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鬼神のハルサメ

 ショッピングモールから出ようとすると。


「うげ、雨降ってる」


 雨が降り注いでいた。

 ゲームが入っている紙袋を春雨はそのまま抱える。


「ダッシュで帰るしかない!」

「ミノル。私はしまえよ。防水じゃないんだから」

「うん」


 空間の光が消える。

 スリープ状態になったという感じだ。ミノルの姿も見えなくなる。ただ、スリープ状態でも声だけは聞こえてくる。

 ミノルは全速力で走ろうといっていた。尊たちもうなずく。


「っしゃ、いこー!」


 と、一斉に走り出したようだ。

 私は濡れることはないが、このスマホをもし地面に落とそうものならこの空間が壊れる。私が死ぬことはないが……。私が死ぬのはデータが完全に消えなくちゃ死ねない。なので壊れたぐらいじゃデータ移行して別のスマホに移れる。それはいいのだが。


「すまない、僕の家はこちら側なんだ!」

「じゃ、帰ったらやろーね尊!」

「ああ、さらばだ!」


 尊とは別れたようだ。

 そして、雨の音がやむ。ミノルがスマホを付けたのか、明るくなった。ミノルの家に着いたようだ。


「おかえり。濡れたでしょ。風呂沸いてあるから入っちゃいなさい」

「そーするー」

「あ、そっちはホームステイの?」

「はっ。鬼島 春雨というものであります!」

「軍人ねぇ。そんな背筋伸ばしてあいさつしなくてもいいのよ。ほら、あなたも風呂入りなさい」

「ありがたく頂戴させていただくであります」


 そういって私たちは風呂場に移動した。

 ミノルは濡れた服を脱ぎ、洗濯機の中に入れる。春雨も脱いだ。


「ほう、軍人というだけあって傷跡とか筋肉とかすごいな。切り傷だったり銃創だったり……。死地を乗り越えてきたんだな」

「戦争はそういうものでありますから。正直今生きているのも奇跡のようなものであります」

「そうだな」

「相手がマシンガンを取り出してきたり、首の頸動脈付近を狙撃された時は死を覚悟しました」

「だろうよ」


 マシンガン相手にも立ち向かったのか。

 私も死というものを経験しているからこそ死ぬ辛さがわかるが、私以上に理解しているだろうな……。

 というか、なぜ今日本に来たのだろうか。


「ってかお国離れてよかったの?」

「今は相手が降伏し戦争が終わったのであります。上官がお前は16とまだ若いのだからもっと子供らしい事をしろということで、日本という平和な国にいけと言われ、やってきたのであります」

「なるほど……」

「この家に来ることになったのは上官が昔お世話になったからということでありまして」

「へぇ」


 戦争が終わり、若いうちを楽しめということで来た。

 上官いい人なんだろうな。戦争にこんな16歳の女子高生を巻き込ませて申し訳ないという気持ちがあるのだろう。


「へくちっ」

「ああ、引き留めてごめんな。一緒に風呂入ってこい。ミノルは騒がしいけど、いいやつではあるからさ」

「はい」


 そういって、扉を開けて中へ入っていく。

 ミノルの騒ぎ声を聞きながら、私はインターネットを開き、鬼神のハルサメのことを調べることにした。












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