第三十六話
ーーーーー翔鶴ーーーーー
「どちらに参りますか?」
楓君がそう聞いてくる。今いるのは作戦室だ、今後の方針を決めるためにここに入ったのだ。
「地図を出してくれ。」
卓上に付近の地図が開かれる、B-29による空撮写真を元にしているため極めて正確だ。
「今驚異となるのは敵の空軍だろう、海軍はこの間戦った程度の実力しかないだろうからこの際無視で構わん。かつてヨルトリンゲルが爆撃を受けたことを考えると半径600キロ以内には基地となる施設があると思われる。よって我々が最優先に行うことは敵の基地を破壊することだ。明日早朝から多段偵察を実施する。彩雲と流星を出せ。念のためニライカナイにも連絡しB-29による長距離偵察も実施させろ、こちらは帝国の都市、軍事施設等の位置の把握が目的だ。安全のため一万メートルの高高度での偵察のみ許可する。」
「了解しました。新しくできた地図はどうしますか?」
「出来上がり次第通信筒で送るように伝えろ。正確なのが必要になれば彩雲にさせればよい、全体的に何処に何があるのか分かっておけば、かなりのアドバンテージになる、それにこの世界の地図を信用するのは論外だ。」
公爵に見せてもらった地図はまあ素晴らしいものだった、町の位置は分かるが距離ははっきりしていないし、更新も全くしていないそうだからだ。
「あれは確かに使えませんね。了解しました、すぐに連絡を入れます。」
「頼む、それと偵察に行くもの達には、くれぐれも危険を犯さないようにと念を入れておいてくれ。」
「了解しました。」
敵の海軍は比叡達に任せる、海戦というには敵が弱すぎるが、こちらの軍事力を見せつけるには格好の相手だろう。それで講和ができれば良いんだが最悪自然休戦の形になるかもしれないな。
ーーーーー飛行甲板ーーーーー
「大尉、発艦準備整いました。」
甲板でストレッチをしていた女性に整備員が声をかける。
「御苦労、じゃあ行きますか。」
今回の偵察では翔鶴、瑞鶴からは彩雲6機、流星6機ずつの24機出すことになっている。もし見つからなくても発見するまではこの偵察は続けることになっている。
「さて、今日見つけられればいいんだけどな。」
そう呟きカタパルトで射出される。今日の天候は晴天だ、正に偵察日和と言えるだろう。
ーーーーー彩雲ーーーーー
「大尉、もうすぐヨルトリンゲルから600キロです。どうしますか?」
「うーん、もう100キロ程探してみるとしようそれで見つかれば良し、見つからなくてもそれはそれで問題無しだ。燃料はまだまだ残っているしな。」
「了解、あれ?」
「どうした?」
「電探に感あり。進路前方、距離は20キロ先です。」
偵察機は敵にバレても良いということで電探を大々的に使っている、それが反応したのだ。
「数は?」
「10程です、速度は遅いです。」
「良し、高度を上げて高速で突っ切って偵察するぞ。カメラ準備。」
「了解。」
エンジンがうねりを上げて彩雲自慢の高速を発揮する。視界が開けた先には巨大な街があった、その上空には小さな点が見える。
「もうすぐ街の上空に達します。」
「どれ気合入れてくぞ!!」
「了解!」
結局最大速度で飛行する彩雲を捕捉出来るものはおらず町の全体像から船の数までしっかりと撮影できた。上がっていた飛竜は追いかけようとしたが無駄であり射ったブレスも町に落ちる有り様であった(もれなく負傷者と火災付き)。




