……えっ、まじで?
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結局、あたしは五十嵐に買ってもらったジュース片手に、なぜかベンチに座らされていた。
「本当に久しぶりだな。まともに顔見たの、成人式以来?」
「あー、そうですねー」
確かに、成人式で一回見かけた。
で、声かけられる前に全速力で逃げた。
「今何やってんの?」
「フリーターですがなにか?」
「めっちゃ似合う」
そろそろ、ど突いてやろうかな。
「俺、今実家出てこっち住んでないんだけど、たまたま戻って来てたんだよね」
「仕事なにやってんの?」
「飲食」
へー。
まあ、接客業向いてそう。
「大変そうですね。でも、お元気そうでよかったです。それじゃ、あたし買い物しないとなので、これで……」
「なあ、なんでそんな俺のこと避けんの?」
は?
「よくそんなこと聞けますねえ?人のこと散々貶しておいて。人のチョコ見せびらかして貶して、ゴミ箱に捨てるような人と話す暇なんてございません。……これ、ジュース代」
あたし、財布から二百円出して再び店内に戻ろうとする。
が、また手首をがっちりと掴まれた。
「なんなの!?」
「待てよ、なんだよその話。俺、お前からもらったやつ捨ててないんだけど」
「はあ!?まなえちゃんから聞いたし、証拠写真だって見たんだからね!」
安野まなえ。
それが、写真を送ってきてくれた当時の女友達だった。
「まなえが……?ああ、なるほど」
と、五十嵐、急に納得したような顔する。
「お前、騙されてるよ」
「はい?」
「まなえってさ、俺が中学の頃の元カノだったんだよね」
……えっ、まじで?