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母の難病

 ミノルたちは学校に向かい、私は一人ゲームをすることにした。

 平日の昼間からゲームというのは学生なら考えられないことだが、私はあいにく死んだ身であるので学業とかは関係ない。

 ゲームがいつでもできるのは楽だ。


「さて、依頼をどんどんこなしていくとしようか」


 始まりの街の依頼をこなして、次のエリアに行くために頑張ろう。

 次のエリアが解放されるのはいつごろかはわからないけれど。キークエストのようなものがあるんじゃないだろうかと踏んではいる。

 なにか次のエリアにつながるクエストがあって……。とか。


「っと、雨か」

  

 雨が降ってきた。

 ぽつぽつと降ってきたのが次第に大きい音になっていく。私は建物内に避難しようとすると、なにやら女の子が雨の中ただただ突っ立っているのが見えた。


「お嬢ちゃん。雨降ってるけど中に入らないの?」

「え? ああ、いや……」


 と、少しきょどる。


「困りごとがあるんなら力になるよ。レッドムーンとしてね」

「レッドムーン……?」

「私が入ってるグループ名さ。ほら、言ってみなよ。私で解決できる鳴らしてやるよ」

「……実は、お母さんが死にそうなんです!」


 と、泣き出した。

 話を聞くと、お母さんは重度の病気であり、特効薬に必要な薬の材料が足りないということ。材料はというと、雨の日にしか咲かない花の花弁。場所はレインオルトの丘というあの龍がいる住処だという。そこには誰も近づけないのだという。

 雨もそうなのだが、あのレインオルトがいるときは近づけない。


「じゃあ私が行くよ。それでいいだろ?」

「大丈夫なの……?」

「大丈夫。私はあのレインオルトと友達だから」


 私はレインオルトの丘に向かうことにした。

 雨なので馬車などは出ないらしく、徒歩で向かう。レインオルトの丘は私たちの拠点の森を突き抜けてすぐにあるのだという。

 先ほどまで土砂降りだったのに、さらにひどく雨が降る。


「ここがレインオルトの……」


 私は丘に一歩踏み出した。

 レインオルトは温厚な龍だ。近づけないというわけはないだろう。だとすると、違う何かがそれを守っていると考えたほうがいい。

 私はレインオルトの丘を登っていく。すると、目の前には花畑のような光景が。レインオルトが降らす豪雨の中、強く咲き誇る花びら。


「これ、だな」


 すると。

 突然、上空から何かが降ってくる。雨ではない何かが。その何かは私めがけて何かを振り下ろそうとしている。私は躱し、その魔物を見る。


「グギャギャギャ!」

「猿……!?」


 ひょろがりの猿が棍棒を手にしていた。

 不気味な見た目の猿だ。だがしかし、私と戦うつもりがあるということらしい。軽快な動きで弓矢が当てにくそうだ。

 私は矢を構えようとすると。


「キュアアアアアーーー!!」


 どこかで聞いたことがある咆哮。

 そして、次の瞬間、その猿は上空から着陸したそのドラゴンに押しつぶされて死んでしまう。かませか?


「レインオルト!」

「キュア」


 レインオルトは私を見る。そして、少し笑ったような気がした。


《スキル:氷雨ひさめ を取得しました》


 スキルがもらえた。

 スキルの効果はというと、小さい氷の粒を何度も吹き付け攻撃するというものだった。


「キュア」

「ありがとな」

「キュアアアアアーーー!」


 私が鱗をなでると嬉しそうに鳴く。

 そして、翼を広げてまた再びどこかに飛び去った。私はあの猿のドロップ品を頂戴し、花びらを採取する。

 なんていうか、楽だったな。


 私は満足げに帰ろうとすると。


《キークエスト:母の難病 がクリアされました》

《新たなエリアが解放されます》


 というアナウンスが聞こえたのだった。









ボス戦スキップ条件:レインオルトに認められている人が行くこと

レインオルトが一撃でボスを討伐する

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