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俺は、王道ファンタジーを望む  作者: めぇりぃう
第1章 俺は、安定した生活を望む
29/152

29話目 2日目終了

なんというか、前回の付け足しみたいなものです。


『オーク』を討伐し、その死骸を《アイテムボックス》へと仕舞う。


 先の闘いはなかなか心にくるものだった。


 分体の1つが倒されイラついたとはいえ、結果からいえば一方的な虐殺だ。これまでの闘いも殆どそれに近かったが、本体が安全地帯に居ることで、冷静で人間味のある自分が現れていた。今まではまだ死の危険があったからこそ、正当防衛の気分でいたのだが、今回は違う気がする。俺は罪悪感を覚え始めていた。


 俺は頭を振るう。


 自然界は弱肉強食だ。弱ければ死に、強ければ生き残る。その闘いに破れたのだから、相手に同情を見せるのはお門違いもいいところだ。


 俺は自分が殺した奴への敬意は忘れない。奴らの血肉を全て、俺の力として生き残る。これが俺にできる精一杯の償いだ。その為にも落ち込んでばかりではいられない。


 なんか、少し前にもこうクヨクヨと悩んだなぁ。命に関わると悲観(ペシミズム)的になってしまうのは、俺が元人間であるからだろうか。ま、良いよね。悩むことは人の成長を促すとかなんとか。聞いたような気がするもん。...今、人じゃなくね、とかいうツッコミは期待していなかったから。



 俺はそんなことを考えながら、とりあえず分体を本体へと戻すのであった。




 ※ ※ ※




 ってことで、また1時間ほど掛けて合流致しました。他の2体も集めたよ。


 分体の体が小さい上に、移動速度が遅いからかな。そこまで広い範囲は調べられなかった。だからなのか、魔物との戦闘も『オーク』だけだったし、良さげな住居も見つからなかった。


 日が暮れ始める前に今日の探索は終わらせたかったという理由もあり、ここで2日目を終わらせようと思う。まだまだ夕暮れ前なんだけどね。


 とりあえず──『オーク』をいただきます。むしゃむしゃします。



 分体一同心を揃えて綺麗に完食を目指します。『オーク』の皮膚は今まで食べてきた中でダントツに硬い。《溶解液》でも苦戦するかもしれない。それでもやるよ。必死にやるよ。結構溶かしておかないと《吸収》できないからね。



 肉体部分は分体達に任せて、本体は魔石を喰らう。


 魔石は『シャウル(略称)』よりも小さかった。ということは、図体の大きさは魔石と関わりがないと判断できる。つまり、魔石の大きさはランクに依るのだ。


 これまた良い情報を入手できたな。必要かどうかは置いておいて、ね。


 魔石を食べる。体内で直ぐに溶けた。



 .........無反応だ。なんの音もしない。



 ステータスを見てみたがびっくりだ。レベルが上がらなかったことはもちろん、何一つとてスキルを奪えなかった。まぁ、数が少なかった上に欲しいスキルも無かったけどね。《悪食》に興味があったくらいだし。


 それに、スライムが《繁殖》なんてスキルを持ってみなさいよ。卑猥だろーが。


 まださ。『オーク』やら『ゴブリン』やらが持っているというのなら、なんだ気持ち悪いな、で済むじゃん?けど、スライムが持ってみなさい。それだけで卑猥なモンスターの誕生だ。


 女ご主人様にテイムされるという未来があるのだ。そんなスキルを得たくない。


 というのなら俺よ。かなりアホだったな。《アイテムボックス》に放っておけば良かったじゃないか。たぶん腐らないんだし、危険なスキルがある魔石を喰らう必要はなかっただろうって。


 格下の、経験値も美味しくない魔石を食べて、要らないスキルだけを得ました、なんて言った暁には...俺は俺を殺すかもしれない。


 俺の行動を自粛しながら、計4体のスライムで『オーク』の肉体を食らっていった。




 ※ ※ ※




 随分と時間がかかってしまった。もう、夜だ。


 本当に厄介だった。《溶解液》のレベルが上がるんじゃないかと思うくらいに使ったよ。上がらなかったけど。


 因みに経験値はそこそこ美味しくなかった。


 『オーク』撃破、魔石、肉体。全てを足してようやく7つレベルが上がった。倒すのに一悶着あり、肉体を処理するのに手間がかかったと言うのに、だ。格下ってのはここまで不味いものなのか、と改めて実感したよ。


 いや、これでも多い方なのかもしれない。実際、俺が『リトルウィキッドスライム』になってから倒した魔物と言えば、数体の角兎と賢烏、影狼に豚野郎だ。これだけで次の進化に至るのだから、早いものなのかも。


 早かった要因は、やはり肉体を喰らうことでの経験値回収だ。これがなければあと4倍はかかっているはずだ。豚野郎の経験値の9.5割は肉だったし。


 《吸収》に感謝しないとだ。何気に1番輝いているスキルかもしれない。《溶解液》とどっこいどっこい...。流石は俺の生まれ持った才能達だね。



 さて、あとは寝るだけという構えだが、前述の通りに進化できるのだ。そして今、進化するかどうかを悩んでいる。



 選択肢は2つ。


 1つは今すぐに進化するもの。


 もう1つは進化せず、明日になってから魔物を適当に狩り、肉を置いておいた上で進化。直ぐに経験値を得てレベルアップするというもの。



 絶対に後者を選ぶべきだよね。分かっている。けど、やりたいじゃん?進化だよ。進化。直ぐに押したいじゃん...!?新しい力って気になるじゃん...!?



 何とかその気持ちを抑え、俺は進化を明日に回そうと決めた。進化先もまだ見ていない。これ見れば直ぐに進化したくなるからね。明日の楽しみに取っておこう。



 さて、葛藤は済んだことだし、日課を終わらせて寝るとしよう。2日目にして日課を作っている俺。すごいね。


 さぁ、俺の残魔力量を確認してっと......よし、精々2発だな。


 使い方を深く考えながら丁寧に撃っていこう。


 とか言いつつ、一回目は普通に撃つよ。レベルが上がってから威力を見ていないからね。知っておくべき重要ポイントだ。



 俺は魔力を注ぎ、あるスキルを発動させる。



 そのスキルは十全に義務を果たし、俺に心地よい風を送った。茂みがガサガサと軽く揺れる。明らかに昨日よりも力は上がっている。だが、それだけだ。まだまだ風が起きるだけのスキルである。改良せねばなるまい。



 分からないと思うが、日課とは、《風起こし》の発動である。

 


 風をどのように起こすかが要となってくるのではなかろうか。普通に放てば俺に向かって風が送られてくる。これがこのスキルの基盤なのだ。



 ここで竜巻をイメージしよう。



 螺旋状に昇っていくイメージだ。勢いは無くていい。どうにか形さえできれば進歩するはずだ。



 結果は言うまでもない。



 俺のイメージは失敗した。弱い風が俺の右から左に吹いただけであった。



 そしてそのまま、俺は魔力不足で気絶した。

評価を少し頂いてやる気が少し出ています。評価などが私の燃料になりますので是非とも...!「ボクだけ"超ハードモード"な世界の終末」も何卒...!

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