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5話

よろしくお願い致します(*・ω・)*_ _)ペコリ

 {AM12:23}


「お嬢様、王都が見えて参りました。王都まで数分で着きますので馬車を降りる準備をしておいてください」


「分かったわ、所でデリト、後ろから気になる気配があるのだけれどその事については何も無いの?」


 ミネラス公爵家を出発してから一時間と少し、ぼこぼことした整備されていない道が王都に近づくにつれて補填され整備された綺麗な道になっていく中、デリトは確かに後ろから負のオーラを放つ集団の存在に気付いていた。

 しかしサラシャには気付かせること無く終わらせるつもりがあっさりとバレてしまった。


「申し訳ありませんお嬢様。後ろの賊共は私が密かに排除しようとしていたのですが……お嬢様も気配察知が出来るようになられたのですね。さすがお嬢様です、同年代にもそこまでの気配察知の使い手はそうそういないでしょう」


「ふふっ、これもデリトのおかげよ。いつも私につきあってくれてありがとう」


「……いえ、私はお嬢様のバトラー。主人に仕えるのは当たり前のこと、そして主人を守るのも私の役目ですから。では少々お待ちください、賊を消してきますので」


「やり過ぎないようにね? 土地を破壊したら高額な賠償金がきちゃうから」


「御意に」


 デリトは馬車を止めると御者席に立ち上がり少しの振動も無く(・・・・・・・・)飛び上がり馬車の後ろに立ちはだかった。

 こちらの馬車に追いついた盗賊と思われる格好をした男集団がこちらに剣を向け叫ぶ。


「俺らは泣く子も黙る盗賊団『ブラッド・サーベル』だ!! さっさとその荷馬車と中にいる女を寄越せ、そうすりゃ命だけは助けてやってもいいぜ? ハハハハハ!」


「申し訳ないのですが自分の主を置いて逃げ出すという愚行を犯すつもりはありません。ご託はいいのでさっさと向かってきてください、この能無し共が」


 デリトが語尾を強調して暗に降伏しろと告げたところ、盗賊の面々のこめかみのあたりに青筋が走っているのがよく見えた。


「後悔しても知らねえぜ?」


「そちらこそ、お嬢様に手出しすることがどういうことか徹底的に知らしめて差し上げますので覚悟してください」




 ☆★☆★☆★




 俺は盗賊団『ブラッド・サーベル』の頭をやってるゲインってんだが……、なんだありゃあ!?

 俺らが今回狙ったのは王都に近づく貴族の馬車だ。遠くから観察していたんだが、ただの執事と貴族の女が笑って話しているだけだった。だから余裕だと思って今回事に及んだんだがよ。

 ありゃあ怪物か!? ひょっとしたらこの国の王国騎士団長より強ええんじゃねえか?


 俺らの人数は百ちょいって所だ、それがものの数分で壊滅しやがった!!

 まるでこちらの人間が風に舞う落ち葉のように吹き飛び、打ちのめされていきやがるッ!!


『ブラッド・サーベル』は王国騎士団でも手こずらせる程度の実力はあるはずだ。それをいとも簡単に……。

 何もんなんだあの執事は!?


「さて残りは貴方だけですが……、最後です、降伏してください」


「ああ、勝てるわけがねえ。降伏するがよ……、あの馬車に乗っているのは王族か何かか? お前の強さ、そして貴族っぽい女を一人で任されるって事からそう予測したんだが?」


「そうですね、王族の方ではありません。こう言っては不敬罪で処刑されてしまいますが、私にとっては王族の方よりも、世界中の誰よりも大事なお方です。たとえ国が、世界が、神が敵になろうともお嬢様を守るためなら喜んで戦いに身を置くでしょう」


「……そうか、俺らはとんでもない女……いや、お嬢さんに手を出すところだったんだな。そこまで言わせる人間に俺も仕えてみたかったぜ」


「まだやり直せますよ、もちろん衛兵に差し出しますが、この国の犯罪奴隷はきちんとした人権を持てる。犯罪奴隷の期間を終えたら職場探しでも何でもして衛兵でもやれば良いんです。職場が見つからないときはこの国の第八衛兵団に「デリトの知り合いだ」とでも言ってください。喜んで衛兵団に入れてくれるはずですから」


「お前、情けを掛けてくれるのか? こちらとしてはありがたいが。職場まで提供してくれるとか何企んでやがる」


「何も企んで等いませんよ、敢えて言うなら……そうですね、ここで恩を売っておけばお嬢様に何かあったときに有利に働くように動かせられるからですかね」


「そうか……。んじゃ、俺はやり直してみるよ、悪いんだがお前の主人の名前を教えてくれねぇか? 復讐とかは考えてねぇ。ただ恩を貰った相手の名前は知っておきたくてな」


「ミネラス公爵がご令嬢、サラシャ・フォン・ミネラスお嬢様です。覚えておいてくださいね」


「ああ、覚えておくよ」




 ☆★☆★☆★




 一方馬車の中ではデリトを心配したサラシャが外の音を集音で拾って聞いていたのだが終始にやけっぱなしだった。


「うふふっ、神が敵になってもですって。ああ、私のデリト、いつまでも側にいてね」


 御者台に戻ってきたデリトがサラシャのにやけ顔を見て体調の心配をしていたがサラシャはにやけを抑えきれずに王都に着くまでずっとどこか上の空だった。


ありがとうございました(*・ω・)*_ _)ペコリ

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