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13話

更新が遅れて申し訳ありません。

更新速度を上げると言っておきながら、体調不良とプライベートの忙しさで筆を執れずにいました。

楽しみにして頂いていた読者の皆様には申し訳ないことをしてしまいました。

本当に申し訳ございませんでした。


さて、本題なのですが。

最近プライベートが忙しくなってきました。しかし更新速度が遅いとご指摘を受けましたので、これからこの作品は週に一度は更新できるように努力いたします。ですがあまりにも忙しくて執筆できない場合もあると言うことをご理解いただけると幸いです。

そんな私の作品で良ければこれからもデリトとサラシャを見守ってやって下さい。


 聖ディーレイラ女学院の一室、一学年Aクラスの教室は朝からざわついていた。

 注目を集めているのは教室で一番後ろの窓側の席に座っている人物だ。

 本来一番目立たないはずの席が何故目立つのか、それはやはりお淑やかに佇む一人の少女がいたから――では無く。


「あら? オファイス公爵家の御令嬢は随分と綺麗なお召し物をしてなさるのね、まるでゴブリンの腰布みたいだわ」


「ミネラス公爵家の御令嬢からお褒めのお言葉を頂けて光栄ですわ。そちらこそ、とても良い香りの香水を使っているようで……、まるでオークの体臭のようですわ」


 サラシャと相対している青髪ドリルの髪型をした彼女はシャトレー王国公爵令嬢、メアリー・フォン・オファイアスである。

 この二人は登校初日から啀み合っており、現在進行中で皮肉や嫌みの応酬を繰り広げていた。

 それもそのはず、ミネラス公爵家とオファイアス公爵家では深い因縁がある。その影響は当主同士だけでは無く、本来お互いに敵対する必要の無い少女二人にまで及んだ。


「お嬢様、ここでは人目につきます。それにゴブリンの腰布だなんて麗しき御令嬢が使う言葉などではありませんよ」


「そうだぜ、お嬢。デリトの言うとおり、公爵家令嬢がオークの体臭なんて簡単に口に出すもんじゃねぇ。そろそろ生徒も登校してきてる、ここら辺が潮時だと思うぜ」


 そんな二人に声を掛けた二人の青年。

 一人はデリトだ、普段このように相手を馬鹿にすることなど殆ど無い主人を諫めようと四苦八苦しているところだ。

 もう片方はデリトが今朝出会ったジンだった。ジンは言葉遣いは主人に対する物では無いが、やはりこの学院に入学出来るだけあって立ち居振る舞いは完璧だ。少し言葉と立ち居振る舞いにギャップがあるものの、それをカバーしうるだけの技術があることをデリトは確認している。


 執事二人が喧噪を納めようとしても、少女達は額をつきあわせてにらみ合っている。

 やがてお互いに顔を逸らすと、メアリーは鼻息荒く自分の席に戻っていく。サラシャは自分の席から立ち上がっていたのでその場に座り直した。


「(お互いに苦労してんな、こんなお嬢だけど宜しく頼むぜ?)」


「(ええ、こちらこそ、お嬢様を宜しくお願いします)」


「(おいおい、敬語は無しって話だろう?)」


「(職務中ですから)」


「(ひぇ~~、念話くらい良いんじゃ無いのか? おっと、お嬢が呼んでる、またな)」


 軽く念話で挨拶を込めた会話を交わし、デリトはサラシャの後ろへ控え、ジンはメアリーの下へと向かった。

 既にクラスの生徒が全員席に着いていた、それから暫くするとHRの始まりを告げる鐘が鳴り、教室のドアが開く。

 ドアから入ってきた人物が教卓へと足を運ぶ中、クラスの全生徒の視線がその人物へと集まる。


「やっほーー♪ みんなのアイドル、ユリーカ・フォン・ヴィヴィオンだよっ♪ 今日からこのクラスの担任になったから気軽に『ゆりりん』って呼んでねっ♪」


 クラス中がその自己紹介を受けて呆然とした。

 ちんまりとした背丈にアッシュ色の髪を肩甲骨あたりまで伸びており、右側に作ったポニーテールをポンデボリュームに通し、覆い隠すようにお団子を作っている。


 それだけでは無く、黒を基調とした、レース、フリル、リボン、に飾られた華美な洋服、スカートはパニエで脹らませ、靴は編み上げのブーツや厚底のワンストラップシューズを履いていて、髪のお団子にはこれまた黒を基調とした白いレースのフリルのシュシュとセットになっている。


 そして教室という室内にも関わらず、服と同じようなデザインの日傘を差している。


「あっれれ~~? 皆どうしたの? あ、なになに~、皆私が担任じゃ嫌だった?」


 ニコニコと笑いながら無邪気に質問してくる彼女に対してクラス中が呆然としている中、生徒の誰かが聞きそびれるような声量で呟く。


「……『小さき魔女リトル・ウィッチ』」


 それを渇きにクラス中の生徒が騒々しくなる。


「何であのSランクエナジエーターがここに!?」


「すごい……! 本物のユリーカ様よ!!」


 皆呆然としていたのはその奇抜な服装故の反応では無い。多岐にわたって数々の功績を挙げた彼女は、この国では知らない者はいない有名人だ。その彼女が教卓に上がっているだけでこの騒ぎ、彼女の人気は容易に想像できる。

 ざわざわと教室が興奮に包まれていく中、デリトは彼女を冷静に分析していた。


(確か彼女は……、エナジー使いとして名を馳せた後、様々な分野で功績を立て続けているエリート中のエリート。噂によれば教鞭は執らないと公言していたはずだが……)


 デリトがじっと彼女を観察していると、彼女はそれに気付いたようだ。しかしデリトには目もくれず、サラシャの方へと視線を向けた。


(ん? 私の方を向かなかった? 何故だ? 何故サラシャお嬢様を……。なっ!?)


 本来、じっと眺めていたデリトに視線を向けるはずがサラシャの方へと向いている。

 そしてその視線に込められていた物は……。


(このねっとりとした殺気……、今すぐ仕掛けてくることは無いとおもいますが……。この人は危ない、十分に警戒するべきですね)


 幸いサラシャはその視線に気付いていない。デリトは自身の警戒レベルを上げ、早急にこの件について調査が必要だと感じた。




ゆりりんの髪型は某スクールアイドルの堕天使様の髪型を思い浮かべてくれるとわかりやすいかもしれません。


次回の更新は12月23日までに更新できるように頑張ります!


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