規約違反によるエラーが発生しました
時間が空いてしまって申し訳ありません。
なかなか書き進めることが出来ません。
仕事を優先します。アイデアやモチベーションが高まったら進めます、なるべく。
「早速釣られてら。ムキになって馬鹿だなマジで」
とあるどこにでもいる人が居た。自分の部屋で20代前半の男が、にやにやしながらパソコンをいじっていた。パソコン画面で開いているサイトはドウガミだった。彼は、ドウガミユーザーということになる。動画を適当に開いては、コメントをこれまた適当に打っている。そこには、動画内容と全く関係ない言葉を書いていく
「はい×××(心身を侮辱する過激な言葉のため省略)!さてどんだけ反応するかねっと」
気軽な気持ちで、他の人が見たら嫌な気分になる言葉を打ち込んでいく。そして、帰ってくる自治的なコメントを見てまた顔をにやけさせる
「はい釣られたー!俺マジ人気者やな!」
そして連鎖的にコメントをしていく。これっぽっちも悪びれることもなく、反応を完全に楽しんでそれを行っている。コメントは基本的に自由に行える、という言葉を完全に鵜呑みにして行動している。言葉で言ったら正しいだろう。だが、ここは『ドウガミ』
「ども、こんなん出ましたけど」
「………うおあああ!!?」
唐突に、『動神』こと溜池語呂之介が現れた。ユーザーの男のパソコン画面から、まるで貞子のように現れたのだ。パソコン画面で隔てているという事を完全に無視して、あまりにも突然に自然に出てくるものだから、ユーザーの男は大変に驚いて声をあげる
「コメント履歴、IDから、あなたがa(ユーザーの男のハンドルネーム)さんですね。とりあえず行きましょ」
「え!!?は!!?」
そう言って、語呂之介はユーザー名がaの服の胸倉を掴み、パソコン画面に引きずり込んだ。画面に人間なんて入れるわけがない。だが、マリオ64の絵画に飛び込むかの如く、いとも簡単に引きずり込まれていった。
「うおおおおおおお!!?」
「言語失ってますねえ。あと3秒で部屋に着きますよ」
突然の未体験な出来事の連続に、aは冷静でいられない。語呂之介と共に、沢山の光の線みたいなものが飛び交う世界を落ちていく?いや、駆けていく?それとも飛んでいく?自分がどのように移動しているかも、どこにいるかもわからない空間だ。そして、飛んでいく先には、赤い四角いポイントみたいなものがあった。そこに衝突まで、あと1秒
「んぐうっ!!」
ポイントに入り込んだと思ったら、床も壁も天井も赤く塗られた部屋にたどり着いた。高速でここまで移動した勢いから、部屋をaはごろごろと転がる。部屋自体はとても狭く、5立方メートルほどの小部屋である。
「はあ…はあ…なんだ!!?なんだこれ!!?」
とりあえずaは起き上がり、あたりを見回す。いまだに落ち着けず、冷静ではいられない様子だ。
「どうなってる!!?いや、あいつは!?あれは誰だ!?ここはどこだよ!!おい!!」
「ここは誰?私はどこ?」
「うわあっ!!」
急に赤い壁の一部がスライドして、すりガラスのような素材になり向こうの部屋を見渡せるようになった。そこには、謎の赤い部屋に連れてきた張本人が座っていた
「どうもこんにちは、私は溜池語呂之介と申します。我が運営サイト、ドウガミをご利用いただきまして誠にありがとうございますー」
「ゴロー、理解が追い付いてない顔してるわよ?」
「そりゃビビるっすよ」
「動神さんって言ったほうが良いでしょ」
「ええー、恥ずかしいですし」
「社長なんですから!」
その周りには、同じくドウガミに属する蛍光ピンクの服を着たインラ、白い服を着たスタッフが3名居た。なんて事はない談笑をしているかのように振舞っていた
「今日は赤い部屋ですか。ほかの部屋はなかったのですか?」
「すいません、ほかの部屋は掃除中とメンテナンス中でして空きが…」
「あー、大丈夫ですよ。まあ軽い部屋ですけどいいでしょ」
「お、お、お前ら誰だ!?ここはどこだよ!?」
aはすりガラスに握りこぶしを押し付けて、語呂之介に大きな声で質問をする。それを聞き、語呂之介は手元にあった赤いボタンを押した
「あー、敬語使えないタイプの人ですかね。言語野に入れ忘れたんですかね」
「いやいや、そんな状況じゃないと思うわよ?」
「あんまり押しすぎないで下さいよ?ブレスさん休んでるですから」
ボタンは押したが、特に部屋の様子は変わらない
「あー、とりあえず、ドウガミ使ってくれてあざーす。私、一応シャッチョさんです。しかしまあ、くっそつまらないユーザー名ですねえ。RPGの主人公を『ああああ』にするタイプでしょ?」
「まあ面倒くさい人がいるのも、わかるけどね。」
「で、aさん。あなた、利用規約を違反してます。なので確認のために連れてきました」
「…は!?なんだそれ!?ってかなんだよこれ!出せよ!!ドウガミだかなんだか知らねえけど!!」
