25話目 影狼
『スパイクウルフ』及び『ベイビースパイクウルフ』のスキルを変更しました。興味がありましたら見てみてください
※タイトル訂正しました
俺は分体1号を盾にしながら2号を前進させる。
《潜伏》の条件は相手から視認されていないこと。さすれば見つかりにくくなるとか。
これはもう、信じるしかないため疑わないけどさ。説明文に不安を感じるのは俺だけかなぁ。なーんか、絶対に見つからないという訳では無いから、これに頼り切るな、と暗に言われているような気がする。
まっ、別に気づかれたところで、俺の作戦に支障はないんだよね。
だってさ。魔物でもスライムの事を舐めている奴、結構多いと思うのよ。めっちゃ舐めてかかってくると予想するね。見向きすらされないんじゃないかな?そしたら背中からまとわりついて殺るだけ、だけどね。俺の《溶解液》はノーマルスライムが持つ《溶解液》より強いらしいし、きっと驚く顔が見れるよ。楽しみだ。
3号は念には念をおきたかったため、2号の後ろについているよ。あれだ、だんご三兄弟並の縦隊やってる。前から順に倒されるとコンボが続く楽しい雑魚キャラみたいな?まぁ、《潜伏》が上手く発動していれば1体見えるから、大丈夫。討たれるのは先頭にいる1号だけだ。
...なんか今1号が動作不良を起こしたけど気の所為かな。
1号を盾にしながら進んでいく。さっき来た時はビクビクしてたけど、2回目だからぐんぐん行くよ。隠れながら進ませることも早い段階で慣れたし。同じ動作をさせるだけ、っていう理由が存在するんだけどね。
そして『スパイクウルフ』達の居住エリアまでやって来た。本日2回目だね。十数分ぶりだね。
暗くてよく見えない。でも、俺には《鑑定》ちゃんがあるからね。情報が出る位置のおかげで、大体の位置は掴めるんだ。昨日から《鑑定》を使い続けている俺にとっちゃ、見えない敵の位置を探りながら動くくらい、どうってことないさ。...結構頭が痛くなるけど。
そんなことより、まだ戦闘は始まってなかったみたいだ。『スパイクウルフ』が『シャドウウルフ』を上手く牽制して近づけていない。しかし、『スパイクウルフ』に勝機はあまり無いようだ。3体1だけでもキツイと言うのに、後ろにいる『ベイビースパイクウルフ』達を守らなきゃいけないからな。
やっぱり急いで来てよかった。ここまで来たら、あとは俺にできることをやるだけだぜ。
意気込んでいたら『シャドウウルフ』が唸ってきやがった。どうやら威嚇されているみたい。あー怖い怖い。本体にやられていたら動けなかったかもしれないけど、これは分体だからねぇ。なんか怖いだけで、ホラーゲームをプレイしているような感覚?苦手な人には辛いかもだけど、俺は苦手じゃないしなぁ。
という理由で『シャドウウルフ』の威嚇を完封しましたわ。やりぃ。
さてさて、お返しに《鑑定》の結果を見てみよう。
種族:シャドウウルフ
レベル:24/50
ランク:D+
スキル:《体当たり Lv.3》《疾駆 Lv.3》《噛み付く Lv.3》《引っ掻く Lv.4》《気配察知 Lv.4》《影操作 Lv.5》《影潜み Lv.2》
危険度:中
『シャドウウルフ』
中級魔物。
暗闇好む魔物。
洞窟を拠点とする他の魔物を襲い、その拠点を略奪する。
なりほど。基本は『スパイクウルフ』と変わらないらしい。傾向的に狼型の魔物はこういうスキル構成なのだろう。そしてやはり影。影を操って戦うんだな。
警戒すべきは《影操作》と《影潜み》だが......これは対処のしようが無くね?と言うか、洞窟内でも使えんのか?光がないと影ができないだろうに、暗闇の中でも使えたり?少しは光が入ってくるから大丈夫、ってことかな。
と、俺が考えながら『シャドウウルフ』へと近づいた。
そうしていると、コチラに向いていた1匹の『シャドウウルフ』が1号目掛けて足を振り下ろした。
簡単に壊される核。
崩壊する体。
なるほど。確かにスライムって弱いな。核もそれなりの強度を持っているはずだけど、格上の攻撃は防げないか。
2号目線からドロドロと崩れていく1号を眺める。感慨深いな。自分が殺られている姿を見るなんて。
あぁ、我らが分体のリーダー1号よ。キミの活躍は忘れない。お勤めご苦労だった...。
さぁ、やり返しと行こうじゃないか。
まずは2号で《吸収》を発動させる。すると、1号の死骸が2号に取り込まれ、体積が倍に膨れる。これはできると知っていた。核が壊されても、肉体は俺の肉体だからね。取り込めるのは当然よ。
倒したスライムの影からスライムが出てきて、更に大きくなったことに驚いたのだろう。『シャドウウルフ』は固まったまま動かない。
目線は大体同じになったな。噛みつかれる前にやったるぜ。
2号の体を伸ばして『シャドウウルフ』の顔面に纏わり付く。ついでに《溶解液》で目潰しと口潰しと鼻潰しをする。倒しきれなかった場合まで考え、容赦ない攻撃をする。俺も中々戦闘に慣れてきたのでは?何時かは軍師スライムとか呼ばれたりして?
そんなことはどうでもいい。今は『シャドウウルフ』狩りだ。
いつもの勝ちパターンである、取り付きからの《溶解液》が決まったことで、俺としてはもう勝った気で居る。後はしがみつくこと、《溶解液》を出すことの2つに意識を向ければ良いだけだし。
魔力の方も余裕がある。何せ1号の分を取り込んだからね。《潜伏》で浪費した分以上に回収できたし、元々《溶解液》コスパが良いから。
『シャドウウルフ』はジタバタと暴れる。やはりスライムに負けるとは露ほども考えていなかったらしいな。突然の反撃に対応できず、今は痛みでもがいている。
出鱈目に影を出して攻撃してきているのだけれど、俺の核には当たらない。なぜか?そりゃ、体積が大きくなったおかげで、『シャドウウルフ』の背中部分まで伸ばした体に置いてあるからね。『シャドウウルフ』は顔面に取り付く部分しか斬ろうとしていないし、背中部分には手も足も届かない。頼りの影なら届きかねないけど、背中までブッスリといきそうじゃん?だからやらないと思うんだよね。
まぁ、たまたま当たって壊されることもあるだろうけど、そうなったら3号が飛び出して更に大きくなってやるだけだし。
やっぱり、近づいて取り付いたら勝ち確だ。スライム強いじゃん。スライム強いじゃん!こりゃ、最強になるってのも遠くないのでは!?
と、考えているうちに戦闘は終了。『シャドウウルフ』は俺の経験値となりましたとさ。肉を喰らうのは後でいいや。取り敢えず《アイテムボックス》へとぽーいっと。
ふぃー。終わったわー。前を《鑑定》で見てみれば、『スパイクウルフ』しか反応が無い。どうやら1対2で勝ったらしい。凄いじゃないの『スパイクウルフ』。もしかして俺、要らなかったかも?
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あと、別の作品も書いているので見てください!




