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俺は、王道ファンタジーを望む  作者: めぇりぃう
第3章 私は、冒険者への道を望む
98/152

98話目 ララの能力

ちょっと短いな、とは思いましたが出します。



 オリビアとの契約が完了し、あれこれと一段落着いて、お互いの情報を交換し合った。と言っても俺は野生のスライムだ。話すことも特に無かったので、オリビアの話を暫く聞いていた。


 その中で、改めて冒険者学校についての話を聞いた。やはりオリビアもそこの生徒であり、従魔(テイム)クラスに所属しているとのこと。これは、まぁ予想通りだった。他にも剣だとか弓だとか魔法だとか、色々なクラスがあり、自由に幾らでも選んで受けられる。オリビアはその中で従魔の他に魔法と剣、そして鞭を受けているらしい。前3つは分かるけれど、最後の鞭は要るのかと聞いたら、従魔士になる為には必須項目だ、と。オリビアは使いたく無いと話していたが、普通の従魔は言う事をあまり聞いてくれない。その為の鞭、らしい...。


 基本的に2年で学校を卒業出来るが、それより短かったり長かったりもする。冒険者的な自由さがそこにもあるのかと笑ってしまった。理由は理由であるらしく、冒険者となるに相応しいならさっさと卒業、ちょっと厳しいと判断されたらもう1年、みたいな感じで長短を決める。国立の学校だから生徒は早く卒業させたい、って事で2年より短くてもOK。冒険者という命を懸ける職業だから生半可なら駄目、って事かな。一応、中退も可能だけど卒業特典であるEランク冒険者からスタートは無い。学校を卒業しないで普通に始めたらFランクから頑張らなきゃいけないのだとか。


 学校はこの国に数個あり、オリビア達が通っているのは王都──つまりは国の首都──だと言う。ここは田舎っぽいのに、どうやら近い所に国一番栄えている場所があるのかと不思議に思ったが、流通の問題とかがあるのかもしれない。知らなくてもいい事だなとスルーした。


 オリビアの話が一段落着いてから、1つ頼み事をされた。



「そうだ。ララがどれだけ闘えるか見てみたいな。先生が力量を知る事は何よりも大切、って口酸っぱく言ってて。どんな事が出来るか見せてくれる?」



 と。


 ふふん。良いとも、良いですとも。見せてやりましょう。


 意気込んで何を出そうかと頭を捻らせたが、この草原の中で放てるものが少なすぎる。流石に燃やすのは駄目だし、洪水も駄目、風は地味だし、雷も他の魔物を驚かせるだけ。《擬態》で他の魔物に化けると言うのも、人型に化けた後だからつまらない。


 チラリと視界に入った遠くに見える山。アレを消し飛ばせば良いかな、と山を見つめて考えていると、その山の頂上付近から何かが飛んで来ている影が見えた。段々と近づいてくる影から、長い胴体に翼を生やした爬虫類だと予測出来る。



「おーっ!丁度良い『ワイバーン()』っ!」

「え?...嘘...あ、あれって亜竜っ...!?」



 飛んで来たのは『ワイバーン』と呼ばれる竜種の魔物。本家竜と比べれば体も小さく皮膚も硬くない、弱っちぃ魔物である。空を飛べるという点を除けば苦戦する点が見つからない。つまり、飛ぶ的である。


 なんて良いタイミング。撃ち落としてくださいと言わんばかりに飛んで来やがった。ちょいと前まではウザったるいと思っていたが、今はお前の事を見直すよ。


 恐らく餌を求めて山から降りてこようとしている。魔物に食事は必要なく、奴らにとって餌とは嗜好品。どうせ近くを通る馬車などを襲うつもりなのだろう。


 実は心の中で天秤を掛けていた。オリビアに力を見せてあげるか、魔物としてアレを見逃してあげるか。その二択を考えればさ、優先するのはご主人様(オリビア)に決まってるよね。魔物同士に共感とか無いし、死にたくなきゃ引き篭ってろって話だ。


 撃ち出す技を決めた後、右手に魔力を溜めていく。この1年間で魔力操作はかなり上達しており、人形態になって更に円滑となった。1秒も掛からずにソフトボールくらいの大きさまで魔力を練り上げると、それを広げた掌の上で操り浮かせる。


