風化した遺跡 ③
ミミックに連れられ私たちは遺跡の中を歩く。
途中、宝箱もあったりしたが。
「それ俺様の仲間のミミックでっせ」
「なんでバラすんだよ」
と、ミミックがケラケラ笑っている。
が、そのミミックは今案内してくれているミミックとは違う色だった。
あっちが赤でこっちが少しオレンジ……。古びた木で作られたような感じの宝箱に擬態しているミミック。
「なんか色違うね?」
「そりゃ俺様は特別なミミックやからな!」
「特別?」
「名前つけてくれたら教えたるわ!」
「名前? そーいやつけてなかったな」
名前ね……。
「ミミク?」
「安直やなあ」
「文句言うな。ネーミングセンスないんだよ」
「まあええか。ミミクな」
と、嬉しそうにしているミミク。
「俺様はミミック族でも突然変異で生まれたもんなんや。人間で言う、変異種っちゅうもんや」
「変異種……?」
「なんや、変異種知らへんの? 変異種っちゅうのは同じ魔物でもずば抜けて能力が高い魔物や。見た目や色が普通のミミックとは異なるんや」
へぇ、そんなのがあるのか。
変異種というのは聞いたことがない。知識としてなかったが……。そういうのもいるか。
「俺様はその変異種個体や! そこらのミミックより強力やで?」
「心強いな」
「やろ?」
他のミミックより強いと言う事はもう敵ないんじゃないだろうか。少なくともこの遺跡内には。
変異種、変異種か……。
「このゲーム、いろいろとモンスターとかいて退屈しないな」
「さ、急ぐで! この遺跡には宝の山があるんや! あんたらなら遺跡のボスも倒せるやろ!」
「ボス?」
「せや! この遺跡の宝を守る番人がおるんや」
宝を守る番人がいる、か。
なるほど。宝を手に入れるためにはそいつを倒す必要があるってわけだ。
「どうするよ? ボスやる?」
「ここまで来たらやるしかねえだろ! 宝は山分けな!」
「俺もそれでいい。三等分で分けようか」
「よし、じゃ、ボスまで案内してくれ」
私はミミックにそういうと、合点!と言って案内し始めたのだった。
私たちはミミックについていく。すると、階段があり、上へと繋がっているようだった。
「まだボスまでは先でっせ!」
まだ道のりはあるらしい。
階段を登ると、まだ遺跡の内部だったがモンスターが変わっていた。スケルトンの他に包帯でぐるぐる巻にされたミイラ男も出てくるようになった。
「ぐらあああああ!」
ミイラ男は包帯を飛ばしてくる。包帯は私の手に巻きついた。
すると、その包帯は私の体を侵食していく。
「な、なんだこれ」
「仲間づくりや! やめろや! ミイラ男ぉ!」
と、ミミクがガブリ、とミイラ男に噛み付いた。ミイラ男は包帯をミミクに巻き付け叩きつけようとしたが、ミミクは包帯を噛みちぎる。
包帯が私の手からほどけた。少し干からびていた。
「うわぁ、私の手が……」
「危なかったなぁ。俺様が助けてなかったらミイラになってたで」
「ミイラ取りがミイラになるか……」
諺通りだな。




