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俺は、王道ファンタジーを望む  作者: めぇりぃう
第1章 俺は、安定した生活を望む
36/152

36話目 《風起こし》の呪いか...?

 あれからの探索は非常に捗るものだった。やはり探知系のスキルは優秀だ。格段に発見率が多くなり、同格以上の魔物達をテンポ良く狩っていった。ちょっと余裕を見せて、新技を使いまくったせいかな。4機中2機、魔力が無くなって消滅した。残りの2機にも魔力はあと少ししか残っていないし、今日はこれくらいにしておこうかな。


 俺は分体を消し去ると、本体へと意識を戻した。安全な木の中にいる本体。探索してからかなりの時間が経過したため、魔力は多少回復している。魔力を絞り、一体だけ分体を作り出してから始めるとしよう。


 狩った魔物達の《吸収》だ。今日は狩りすぎてしまい、日が暮れる前に終わるとは思えない。だから明日も《吸収》に時間を使い、探索は休もうと思うのだ。


 この4日間、ほぼ休みなく闘い続けた。そのせいで若干鬱になり始めている。明日は戦闘からは離れて、森の中でのんびり過ごそうと思うのだ。休息は必要。肉体より先に精神が傷ついてしまっている。


 明日の休みを目指し、今日の仕事を終わらせるとしよう。


 一体ずつ魔物の死骸を取り出し、《溶解液》を掛け、《吸収》する。この作業には大分慣れ、抵抗感も無くなってきた。初めは少しあったんだよね。今や進んでやっちゃうよ。


 肉を喰えば魔力は使用量以上に回復する。《悪食》の効果が出ているようだ。《溶解液》が更に低コストになった影響もあるだろう。これにより分体が更に増え、効率がぐんと上がっていく。


 もはや作業。次々と死骸を片付けていく。ほぼ無感情でやり続けた。


 今日狩った魔物の半分程を取り込み終えた時、辺りが暗くなった。この時点で取り込むのはストップ。暗くて作業がしにくいからね。無理にやってイライラしても仕方ないし、明日に回そうと初めから考えていたから。腐らないかだけは心配だけど。


 まだ魔力の余っている分体を一個体に纏め、一昨日ぶりのの日課をこなすとしよう。


 《気配察知》を起動させながら暗闇の森を歩いていく。昨晩は少し怖かった夜の森も、生物の存在がハッキリと分かれば......もっと怖ぇなぁ!まぁ、大した奴は居ないんだけどさ。


 ある程度本体から距離を置いたところに、広がった空間を見つけた。ここなら例のスキルを暴れ回すことが出来るだろう。夢の為に努力は怠らないのだ。


 とりあえず、ステータスを覗いておこう。




 種族:リトルインビジブルスライム

 称号:異世界からの来訪者

 レベル:34/40

 ランク:D-


 体力:F+

 魔力:C-

 攻撃:F+

 防御:F

 俊敏:F-

 運力:C


 スキル:《鑑定Lv.5》《アイテムボックスLv.6》《言語理解Lv.10》《溶解液Lv.7》《吸収Lv.3》《体当たりLv.3》《疾駆Lv.4》《風起こしLv.3》《分裂Lv.7》《潜伏Lv.4》《擬態Lv.4》《引っ掻くLv.2》《噛み付くLv.1》《透明化Lv.3》《角突きLv.1》《剛力Lv.1》《部位強化:脚Lv.2》《跳躍Lv.1》《硬化Lv.2》《生成:糸Lv.3》《悪食Lv.2》《影潜みLv.2》《気配察知Lv.4》《鎌斬Lv.2》




 また性懲りも無く魔石は喰らっていない。明日まとめてスキルを得ようと考えているのだ。ガチャ感覚というか、一気に得る感覚は普通に気持ちよかった。あれだけがストレス発散になるんだよ。


 俺が持つスキル達の中で、今日一成長したのは《気配察知》であろう。ずっっと使い続けたし、かなり役立ったわけだし。俺の中でもトップ5に入る有能スキルとなった。まぁ、《溶解液》《吸収》《鑑定》《アイテムボックス》《分裂》には劣るけどね。...あれ、トップ5に入ってないや。


 他のスキル達はちょいちょいと使ったくらい。あまりレベルは上がってないよね。《生成:糸》はそこそこ使ったからか、まぁ上がったな、くらい?でも、もう少しレベルを上げないと実践では使えそうにないんだよね。古典的スライムの闘法には劣っちゃう。


 確認は終わり。俺のレベルはあと少しでカンスト。次の進化が楽しみだけど、残りの分で足りるかは怪しい。ランクが上がってから本当に上がり難くなった。足りる事を願っておこう。


 という訳で、さっさとやっていこう。あまり夜の森で考え事はしたくない。要件だけを済ませて帰りたい。


 前回の続きですね、と言いたいところだけど覚えていない。どちらかと言えばくだらない事。記憶しておく必要も無いものだ。魔力はそれなりにある事だし、一発目の《風起こし》を行ってみよう。


 魔力を貯めて放てば、爽やかな風が夜の森を流れて行く。強さで言えば扇風機の弱より弱い程度。まだ全然文明の力に勝てていないレベルだ。


 次に工夫してやってみよう。魔力を込めまくり、約3発分もの魔力の塊を作ってみた。これを《風起こし》に使用する。魔力からスキルへの変換にも大分慣れた。強弱も思いのままだ。


 いざ放ってみれば、先程の倍近い威力の風が吹いた。ようやく気持ちいいなぁ、というレベル。全く労力には見合っていない。扇風機の中、くらいかなぁ。


 ステータスを確認。すると、案の定《風起こし》のレベルは4に上がっていた。もっともっと込めてみれば、一気にレベルも上がるかもしれない。


 魔力を貯めることに集中する。先程の倍。通常の6倍近い魔力を溜め込んでみる。俺の中にバラバラで存在する魔力を掻き集め、中心──つまり魔石()で凝縮する。


 魔力量が跳ね上がった俺でも、これ程の消費はかなりキツイ。ほぼありったけをつぎ込んでいるのだ。


 段々と意識が朦朧としてきた。体を動かすのに必要な魔力を使っているからだろうか。それでも収縮は終わらず、もっと力を込めなければならない。


 もっと、もっと。暴れる魔力を押し込んでやり、ようやく纏まりかけたその時。


 一瞬の気の緩みで魔力が飛び出してしまった。1度崩れると全てが崩れる。



 あ、これは違う......ッ!!



 俺は嫌な予感を感じて分体との接続を切った。その直前、パンッという音を立てて、俺の分体は内側から勢いよく破裂した。それは爆発にも近い。それなりに遠くへ行ったと言うのに、本体の位置まで魔力の風が届いてきやがった。


 これは魔石が魔力の重荷に耐えられなかったのだ。魔力量は上がったが、それを使うための魔石が質不足ということ。過剰な魔力を溜め込んだ魔石は限界を迎え破裂。


 《風起こし》をやろうとすると不審死してしまうのはなぜ?なんかこれから魔力を溜め込むのが怖くなったんだけど。

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