 左手で右手を押え、照準を動く的に合わせた。



「しゃぁ、行っくぜ〜っ!【溶解液砲丸発射(スライムバズーカ)】〜っ!」



 右掌から撃ち出された魔力の塊は、真っ直ぐと的へ向かって飛来する。銀色に発光しながら天に昇っていく様は、まるで花火が打ち上げられたかのよう。


 『ワイバーン』は接近する魔力に気が付いた。下を見れば人間が2人、その目に映っただろう。どちらかが攻撃を仕掛けた事は明白。すれば、プライドの高い竜種の一端である『ワイバーン』は攻撃を放った人間を許さない。


余裕を持ってその魔力球を回避した『ワイバーン』は、人間達へと狙いを付ける。



「ちょいとでも俺の攻撃を躱せるかと思ったか!マヌケがァーっ!炸裂しろっ!」



 その言葉を待たずして、俺が撃ち放った魔力球は破裂していた。その球を中心とした半径約20メートルの範囲に溶かし消す液体が作り出される。やはり銀色の球体。見栄えのしない花火だなぁ、と呑気な感想を抱く。その液体は数秒間空中で球体形を保った後、ふわっと蒸発して消えた。もちろん、その範囲内に居たはずの『ワイバーン』は跡形もなく消滅している。



「あ、あれ、ワイバーンは...?何処に消えたの...?」



 くるりと振り向けば、オリビアは空を見つめて独り言を呟くのみ。



「これが俺の力、だよ。かなり控えめだけどこんなモン」

「す、スライムってこんなに強いの...?」

「ははは、んな訳。コレが平均的なスライムだったら、この世はスライムに滅ぼされているさ。俺は超レアケースだよ......たぶん」

「言い方に不安があるよ!?」



 超レアケースだと言うことは確かだ。自慢じゃないが俺は強い。そんじょそこらの魔物には遅れを取らない自信がある。それは幾度となく行った戦闘の経験と日々の努力が裏付けている。間違いなく全スライムの中で抜きん出て強いと言えるさ。


 それは色々な事ができるようになった、という点が最大の要因だ。殆ど全てのスライムに成った事で、その数のスキルを獲得した。それ以外にも、他の魔物から戴いたスキルは山ほどある。これ程多種多様なスキルがあれば、基本的にどのような状況でも対処出来ると思う。故に強いと断言出来るのである。



「ララ。本当にスライムなの?」

「えー、そこを疑うか?」

「だって、ララがスライムじゃない、また別の魔物って言われた方が納得出来るもん」

「別の魔物って?」

「............天使とか?」

「おい、今の間は何さ」



 次にスライムなのかどうかを訊ねて来た。これにはびっくりだ。そこを疑い始めたら、貴方は人間ですか、と聞いてしまうようなものじゃないか。そういう質問って、サイコパスとか異常者にするものだよね、普通。俺は真っ当なスライムなのに。


 と言うか、天使って魔物なのかよ。神の使いとかそう言うもんじゃないのかよ。...いや、心当たりは有るんだけどさ。でも、一般的なイメージでは天使って悪魔と対の存在な訳で...。


 そう頭を悩ませていると、オリビアは更に口を開いた。




「ワイバーン...本当に倒したんだよね?」

「おう。消滅させたぞ」



 オリビアが呟いた言葉に応える。もしかして倒しちゃいけなかった魔物だったりするのかな。あの街のシンボル的な、守護獣的な。...そんな訳ないか。 



「......ふぅ、ララは力の一端を見せてくれた、という事だよね?」



 色々と情報を頭の中で纏めあげ、確認を取るかのように訊ねて来る。少し遠い目をしているのは何故だろう。中学生並の少女なのに、達観したような顔付きなのは何故だろう。何か悩み事でもあるのだろうか。



「そうなるね。本当に一端だけど」

「そっか......はぁ。よし、今日はもう帰ろう!これ以上ララの力を見ると私が倒れそうだからね!」



 そう答えると、何故か小さくため息を吐かれた。そしてオリビア自身を励ますかのように声を出し、街に向かって歩き始めた。


 これから他の能力を確認するのかと構えていたので、オリビアが歩いて行った事が理解出来なかった。日が傾き始めて夕焼け色に染まった空の下、立ち去って行く背中を暫く見つめてしまう。



「えっ、オリビアっ!?待ってくれよーっ!」



 耳を塞いでスタスタと歩いて行くオリビアの背中を駆け足で追い掛けた。




 ※ ※ ※

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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白くなって来たゾイ( ^ω^ ) 更新楽しみにしてますヨォ
2020/08/28 19:48 退会済み
管理
[良い点] 更新はお疲れ様です! スライムバズーカ、格好いいです〜 しかしララさん、やらかしていないと思っているか!?種族が疑われるのは当たり前の反応だと思いますw
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