルがログアウトして、私は再び一人になる。


「さて、カイワレまだログインしてるっぽいしカイワレのところで夜食でも」


 私はカイワレの店に向かうのだった。

 カイワレの店の前につき、中に入った時だった。


「お兄ちゃん! もう寝なよ! 明日も大学あるんでしょ!?」

「必要な単位とったし明日はサボるんだよ……」


 と、なんか女の子に詰め寄られていた。

 お兄ちゃんという言葉からして妹さん。でも似てないな。なんて思いながら見ていると、その妹さんが私に気づいたのだった。


「あ、いらっしゃい。お兄ちゃんの店にお客さんですか? すいません、もう……」

「ああ、シグレさん。どうしたんだ?」

「夜食食おうと思ってきたんだけど……。お取込み中なら失礼するよ」

「気にすんなよ! さ、なに食う?」

「辛いもの」


 私は椅子に座ったのだった。


「え、お兄ちゃん知り合い? か、彼女さん?」

「彼女に見える?」

「う、うん……。も、もしかして男性の方だったりします? 中性的な見た目で……その」

「いや、女性だっての。ま、彼女じゃないよ。現実で面識ないし」

「そ、そうなんですか」

「フレンドってだけだよ。第一、この人電脳アバターだしな」

「あれ、電脳アバターってこと言ったっけ?」

「前にそんな会話しなかったか?」


 した記憶がないが。

 

「この店にこの時間帯に来るのはーとか」

「あー、したな」


 昼飯時にきてこの時間帯に来る人は電脳アバターが多いと。


「でもあの情報だけで電脳アバターとはいえなくないか?」

「はは。ほとんど憶測だよ。でも、やっぱそうなんだな……。あのテロだよな」

「そう。誰にも気づいてもらえなくて。体が……」

「やめろよその話。その先を聞いたらなんかグロテスク……」

「人の死体をグロテスクとか言うなよ」


 まぁ、餓死状態で体が骨のように痩せて見つかったっていう話だけど。まじで想像するとちょっとグロテスクだな。


「お兄ちゃん! その話は……」

「電脳アバターであることは気にしてないよ。死んじゃったのも家庭環境のせいだけどその環境も今は修復してるし。地雷ではないよ」

「だってよ」

「むー。この人がいいからって!」

「はいはい。わあったよ。ごめんな。口うるさい妹で」

「お兄ちゃんが大好きな証拠だろ」

「なっ……」


 私がそういうと、妹さんは顔を真っ赤にしていた。図星か。


「お兄ちゃんが大好きだからちゃんと過ごしてほしいんだもんな」

「ホノルルカか昔からお兄ちゃんっこだもんなー」

「ホノルルカってのは妹さんの名前?」

「そ。プレイヤーネーム」

「へぇ。可愛い名前してんじゃん」

「だろ? まぁ、本名をもじった程度の名前なんだけどな。そこも愛くるしいっていうか」

「カイワレも十分シスコンだろ」

「あっはっは。妹のことが大嫌いな兄なんていねえだろ?」


 シスコンというのは認めるんだ。

 ちょっとこの関係羨ましい。私の妹はシスコン通り越して……。その、狂気なんだよな。ちょっとあれには最近会ってないから今ちょっと会うのはまずいかもしれない。

 そう思っていると、ミノルからメッセージが届く。


『早急にログアウトして』


 と。

 いったい何なんだ。と思いながら私はカイワレに悪いといいながらログアウトするというと、しゃあねえなといい、奥の部屋使っていいからログアウトしろよという。

 私は奥の部屋に向かい、鍵をかけてログアウトしてみる。


「ミノル、なんだ、よ?」

「ふふ、ふふふふ……。お姉ちゃん……。やっと、会えた、ね」

「ぴぎゃあああああああ!?」


 目の前にはなぜか翠雨が立っていた。








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