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俺は、王道ファンタジーを望む  作者: めぇりぃう
第1章 俺は、安定した生活を望む
35/152

35話目 真・狩蛇狩

 分体を4機、適当な方角へとバラバラに進めさせる。魔力を4等分にした分体は、雑草の代表格『ミチグサ』よりも若干大きいくらいの体躯。魔力が多いとはいえ潤沢とは言えない。分体達に《潜伏》をかけてやる余裕は無い。が、暇になったら《透明化》ぐらいは使ってやろうと思う。スキルは使わないと成長しない。使っていればレベルも上がるし、どの程度バレないかとかも分かるだろう。しかし使うなら、せめて草むらでは無い所がいい。草むらで透明になっても、傍からは丸わかりだからな。


 適当に4機で進める。因みにこの適当は適している、という意味の方。《気配察知》の効果範囲を測りつつ、あまり被らないように配置してあるのだ。すると、どうだろう。今までは点と線で発見しようとしていた魔物達を、円と面で探すことが出来るのだ。今も何体か見つけてはいるが、恐らく格下の魔物であるので逃した。


 さて暫く進めると。それなりな大きさの気配を持つ魔物を発見。草むらに隠れているようで、視認することは出来ない。しかし《気配察知》のスキルがメキメキと成長しているおかげで、その形まではっきり分かるようになってきていた。


 その形は、そう。体をくねくねと伸ばし、上手く茂み隠れている、長い長い魔物。確実に、蛇だ。


 恐らく昨晩俺をやってくれた魔物だと考えられる。今は動きを見せないが、近づけば飛びかかってくるかもしれない。


 俺には正当防衛のみを許可する、という信条がある。コイツが俺をやってくれた張本蛇とは限らないので、俺から一方的に殺りにいくのは避けたい。前に殺ったろ、という言葉は無視しておこう。


 使うスキルを《鑑定》に切替える。すると、やはりの結果を得ることが出来た。そこにいる魔物は『狩蛇(ハンヴ)』であった。


 そうと分かれば話は早い。アイツの戦法は《潜伏》で身を潜め、獲物がやってきたところでパクリといく、というもの。襲ってきたところで《溶解液》の餌食となるだろう。


 と、なれば。分体に《分裂》を発動させ、半分の魔力で半分の分体を作った。これにより元の分体も半分となり、半分の分体が2体となったのだ。


 囮作戦と言うよりは、餌で釣るに近い。ちょっと接近してみて、あちらから仕掛けてくるのを待つということだ。そして食われた分体は即座に《溶解液》を使用。口を焼き溶かしてやる。その後、直ぐにもう一体を差し向け、ついさっき思いついた技を試してみるとしよう。



 いざ、狩蛇狩り(ハンヴハント)2戦目だ!



 予定通りに分体を奴が潜む草むらに近づける。起きていればこの距離で食いついてくるはずだ。魔力をそれなりに持ったスライムなんて、格好の餌だもんね。


 ほれほれと近づいていけば、予想よりも速い動きで何かが分体へと飛びかかってくる。それは昨晩見た光景と同じ、巨大な口。あまりの速度に慌てるも、来ると構えていれば為す術なくやられる、という事にはならない。


 実験中の技を発動させた。《溶解液》を体に纏わせ、防御に活かしてみるというものだ。これにより接触してきた敵を、俺の意識に関係なく溶かすことが出来る。体全体に使うため、そこそこ魔力は使ってしまうが、今の俺にとっては微々たる......いや、少ない代償だ。【溶解液結界(スライムアーマー)】とでも名付けよう。




 まぁ、結果から言えば効果は無かったのだが。




 どうも、奴の歯を薄く溶かしたくらいで終わったらしい。口の中を溶かしてやる、と思っていたがそれより先に魔石を砕かれ、スキルを発動出来なかった。魔石を動かして攻撃を回避しようとも考えたけれど、それには間に合わなかったのだ。奴め、しっかりとスライムの弱点を把握していやがる。こんな事なら《硬化》でも試してみれば良かったと後悔している。


 犠牲体が出てしまったからには、奴を屠らねばなるまいて。《生成:糸》と《溶解液》を発動させて、溶かす能力を持つ糸を『狩蛇(ハンヴ)』に向けて放つ。奴は既に見ているため、《潜伏》効果が無くなったのだ。はっきりと奴の姿を捉え、狙い撃つことが出来た。


 しかし俺が放った糸は『狩蛇(ハンヴ)』から逸れた地点に着弾した。ノーコンな俺の腕に舌打ちをしてしまうが、今はそれどころじゃない。奴が俺の存在にも気づいたのだ。


 攻撃されている事に気づいた『狩蛇(ハンヴ)』は、1度草むらに体を潜めた。《潜伏》を再使用するつもりだ。


 そうは問屋が卸さない。もはや新技の研究なんぞ忘れ、【溶解液極細噴射(スライムレーザー)】を横凪に撃ち放った。それにより『ミチグサ』が俺の目線の高さで切り揃えられる。俺よりも大きな『狩蛇(ハンヴ)』は体の上部分を若干だけ溶かす事となる。



「シャァァァッ!!?」



これには堪らなかったようで、叫び声を上げながらジタバタとのたうち回る。俺から見れば大蛇が痛みに暴れているのだ。ブンブンと振れる尾がかなり怖い。


 こうなってしまえば、『狩蛇(ハンヴ)』はもう戦うことが出来ない。《溶解液》で溶かし斬ると、刃物で斬られる時よりも痛みが大きいらしい。俺は神経を深くまで溶かしていくからだと考えている。


 痛みは戦意を削ぐ。幾ら自然界に生きるモンスターと言えど、痛みには弱いのだ。たまにブチ切れて痛みとか忘れる奴も居るけどね。この『狩蛇(ハンヴ)』はその種ではなかったようだ。


 介錯というか、そろそろ楽にしてやろうと思った。分体を食らった仇とはいえ、見ていて気分が良くなるものでもない。


 もう一度体の中で魔力を練りこみ、圧縮して放出。暴れ回って当て難かったが、なんとか『狩蛇(ハンヴ)』の首を飛ばした。ビクンビクンと数回震え、暫くうねうね動いていていたが、それも止まるとようやく落ち着けた。


 ピロリンという電子音を聴きながら、戦闘勝利の余韻に浸る。


 我ながら強くなったものだ。格上の魔物でも上手くやれば余裕で勝てる。俺が、と言うより《溶解液》が強過ぎる。こんなぶっ壊れ(チート)なスキルをスライムが持っていていいのだろうか。レアスキルに違いは無いのだが、たまに持つ奴も現れるのだろう。最弱とは?と聞きたくなる。


 まぁ、《溶解液》が通用しない魔物も現れるかもしれない。その可能性も考え、驕ることはしない。これからも弱者の立場で戦うことにしよう。


 『狩蛇(ハンヴ)』の死骸を回収してから探索を再開させた。


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