街にて
『厨君すごかったね!私すごくドキドキしちゃった!』
帰ってきて早々アイスの一声にて厨君はすごく嬉しそうだった。お、俺は強いからな!当然だ的なことを照れながら言っている。
そんなことより聞かなければ!
「なんだ!さっきの異能!説明しやがれ!」
厨君とアイスはその言葉に首をかしげた。
「貴様、異能者じゃないのか?この世界に転移してきたのは全員異能者って主催者が言ってたはずなんだが...」
うえええええええ!俺以外異能者だとぉ!
なんで俺だけぇぇぇぇぇぇ!
「まぁ貴様も転移してきたってことは異能者なんじゃねーのか。俺には関係ないことだがな。」
『舞壱君、これから異能使えるよう一緒に練習するから落ち込まないでね!別に好きじゃないんだから!』
まぁ異能のことは気になるが疲れたので今日はもう部屋へ戻った。
寝ながら考え事をしていた。それはアイスが可愛いすぎるのだ。俺は3次元には全くというほど興味がなかった。2次元が好きなのが大いに関係あるがそれ以外に可愛い人と出会えなかったというのが理由だろう。世間一般からは可愛いと言われるような人は学校にたくさんいただろう。でもそんなんじゃ俺は揺らがなかった。
だがこの世界に来てからというもの俺は揺らぎまくっている。俺は今すぐにアイスに告白して色々なことがしたい。だって年頃なのだもの。てへ!
だがアイスとはまだあまりしゃべっていない。なのでこれを機に猛アタックしてみよう。鈍感じゃなければいいのだが......
次の日の夜
アイスに向けて言ってみる。まずは最初のクエストが終わった打ち上げとして夜ご飯を一緒に食べようぜアピールだ!
「今から夜ご飯一緒に食べない??」
『...いいの?』
声は小さいがアイスはやたら嬉しそうだった。まぁ俺に好意があるわけではないだろう。お腹が空いているのだろ。
「もちろん!んじゃー、アイスちゃんは何食べたい?」
『あ、アイスちゃん?!えーと...舞壱君これから私のことはアイスって呼んでもらっても....いい?』
それはまるで本心から言っているようだった。その照れ方は照れキャラを真似してやっているようには見えなかったのだ。なんて可愛いのだろう。可愛すぎて抱きしめてあげたい。とおっさんくさいことを思っていると
『....うど..ん.....』
なんて萌えるんだ!うどん一言でここまで萌えるとは!これはアイスルートに入ったのであろうね。きっとそうに違いない!
心たぎるね!
「いいよ。うどん食べよ。ってどこで食べんだ?てかそもそもお金は?」
そうだ。どこで食べんだ。全く俺ってばそんなことに気づかないとは。
『えーと...確かÜbergang使えばここから街に転移できるらしい...よ。必要最小限のお金が元々金庫に入ってたよ。』
なんと便利な!
「なら今すぐ行こうぜ!」
『うん!』
すごくいい返事だ。可愛いなぁ
後ろの方で「お、俺のこと忘れないでぇ。お願い無視しないでぇ。」って声が聞こえたが無視しよう。
俺たちは転移の部屋に行き街の名前を設定し転移した。
ーーーーーーーーーーーーーー
ここがエレルガンドという街らしい。俺たちが住んでいる館も一応エレルガンドらしいが街からは遠い。それにしても明るい街だ。
「おいおい兄ちゃん達ぃ」
酔っ払った男が寄って来た。くそ、チンピラか。
「俺たちと食べないかぁ?ここの店は絶品でよぉ!」
ただの食事の誘いだったらしい?のか。
アイスはすごく可愛いのでアイス目当てに寄って来たのは間違いないのだろうけど情報も少ないし、少しだけ一緒に食べよう。
「俺はガイド! ガイド・メイロスだ!よろしくな兄ちゃん達ぃ!」
このガイドという男は俺たちと年はほとんど変わらないが兄ちゃんと呼んでくる。うん。少し鬱陶しい。それにしてもガイドはすごくチャラチャラしている。今にでもアイスに手を出しそうだ。
「あんま見ない顔だから遠くからきたんだろ?この街はなぁあんまなんもねぇ街だがこの店はすげぇ絶品なんだぜ!」
「あんた!店を褒めたって今日はちゃんと金はらってもらうからね!いい?!」
この店のオーナーらしきおばちゃんが出てきた。ガイドはいつも金を払わないで飲み食いしているらしい。けしからんやつだ。
「わかってるってぇ。ばーちゃん。今日は払うから。」
「ばーちゃんだってぇ?ふざけんのもいい加減にしな!表でな!!!!」
「ふっげっっ......」
首を掴まれてガイドはご退出した。
俺たちは顔を見合わせて苦笑いしてしまった。
俺たちはうどんらしきものを注文した。
だがそれはうどん以上に絶品だった。
アイスもご満悦だ。おばちゃんにお礼を言い店を後にした。
俺は少しでもアイスといたかったので帰りは歩くことにした。30分くらいで着くらしい。
それにしても夜空が綺麗だ。まるでこの世界に来てから見た空を思い出す。ってかつい最近のことだがな!
「きれいだな。」
『...うん、すごく綺麗。』
「アイスはさ、元の世界に帰りたい?」
『私は...この世界が好き...でもアニメも好き、だから..さ舞壱日本に帰ったら私と一緒にアニメ見たりしてもらっても.....いい?」
「ああ!!もちろんさ!一緒に見て笑って悲しんでたまには秋葉原とか言って一緒に買い物しよう!約束な!」
『うん!!』
すごく元気に返事をしたアイスはものすごく可愛いかった。
その時のアイスの横顔は月に照らされほのかに輝いていた。そして少し頬を染めていたような。
って情報ガイドからもらうの忘れてたーー