8話
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入学式を終え、大広間を後にしたデリトとサラシャは別行動をしていた。
サラシャには待機させていた侍女を付けさせ、デリト自身は学院を散歩していた。
これはただの散歩をしているわけでは無い。散歩という名の偵察および警戒すべき場所の確認をする作業である。
デリトはまず学院の外周から確認していくために校舎の外を見回っていた。
この学院は王都にあるが、自然と森を愛する事も貴族の嗜みとしているため、学院内に大きな森がある。
森はこの学院内で犯罪者が身を隠すのに最適な場所だ。過去にも何件か事件(と言ってものぞき目的の軽犯罪だが)が起こっているため油断は出来ない。
そういう輩に限って冒険者崩れだったりするので戦闘力が異常に高く、非常に面倒くさい相手なのだ。
冒険者とは冒険者ギルドに登録することで、魔獣の討伐依頼や、住民の雑用、様々な仕事を冒険者ギルドが仲介する代わりに依頼を受け、金銭を受け取る、所謂何でも屋のような職業だ。
魔獣と戦闘することもありそこそこの戦闘力を有しているのだが、如何せん不当な輩や態度が悪い輩が多い。
しかし犯罪をするような連中に限ってなまじ戦闘力が高いため、戦闘に持ち越されたらやっかいである。
そこでデリトは犯罪が起きる前に偵察をしていたのだが……。
「キャーーー!?」
いきなり森の中から悲鳴が上がり、それを聞きつけたデリトは急いで声のする方向へと向かった。
声から見るに年齢は若い女性、サラシャよりも少し上くらいの年齢であることがうかがえる。
デリトは基本的にサラシャ以外を助けたりしようとはしない。だがそれはサラシャの命令が無ければの話である。
デリトはサラシャに人を救えと言われれば火事で燃えている家の中だろうと迷わずに飛び込む。逆に言えば言われなければ助けない。
しかしデリトも人間だ。助けてあげたい気持ちはあるが、言っては失礼だがデリトはサラシャが無事ならそれでいいのだ。
今にも死にそうな人が目の前にいても助けてはあげたいが、なにも助けたくなくて助けないわけでは無い。主人の危険を考えるとやはりそちらを優先して何もしないという選択肢をとるしか無いのだ。
だが現状、サラシャはデリトの最も信頼する侍女に任せてある。
この場合サラシャの危険を考えなくてもいいと判断し、デリトは急いで現場に向かうことにしたのだ。
間に合って下さい……!!
デリトは叫び声が上がったと思わしき場所にたどり着くがその場には誰もいなかった。
「一体何が……。ッ!?」
一旦この場で思考整理をしようとした途端、背後から物凄い殺気がこちらへと突き刺さってきたのだ。
デリトが驚いて振り向くとそこには一人の少女が立っていた。
デリトはその少女を見た瞬間、綺麗だ、としか思えなかった。
きちんと揃えられた前髪、腰まではありそうな長い銀髪はサラサラと風に流れ、見る者を魅力する。
身長はデリトより頭一つ小さいくらい。
この学園の制服を見に包み、つい先程までこの学園の全生徒の前で挨拶をしていた人物。
――――生徒会長、フィリア・ティン・ラームス。
いきなり現れた人物に対し、デリトは普段ならここまで殺気を飛ばされれば警戒している。そのはずがこの少女の前ではそれが必要ないとデリトの直感が告げる。
(やはりこの方と私は面識がある……。しかしどこでこのような方と……? 全く記憶にない)
デリトが警戒していない事を知るとフィリアはふらりとデリトに近づいてくる。
そしてデリトの胸板に全身を預けた。
デリトはフィリアの急な暴挙(?)に動揺し、何も出来ずにいた。
(何故……、動けない? 私には誘惑耐性があるし、いついかなる時も動揺しない鍛錬を積んでいたはず! だが何故……、いや、これは! 本当の意味で私が拒んでいないということですか!?)
内心冷や汗でダラダラのデリトにフィリアはさらに腕を動かし、デリトの背中まで手を持っていき、抱きしめる。
「心配、しましたわ。……そして、お久し振りです、私の愛しいデリト様」
………………。
「はぁ!?」
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