31話目 4度目の進化
すんません、遅れましたのに前回の付け足しです。
上から順に詳細を見ていこう。
『ウィキッドスライム』
中級魔物。
珍しい魔物。
様々なものに擬態し、化かすのが得意。
悪戯大好き。
食べると口の中でバチバチと弾ける。
『リトルインビジブルスライム』
中級魔物。
非常に珍しい魔物。
探知系のスキルでしか発見できず、生態は不明。
食べると口の中でトロリと溶ける。
『リトルニードルスライム』
下級魔物。
棘を生やしたスライム。
表面は削り、クリーミーな中身を食べられる。
先ず『ウィキッドスライム』は今の生体と言えば良いのかな。これになって獲得できるスキルがあるか分からない。正直に言えばナシだと思う。なる価値が見い出せない。
次に『リトルインビジブルスライム』か。これはありだ。めちゃくちゃ気になる。不可視になるというだけで男のロマンだよね。そこまで都合のいいスキルなのか試さないと分からないけど、有力なスキルとなってくれそうだ。
最後に『リトルニードルスライム』だ。...なんだろう。俺が《棘撃》は使えないな、とか言ったから棘を持てそうなスライムを提示してきたのだろうか。これになれば使えるぞ、みたいな感じ?はっきりと言おう。これもなしだ。俺の戦法上、棘は使わなそうだし邪魔になるかもしれない。他に選択肢がなければ選ぶだろうが、今は却下。
うん?今更食べられることに関してのツッコミはなしだ。『リトルニードルスライム』がウニみたいだな、とか思ってないし。
と、言うわけで、『リトルインビジブルスライム』に進化する。他二つが無しだから、というなんだかんだで消去法なんだよね。
〈『リトルインビジブルスライム』に進化しました〉
直ぐに変化が起きる。溢れんばかりの魔力が、体の奥底から湧いてくる。その影響か、体の表面が剥がれ落ち、新たな肉体が現れた。
トゥルットゥルッのスライムボディだ。
......なんも変わってないじゃない。期待してないけどなんか損した気分だ。
まぁ、これで4回目となる進化。体の微妙過ぎる変化に慣れたもんだよね。ひとまずステータスの確認、かな。どんなスキルを得たか知りたいからね。...何となく想像は着付くけどサ。
種族:リトルインビジブルスライム
称号:異世界からの来訪者
レベル:1/40
ランク:D-
体力:F+
魔力:C-
攻撃:F+
防御:F
俊敏:F-
運力:C
スキル:《鑑定 Lv.5》《アイテムボックス Lv.6》《言語理解 Lv.10》《溶解液 Lv.7》《吸収 Lv.3》《体当たり Lv.2》《疾駆 Lv.3》《風起こし Lv.3》《分裂 Lv.6》《潜伏 Lv.3》《擬態 Lv.3》《引っ掻く Lv.1》《噛み付く Lv.1》《透明化 Lv.1》
お、おぉ...。うーん、【魔力】以外のステータスが全然上がっていないな。【魔力】だけは上がりまくっていて嬉しいけどさ。なんというか、本当に魔術師的なステータスだよね。これは、本当に有り得るのでは...!魔法を使えるようになるまであと1、2回なんじゃ...!?
嬉しいねぇ、楽しみだなぁ。魔法云々に関わらず、魔力が上がることは嬉しい。お得意の《溶解液》を更に使いまくれるようになったし、他のスキルも運用できるようになるかもしれない。
そして、やっぱり《透明化》あるよね。説明を先ずみよう。
《透明化》
魔力を消費する。
発動している間、自身や触れている任意の物を透明にすることが出来る。
(レベル)×【魔力】×1.0[秒]使用可能。
と、な。《潜伏》に似た感じの設定だよね。魔力量が上がったからね。どんどん使っていける気がする。試しに分体を出してやってみるか。
俺の隣に俺と瓜二つのスライムが現れる。しかし、その見た目に少しだけ異変があった。
そう、色が変わっていたのだ。今までは透き通るような青色をしていたのに、今では銀色。どうやら外見に変化があったようだな。
...まぁ、どうでもいいけどね。
今は早く《透明化》の検証をしたい。分体に使わせてみる。
すると、元々透けていた分体の体が、更に透けていくでは無いか。1秒足らずでスキルは十全に役割を果たし、俺の目には分体が映らなくなった。
これは、凄い。なにがって、視認されないことだよね。視認されたらアウトな《潜伏》と組み合わせてみろよ。消費魔力がえげつないけど、どこでも《潜伏》できちゃうぞ。
勿論、見えないだけで存在はしている。試しに石を上から落としてみれば、分体に辺り体のラインを描いて落ちてきた。
《透明化》は魔物相手には有効なものでは無いだろう。アイツら、《気配察知》とか持っているからね。見えなくてもバレる。が、重ねて《潜伏》を用いることで、バレにくくなるのだ。
これは、戦闘の幅が少し広がった、かな。
早速試していきたいところだが、魔力不足に悩まされた。進化しても魔力は回復しないようだ。
元々肉を喰って経験値にする予定であった。それが強制されただけ。変更は何も無い。
ずらりと狩ってきた魔物の死骸を並べていく。
うーん、正直にいえば虫系の魔物を食べることに躊躇いがある。食感とかは無いのだが、虫を食す文化に否定的だった。イナゴが限界の俺にカブトムシやバッタはキツイ。嫌いでは無いのだが、食すと言うと話は別だろ。
だが、こいつらは俺と同格や格上の魔物達。喰わないという選択肢は無い。
意を決して俺は。
『オーク』に飛び掛った。
※ ※ ※
はい、終わりました。『オーク』3体分を取り込み終えた。今回は『オークの魔石』は《アイテムボックス》へと投げている。要らないと分かったからね。
途中で余った魔力が勿体なかったので、その分だけ分体を作っていった。それでも余ってきたので《擬態》するために必要な過程、"形"のインストールを行った。
インストールした"形"は3つ。『ワクロ(略称)』、『シャウル(略称)』そして『スモロビー(略称)』だ。
まぁ、賢烏は飛べるから、影狼は地上で速そうだから、小強兜は好きだから。カブトムシって男の子から人気だよねっ。クワガタと並ぶカッコイイ虫だと思うんよ。利便性は好きに勝つ事は出来ないのさ。
と、インストールは完了したけど《擬態》はしていない。そこまでの余裕は無かったから。したらしたでめんどくさいことが起きそうだしね。
『オーク』3体を取り込み終えた時、俺のレベルは[13/40]となった。なんか、一気に得られる経験値が減ったのだ。理由はやはり格下だからだろう。偉い手間がかかった『オーク』だが、経験値が不味い。となると、効率が悪いということだ。
ごく、と唾を飲み込む。
俺の前には虫系魔物達が並んでいる。
次の進化までいけるかも、とか甘い考えが早々に打ち破られた。これからレベルアップするための経験値がバカ高くなっていることだろう。少しでも多くの経験値を得るためには、自分の心を殺すことも必要だ。
またしても意を決する。そして、原型が無くなるくらいに《溶解液》を掛けまくった。ドロッドロになれば多少は目を瞑れるはず...!!喰らえ喰らえ喰らえーっ!!
という頭が可笑しくなった俺の奇行のせいで、とても直視できないようなグロリンな塊が出来上がってしまいました。ヴウゥゥオォォォェェっ!!!!




