スリを見つけようと
フレンチトーストも食べ終わったので店裏に回り込みスリの男の子確保のために動く。
二人でいるのは不自然かもしれない。けどまぁ、なんとか……。
「本当に来るのかな」
「さぁ……。犯行日時とかは分かんないしこればかりは来るのを待つしか……」
その時だった。
男の子がぶつかってくる。こんな路地裏にほんとになぜ来るのか。所持金を見ると少し減っている。
間違いなくあの子がスリだ。
「影魔法」
私は男の子の影に潜伏する。
レベルも上がってMP量も増えたから長時間潜伏していられる。この男の引っ張られてどこに行くのか。
男の子は私たちを撒いたと思ったのか止まった。
私は潜伏を解いて、金を数えている男の子の手を掴む。
「返しなさい」
「おま……どこから……!」
「影魔法」
私は男の子の影を固定する。男の子は動けなくなった。
私は地面に落ちたお金を拾いしまう。
「返せよ! それは俺のお金だぞ!」
「私から盗ったお金だろ。お前のじゃない」
「いいから返せ!」
「……」
私は矢を一本取り出した。そして、その矢を男の子めがけて放つ。
男の子のすぐ横の壁に矢が突き刺さる。男の子は顔を青ざめさせる。
「生意気でおかしいことばっか言うなよ。悪いことしたらまずなんていうんだ?」
「ご、ごめ……」
「お前がスリをしたやつらは諦めただろうが、こういう大人いるんだ。それをわかってそんな生意気な口聞いてんの?」
「ごめんなさい……」
男の子は泣き出してしまった。
「どんな事情があるかは知らないけど、私はこういうの許さないからね」
「はい……」
「とりあえずスリをやめろ。お前はいずれ捕まるぞ」
そういうと。突然背後からナイフが飛んできた。
男の子を狙ったもの。私はナイフを弾く。
「なんだ?」
「お嬢さん邪魔しないでよ。そいつ、私の財布盗ったんだから」
「…………」
黒い服を着た少女。マフラーで口元を隠している。
さっきの一発は明らかに殺意があるものだった。この女の子は男の子を殺しにきたということか。
さすがに殺されるのを傍観してるわけにはいかないな。
「おいおい、盗まれたからって流石に殺しはないだろ」
「組織の教えだよ。害をなすやつは殺せってね」
「組織?」
「知らないのも仕方ないよ。私に勝ったら教えてあげる!」
と、ナイフを引き抜いて私に襲いかかってきた。
私はとりあえず影魔法を使う。女の影に潜む。
「どこに消えた?」
「ここさ」
私は上半身体を出し、矢を引く。
「いつでも打てる。私の勝ちだ」
「そう?」
と、足の靴から刃物が出てくる。私めがけてその刃物が迫りくるが私の体を突き抜ける。
私の体は今影の状態。物理攻撃を無効にする。
「ナイフごとき刺さるわけがないだろ?」
「お前……何者だ……!」
「狩人」
「お前のような狩人がいるか!」
女の子は両手をあげる。
「負け。私の負けだよ。お前本当になにもんだ?」
「しがない女の子だよ」
「だから馬鹿なこと言わないでよ。とりあえず話したいからどこか店で話そっか」
「わかった」
私は影魔法を解き、弓矢をしまう。




