95話目 運命の人
少し雑です。急いで書いています。
※執筆途中の文がありました。書き足します
さて。俺がこの1年間をタラタラと己のレベリングに費やし続けていただけ、と思ったら大間違いだ。確かにレベリングの日々ではあったが、多少なりとも他の事を行っていた。その1つが契約者探しだ。
アリエルさんとの件から考えて、親和率のようなものが高くなければ契約を結ぶことが出来ない。その条件が難しいのかは分からないが、そう簡単にホイホイと契約出来ないのではと考えたのである。確か、アリエルさんとは58%だった。それで仮契約しか行えないというのだから、60%いや70%近く必要なのではないだろうか。
修行を終えて強くなっても、契約者が見つからなければ意味が無い。と言うのも、俺のポテンシャルはやはり人型で最大限に発揮されるのだと、この1年間で痛感している。それ以外の形でも十分闘えるが、全力を出すなら人型じゃなきゃ駄目だろう。流石に人型になる為だからと人を喰らうつもりは無かった。...殺る事に躊躇いは無いんだけど、喰う事にはどうにも、ね。
よって、人型になる為には契約を結ばないといけないのだ。
実は、少し前から捜索を始めていた。
契約者の目処だけは付けておきたいと、向かった先はアリエルさんの属する国『アヴリーラ』。アリエルさん達を送った時に方向と道は覚えた。その道を辿り、森のから飛び出して、最寄りの街へと侵入。警備していた人も居たんだけど、うん、気付かれなかったね。魔物除けの効果を齎す魔道具もあったんだけど、うん、効かなかったね。
名前は忘れたけど、そこそこ広く賑やかな街だった。上下水道の整備やその他詳しい事は見なかったが、道も良く整備されていて、この世界の文明をある程度把握することも出来たと思う。何より美味しそうな食べ物が幾つも売られていた。ジュウジュウと音を立てて焼かれる肉の串焼き、何かの肉や野菜を挟んだサンドイッチ、どれもこれも美味そうな匂いを漂わせていた。人型になれないから諦めたけど、人型になれたら絶対食べてやると己に誓ったね。
契約者を探す方法は案外と簡単だった。方法は、ね。要は《気配察知》などの探知系のスキルを併せて使い、親和率を見ていけば良いだけだった。一瞬で集まる情報量に苦戦はしたものの、慣れればソイソイと簡単に出来る。それを使って1つ目の街をスルーして、2つ目の街へと足を運んだ。
え、何故スルーしたかって?そりゃ、契約者に成り得る人材が居なかったからだよ!
魔物蔓延る『回生の森』に近い街だからか、かなり武装をした人達が多かった。そんな人達は街を出て、『回生の森』に入り、魔物の素材を手に持って街に戻る。つまり、彼等は冒険者という職業に就いているのだろう。アリエルさんから聞いた話の中にもそんなワードがあった。彼等に見つかれば闘う事になる、のか......態と見つかってみようかな、とか考えちゃいないよ。
そんな冒険者で賑わう街だったが、仮契約を結べそうな人さえ居なかった。つまり、親和率が50%を超える者が居なかったという事だ。別にこの街の人が悪いとは言わないけれど、少し残念だったとは言わせて欲しい。
そして、これは俺に問題があるようなのだが......男性との親和率は全て0%だった。あの人もこの人も、男性は全て0%しか示さない。女性なら最低でも1%は超えると言うのに、だ。つまり、俺は男性と契約を結ぶことは出来ないという事になる。元々結ぶつもりもなかったけれど、可能性皆無と言われると妙にやるせなさを感じるのは何故だろう。まぁ、これで正当性が出来たなと頷いたんだけどね。
次の街へと移動した。
そして次の街へ。次の、次の街へと。
結論を言おう。出会えなかった。基本的には10%以下。20%や30%越えは稀で、40%代の親和率を叩き出した人も居たけれど、残念ながら仮契約にさえ届かない数値であった。幾つかあるだろう最低条件さえクリアしないとは、これは中々、本契約を結べる人が見つかるか怪しくなってきた。
それからも契約者たり得る人を探し続けたのだが、アヴリーラの国では見つからなかった。探し漏れも考えられるけれど、その探し漏れの中に存在する確率は皆無だろう。そう諦めてその時は『回生の森』へと引き返した。
そして本日。久々に『回生の森』から出て来て、次の国を目指すことにしたのである。
俺が次に目指す国は『ニルディア』。付近の三大国の内、アヴリーラ同様に魔物の使役が認められている国だ。
アリエルさんから聞いて得た情報だけを頼りにやって来た。と言ってもニルディアはアヴリーラの隣国。辿り着けない訳が無い。
方向さえ合っていればどうとでもなると思っているので、『回生の森』を出て草原を真っ直ぐに突き進む。先ずは最寄りの街からだ。
森を抜けた傍から見えていた高く頑丈な壁。目的の街は直ぐ近くにあるようだ。近付いてみて分かったが、魔物対策は手厚くされていそうだけど、俺には効果無さそうだな。
さぁ、契約者探しと行こうじゃないか!
