14話 真の変態
ケイ、ついに目覚めます(笑)
その瞬間、モナから魔力の奔流が溢れ出すのが分かった。
可視化するほど濃く、青白い魔力がモナを中心として渦を巻くように広がる。
ーーーバチッ!バチバチバチッ!!!ーー
空気と魔力が摩擦を起こして静電気を発生させていた。
「カハッ………………!!!」
モナから溢れる魔力とプレッシャーで冷や汗が止まらない…!!
息が思うように出来ない!
蛇に睨まれたカエルとはまさにこの事だ。
それはまるで絶対的な死を、殺生与奪権をモナに握られているような感覚だった。
俺は今心臓を掴まれている!動いたら死ぬ!!
酷く喉が乾く。
足の震えが止まらない。
顎から滴り落ちる汗が鬱陶しい。
心臓の鼓動がうるさい。
時間にすればほんの数秒程度だったかもしれない。俺はその時間が永遠にもかんじられた。
俺は死の恐怖と同時に、しかしながら…………
…………その魔力に強い憧憬を抱いていた。
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「ふう…こんなもんかの?」
気がつくとそこに立っていたのは俺とモナだけだった。
おっさんたちは白目を剥いて気絶している。息はあるので、死んではいないようだ。
きっと手加減していたのだろう。そうでなければ今俺が立てているはずがない。
足が震えて座る事すら出来ない。
「あ”……」
声がかすれて上手く出ない。
「おん? なんじゃ?貴様、気を失っとらなんだか。」
声を出さなきゃ!!今しかないんだ!!
「ほれ、気を失っとらんならさっさと行くぞ。こんな所にいたら気分が悪くなる」
カッカッカッと笑いながらモナが歩いていく。
今しかないんだ!! 声をだせ!!
「お…おれ……俺を……っ!!!」
「なんじゃ? オレオレ詐欺か?」
「ちっ…違っ………!!」
「馬鹿な事やっとらんで行くぞ」
あぁ……行ってしまう…….待って…待って!!
その瞬間俺はモナの後ろ手を取り、振り向かせる。
モナは俺の行動に驚いているようだった。
モナのルビー色の瞳を見て、言う
「俺をっ…弟子にしてください!!!!!」
モナの瞳に映る俺の目は、強い好奇心に彩られていた。
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