始まりの扉
幼なじみが死んだ。
ずっとずっと一緒だった幼なじみだった。言葉がきつくて、プライドが高くて、周りから恐い子だと勘違いされることも多かったけれど、根は優しくて笑うと可愛い幼なじみだった。
それが…それが…!
「僕のせいで…」
彼女のあの、花が綻ぶような笑顔はもう見れない。
それだけで胸の真ん中に大きな風穴を開けられたかのような虚しさと、彼女を追いかけてどこまでも行ってしまいたくなる恋しさが募る。
いっそ追いかけて行けたら楽なのに…。
それができないのは僕が自殺なんてして会いに行ったって、彼女が困るとわかっているからだ。いや、彼女なら困るよりも先に怒るかな。
ボンヤリと上を見上げると、雲が空に蓋をして太陽の光を遮っていた。まるで僕の心のようだ。
ふと、目の前にヒラリと何かが舞い降りた。見るとそれは一枚のチラシのようだ。
何気なく拾ってみると、そこには小学生が描いたような下手くそな文字で、
『世界を救ってみませんか?』
と書かれている。
…世界が救える力があるなら、とっくにあの子を生き返らせている。
バカバカしいとチラシを投げ捨てようとした時。ふとチラシの下の方に書かれていた文字が目に入った。
『世界を救った暁には、なんでも三つ願いを叶えます』
それを見た瞬間。例え小学生のいたずらでも、詐欺でも縋り付きたくなった。
もう一度君に会えるなら…。
「…花」
彼女の名前を呼んだ瞬間。
世界から音が消えて、視界が反転した。