「ポチっとな」
aは、様々な意味不明なことから落ち着きがない。ここはどこなのか、誰なのか、何をしているのか。混乱を尻目に、まだ語呂之介はボタンを押した。すると
「おい!聞いてんのか!?ってなんだ!?暑くねえかここ!?」
目に見えない変化だが、aは何かに気づいた。先ほどまでと違い、室温について口にした
「えっとですね、あなた、他人を傷つける言葉をコメントしましたね?なのでアウトです。私はそんなコメント口にするのも大嫌いですので言いませんが、書きましたね?」
「あ!?どれのことだよ!?それがどうかしたのか!?ってか暑いぞ!どうにかしろよ!」
「ポチっとな」
まだ事態が呑み込めてないが、言われたことには答える。書いたことは書いたそうだが、それがどうかしたのかまでは考えていないようだ。語呂之介はさらにボタンを押していく
「っておい、あ…さらに暑い…?」
「そんなに押しちゃって大丈夫?」
「んー、ここら辺の塩梅が難しいですね。まあ大丈夫でしょ、サウナがあるんですから。アサさんなら上手くやれそうですけど」
「あー確かに。アサちゃんは得意そうね」
部屋の見た目は相変わらず変化はない。が、aは明らかな変化を感じ取りつつある。額からは汗がにじみ始めた
「お、おい!暑い…!んだよこの部屋!お、お前!」
「ポチっと
「ま、待てよ!まさかそのボタンか…!?やめろよ!」
aは、ここで語呂之介の押そうとするボタンに気づく。それが原因で室温が上がっているのかと。aの言葉に、語呂之介はぴたりと手を止めた
「おっと、ようやく気づきましたか、遅いですねえ。映画でよくある脱出もののデスゲームだったら、あなたとっくに死んでますよ?そんな観察眼じゃ」
「動神さん理不尽っすねえ」
「でも押しちゃいますうー」
「うわあ理不尽」
「ちょ、おま…う、暑っ…」
結局押されたボタンにて、室温がまた上昇した。aはたまらず上着を脱いだ。肌をさらすまではしていない
「な、なんで押したんだよ!ふう、はあ、暑いぞ…!」
「自分で考えてください。えー、話が進まないので聞いていきますね。とにかく、あなたは利用規約を犯しました。あなたから見て右の壁に利用規約を映しますね。今一度確認をしてください」
すりガラスの面がある右の壁が、一部白い壁となり、そこにドウガミ利用規約が3条書いてあった。相変わらずシンプルに簡潔に書いてある。
「こ、これがなんなんだよ!」
「3つ書いてますけど、まあ実質2つです。たったそれだけの事を守れてないので連れてきました。それで、なぜ他人を傷つける言葉を書いたのか教えてくれますか?」
「だ、だから、はあ、どれのことだよ!もしかして×××のことかよ!?たかがコメントにムキになってるのか!?バカじゃねえの!?」
「…」
aは、汗を流しながら呆れたようにそう言った。語呂之介は、黙ったまま再びボタンに手をかけようとした
「おい!待て!だから、お、押すな!暑いんだって!」
「ゴゴゴゴゴ」
「あー、また押しちゃうのね」
「や!やめろ!やめろって!!」
だが断る。ゆっくりと手を下ろしていき、ボタンを押していった。aの叫びもむなしく、室温がまた上昇した。
「なんだお前!!うう!暑い!はあ!」
「原因がわかっても、解決しようとしないのは良くないですよねえ。やっぱりデスゲームで生き残れませんよあなた」
「あ、謝りゃいいのか!?くっそ!他のとこでもこれぐらいのコメやってるだろうが!」
aは、もはや冷静な判断ができないようだ。返答も投げやりな感じになり、吐き捨てた。語呂之介はそれを聞き、眉根を潜めた。が、その後少しだけニヤけて
「…よし!反省してない!生放送を20時からにしましょう」
「久しぶりね。じゃ、アンタたちは広告してきて。それと、舞台の用意を」
「はい!」
スタッフ3名は、張り切った元気の良い返答の後、部屋を駆け足で出て行った。そして、語呂之介とインラも立ち上がる
「な、なんだ生放送って!お!おい!どこか行くのか!?はあ!ここから出せ!!」
「あー、アンタ、『普通』にしてたらまだ扱いよかったかもよ?」
「普通じゃ無い感性って可哀想ですよね。まあ20時に晴れ舞台でお会いしましょう。それまでそこでスタンばってくださいね」
「ふ、ふざけんな!!監禁か!?あ、暑いって!おい!」
「心配しなさんなって。水は定期的にあげます。ここでくたばるマネは絶対にさせないので」
その後、語呂之介とインラは部屋を後にした。aはドンドンと壁を殴り、罵詈雑言を吐き、訴え続けた。だが、部屋の暑さが体力を奪い、次第にしゃべる気力も無くなっていった。そして、裏ではスタッフたちが急いで作業をしていた。そこでは、ドウガミの全ユーザーに向けての宣伝だった。運営側の送信ボタンが押されたとき、全ユーザーのパソコン画面にこんなバナーが現れた
『本日20:00、【第30回 チキチキ!動神の困ったちゃん公開処刑】を開始します』