第三十話
食事が終わり公爵達を送り届けるために零式水偵の所に向かう。
「我々の艦隊は三日後に到着する予定です、すみませんが混乱が起きないように住民に説明をお願いします。」
「分かりました、他に何か必要なことはありますか?」
「では負傷者を集めておいてください、病院船に収容したいと思いますので。あと戦闘には口出ししないように重ねてお願いします。」
「十分に注意しておきます。」
零式水偵から声がかかる。
「発進準備整いました。」
「では、お越しをお待ちしております。」
最後にそう言って比叡に戻っていった。
「楓君。」
「はい。」
艦橋に戻り、今後の事を話し合う。
「我々が到着して敵が来るのはどれくらいの時間がある?」
「約10日程だと思われます。敵の進軍状態にもよりますが。」
10日もあれば町の防備をある程度固められるだろう。
「周囲の写真はあるか?」
「こちらになります、以前B-29が撮ってきた空撮写真です。」
写真には港の周囲十キロが写っている。
「港の周囲には何もない平原か、遮蔽物がないから射撃には支障がないな。」
「雑草は生えているようです、後は何もないですね。」
「ということは、対戦車砲や榴弾砲ならばアウトレンジで撃破が可能か。」
うーんと唸っていると楓君が不思議そうに聞いてくる。
「?何を悩んでおいでなのですか?」
「城壁の大きさが分からん、素材は多分石だと思うんだが・・・こればかりは現地で調べるしかないか。」
「できればトーチカの様にしたいですね。」
「そうだな。」
この後速度を上げて港に向かった艦隊は二日の夜に到着するのだった。




