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もの集め

013


 ネイのお店は主に穀物を扱うお店だ。普通の麦などは勿論のこと、ここら辺ではあまり見かけない種類のものまで扱っているらしい。


「うちは扱う種類の多さがウリなんだ!勿論悪いものを渡すつもりは無いよ?ま、私達は表とはまた違う()()が重要だからね。その点安心してくれていいよ」


 そういうネイはいくつかの商品をカウンターの上に出した。私はそのひとつを手に取り袋を開けた。中身はこの国で1番流通している麦の種類で、混じりがなく、しっかりと製粉されているものであった。値段を聞くとやはり相場より少し高めであったが、表で下手に安いものを買って失敗するよりはいいだろう。


「へぇ、自分で言うだけはあってどれも中々いいものね。ああ、これ1袋くださいな。......でもあまり売れない種類もあるんでしょう?」


 私は話をしながら代金を渡すと、ネイは少し苦笑しながら受け取った。


「毎度あり! あ、重くない?......まぁでも、鮮度が落ちきる前に何とかするから。そういえば、貴女の主人の人、あの感じだと割と持ってるんでしょう? 試しにどれか買ってみない?」


 そういうとネイは少し小ぶりな袋をいくつかカウンターの上に乗せた。その拍子に少し開かれた口から舞い上がったのだろう、嗅いだことのない穀物特有のいい匂いがした。思わず買いたくなったが、今日は他にも買わないといけないものがいくつもあるのだ。そんなに荷物に余裕はないだろう。少し残念だが、また彼女のお店に来ればいいだけだ。


「私としてはとても興味があるけれど、今回は無理ね、他にも買わないといけないものがあるから。今度来るときにでも彼に聞いておくわ。……あの、話は変わるのだけれど、最近の王都はどんなことが起きているの?」

「どうと言われても......上の連中は相変わらず物騒だし、下の状況も変わらずというか」

「もっと詳しく聞かせて」

「詳しくって言ったって......ああもしかして、そういうこと? よく来れたね、大丈夫なの?」

「問題無い」


 私はネイの目をじっと見つめると、ネイは溜息をつくと話し始めた。


「そえねぇ、最近の王国の動きは前に比べて大人しくなった気がするわ。まぁ、オーサマは相変わらず物騒な思想を持ってるけど、周りの国が結託しちゃったからね。暫くはでかいことは起きないんじゃない?何かない限りは、まぁ最近きな臭い話は多いけど」

「へぇそれで、きな臭い話ってどんなことが起きているの?」

「お抱えの魔導具師や研究者を皆引っ張り出して、禁忌に触れるようなヤバいもの作らせている~とか、それに色んな種族を犠牲にしているだとかね。まぁ、似たようなのは昔からあるんだけどね!」

「へぇ、そうなのね」

「まぁでも、最近はやたらと物騒な話が多いかな。今までは見えないフリをしてたグレーな所に住んでる奴を摘発しだしたり、私達みたいな混じりを問答無用で捕まえたりね」

「え? ネイは大丈夫なの?」


 ネイはありがとう、と言うとカウンターに肘をついた。


「ま、私は普通にしてたら少し小柄な人族と変わらないからね。人族に見た目で気が付かれることはほとんどないさ。それに目立つようなことはなるべく避けてひっそりと上手くやってるさ。捕まった連中はちょいと頭が足りなかった奴らだからね。まぁ見回ってる奴らは最近少し手荒いけど」

「へぇ……色々と助かったわ。また今度聞かせて。あ、やっぱりこれ貰っていくわ。やっぱり話をするのにも現物がなくっちゃね」

「毎度あり。ああ、どれも値段は同じでいいから好きなの選んで」

 

 私はネイにお金を渡し、話の間ずっと気になってた袋の一つをしまうとネイの店を後にした。その後も彼と一緒に行った店や、表にあるお店を回りながら食料の調達と情報収集を行った。しかし、情報としてはあまり目新しいものはなかった。王都に潜む人以外の種族からは、私は人族の奴隷ということであまり信用されていないのだろう。ネイ以上の話を聞くことができなかった。

 また表では、魔道具の腕輪のおかげで堂々と買い物ができるが、子供に見えるからなのか、全く情報が集まらなかった。代わりに集まったのはとてもどうでもよいことばかりだ。このときばかりはわが種族の背の低さを呪った。

 そうこうしながら、夢中で王都を歩き回っているうちに、つい時間を忘れていたせいで日が傾き始めたのに遅れて気がついた。


(あ!不味い、今から帰ると完全に日が落ちるけど......仕方ない帰るしかないか......)


 そう思いつつ、王都の門へ足を向けたときであった。

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