久しぶりの契約者探し。意気揚々と門を飛び越えた。
※ ※ ※
結論を言おう。やっぱり見つからない。
んで、あまりに契約者が見つからないので冒険者を観察したりしていた。森の中でも魔物同士の戦闘を観察する趣味があったんだよね。今回も、どうせ契約者探しには時間がかかるだろうと、早めの息抜きにと冒険者の観察をすることにした。
初めの街は『回生の森』に最も近い街故か、かなり腕の良い冒険者を多く見かけた。ゴッツイ鎧を身に纏い、ゴッツイ大剣を背負い、ゴッツイ体で闊歩する男の冒険者。うへぇ強そうだなぁ、と呑気にスルー。男にゃ興味無いからね。契約者の話抜きに男に興味がありません。と言っても冒険者は女性よりも男性の方が多い。自然と男性が目に映るんだよね...。
やはりと言うべきか、剣を使う者が1番多いのかな。他には弓を扱う者や、魔法使いチックな杖を持つ者、背中に大盾を背負う者も居た。もちろん槍だとか、斧だとか、そういった武器を扱うものも居る。けど、剣使いが多いというイメージがあった。
森の中で闘う事を前提に考えるのなら、一番良い武器は弓矢なのかな。剣や斧だと振り回しにくそうだしなぁ。腕が有れば関係ないのかもしれないけど。
草原を舞台にするなら剣等の振り回せる武器だろう。開けた空間では弓矢だと当てにくそうだしなぁ。腕が有れば関係ないのかもしれないけど。
そこまで分析したら冒険者の闘い方も見てみたいと思うよね。アリエルさん達の戦闘は見たけれど、それとはまた違った戦い方を見せてくれそうだ。いや、見たら絶対に戦闘意欲が湧いてきそう...。人里付近で暴れたら指名手配されそうだし、今は大人しくしておいた方が良いかもな。
そう言い聞かせ、泣く泣く契約者探しを続行した。
そして、『回生の森』を出てから5時間経過。
契約者探しにも慣れてきていて、街の上を飛んで探り、親和率だけを見る、という簡易な方法を取っていた。さーっと見ただけでも居ないと分かるので、そしたら次の街へと向かう。それを繰り返していたら、『回生の森』からかなり離れた所までやって来てしまった。
段々と諦めムードが漂ってくる。もしかしたら見つからないのではないか。その可能性が頭を過り、焦燥感に駆られる。
別に冒険者じゃなくていいんだ。ただの村娘Aちゃんでいい。共に戦いたい願望もあるにはあるけれど、そこまで強く望んじゃいない。切磋琢磨しよう、とは言わない。...だって無駄に強くなっちゃったし。随分身勝手な話だが、契約さえ結べれば誰でもいい。その思考にまで落ちていた。
お願いだ、頼む...!と考えていると、何個目か分からない街を視認した。
上空から発見した街に接近する。その手前の草原に、数人の冒険者を発見した。念の為確認しておこうか。少し投げやり気味な気分で草原に降り立った。




