表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

4話 小屋の中に驚きが隠せない

「さ、入って入って」


 僕はクロエさんに促されるまま、小屋の中に入る。

 そして、衝撃を受けた内装が、僕の見間違いではなかったのが証明された。


「クロエさん、これ、小屋ってレベルじゃないよ!?」


 外見は木造で小さめな小屋だったのに、中はかなり広いし、【錬金術】が大いに使われていた。

 どのような原理で、小屋を拡張しているのか分からない上に、見たことがない物が置かれていた。


 それが何なのか確かめたくて、近くまで寄り、凝視する。そして、取っ手を引いてみると、そこから冷気が漏れ出てきた。


「こ、これ! クロエさん、これも【錬金術】!?」


「そうだよ。レイゾウコって、わたしは名づけたよ」


「こっちも、レイゾウコなの?」


「そっちはレイトウコだね」


 何が違うんだろう。僕はレイゾウコのすぐ隣に置いてあるレイトウコを開けた。すると、そこからはレイゾウコよりも強い冷気が漂ってきた。


「クロエさん、この肉……何?」


「それは、一週間ぐらい前に狩ったブラウンボアーの肉よ。一人じゃ食べきれないから、冷凍保存してるの」


 肉の保存方法は主に塩漬けや燻製。そうしないと、腐ってしまうらしい。だけど、クロエさんの口ぶりだと、冷凍保存はかなりの時間保つみたいだ。


 【錬金術】って、本当に凄い。こんなの売り出したら、すぐお金持ちになれるんじゃないか!?

 ただ、これまで凄くて便利な物だと、作るのに時間がかかる上に、面倒そうだ。


「……もう、ダメ。クロノくん、下にお風呂あるから、入ってきて。わたし、もう寝る……」


 そう言って、部屋の端に置いてあるベッドに横になるクロエさん。


「え? 僕、どうすればいいの?」


 まさか、ここで置いてけぼりを食らうとは思わなかったよ。


「とりあえず、下にお風呂があるって言ってたっけ?」


 僕は小屋内をぐるりと見回し、階下へと繋がっていそうな階段を見つけて下って行く。

 そこには、やはり小屋の中には似つかわしくない浴室があり、そこから大きな浴場が見えた。


「って、違う違う! ここ、小屋の中じゃないでしょ!」


 上階はまだ木造建築であることは確認出来たが、ここは木造建築ではなく、石がふんだんに使われているのが分かる。ただ、普通の石ではなく、表面がつるつるしていた。何なんだろう、この材質。

 

 それに、この浴場、元々あったって感じはしない。

 後から、作り足されたものだと、僕は判断した。

 小屋の下をくり抜き、整備して、自分のためだけに、浴場を作ったとなると、いかに時間が有り余っているのが分かる。


「僕だったら、どれだけ時間があっても、ここまで立派な物は作らないし、やっぱり【錬金術】、凄い。クロエさんのセンスもあるんだろうけど、ここまで出来るようになると、何か作るだけで楽しいだろうな」

 

 と、クロエさんの称賛はそこまでにして、早速堪能させてもらうとしようかな。

 僕は木のような物が編み込まれて作られた入れ物に、服やズボンなどを入れて、浴場に入った。


 浴室からも分かっていた通り、物凄く湯気が立っていて、少し視界が悪い。


「これ、百人ぐらいなら一緒に入れるんじゃないか?」


 僕は呟きながら、辺りを見回して、浴場の壁際に設置されている、不思議な物の近くに寄って行く。

 ヘビのように長い物が、出っ張った物にぶら下げられている。これは、何なんだろう。


 そのヘビの先端は膨らんでいて、小さな穴が開けられていた。そして、それが何に繋がっているのか、辿って行くと、金属で出来た、また訳の分からない物があった。


「……? これ、どう使うんだろ――!?」


 いじっていると、捻られる部分を見つけて、それを捻ってみると、ヘビから水が出てきた!


「な、何だ!? つ、冷たいぞ! やめろよ!」


 だけど、それが止むことはなく、わちゃわちゃしていると、自分が馬鹿なことに気づいた。

 金属とはまた違った材質で出来た円形の物を捻って、水が出たのなら、また逆に捻れば水は止まる。


 そこで、気づいた。それに、色がついているのを。


「これは青か。それじゃあ、こっちは……ピンク。ということは……」


 青い方と並べられているピンクの方を捻る。

 すると、先程とは違い、あったかいお湯が出てきた。


「おおっ!? あったか〜い!」


 僕はその温かさに歓喜して、ヘビを背伸びして取ると、顔にお湯を浴びせた。


「革命だ〜! クロエさんは偉大だああああああああああ――!」


 〜クロエ視点〜


「――クロエさんは偉大だああああああああああ――!」


「!? 何ごと!」


 下に増設した浴場から、わたしのことを褒め称えるような言葉が聞こえてきた。

 わたしはベッドから体を起こすと、頭を抱える。


「そうだった……わたし、クロノくんを家に入れたんだっけ」


 数十分程眠っていただけだけど、眠気はどこかにいった。睡眠が効いたのか、クロノくんの大声が効いたのか分からないけれど。


「これから一緒に生活するなら、クロノくんとの時間に合わせないと」


 正確な年数は把握してないけど、少なくとも五百年以上は一人暮らしをしていて、全部自分に合わせた生活リズムを送っていた。


 今はもういい時間で、とっくに日は落ちている。

 晩ご飯の時間だ。クロノくんはお腹を空かしていることだろう。


「レイゾウコに入ってる野菜と、ブラウンボアーの肉で野菜炒めを作って、それからそれから……」


 いつもは適当に済ますが、これからはクロノくんのために作るのだから、料理はちゃんと考えないと。あの子はまだまだ小さいから、栄養のあるものを食べさせてあげたいな。


「誰かのために料理を作るなんて、何百年振りかしらね、ふふっ」


 そうして、わたしは鼻歌交じりで、料理を作り始めるのだった。

 お読みいただきありがとうございます!

 評価・ブックマークなどよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