第二十九話
「失礼します、食事が出来ましたのでお持ちいたしました。」
従兵が主計長を伴って入ってくる。
「さて、今日の昼飯は何かな?主計長」
料理の紹介をしたいであろう主計長に話を振る。
「は、僭越ながら説明させていただきます。本日の昼食はロブスターのカレーになります。付け合わせにはシーザーサラダ、スープはコーンスープ、デザートはモンブランもしくは桃のシャーベットになります。食後には紅茶かコーヒーをお持ちいたします。」
これは豪勢だな。
「しかしよくロブスターがあったね?」
「ニライカナイ島の沖は遠浅になっておりますのでそこに生息しておりました。大型の生物が多いためプランクトンが豊富にいるものと推測出来ます。捕っているものは冷凍しておりますので今回使用いたしました。」
なるほど、洋上で誰かが採りに行ったのかと冷や汗をかいてしまった。大型の生物がいるということはオーストラリアの様なものなのかな?しかしロブスターが生息しているのならばマグロ等もいるだろう。航行中にも釣りなどは許可するか。私はトロが食べたいな。
「良い匂いですね。」
「これを嗅ぐだけで食欲が沸いてくるようだ、まだ食べては駄目なのかな料理長?」
我慢が出来ないとばかりに囃し立ててくる。出てきたときにどんな反応するのかな?
「期待にはお応えできると思います。ですが出てきても驚かないで下さいね、初めて見る方は大抵驚きますから。」
笑いながら主計長が出ていき、料理を持って来る。楽しそうにしていた彼等が固まった。やっぱりこうなるか。
「これは一体何なのですか?」
「まるで汚物の様に見えるのだが。」
初めてカレーを見る人間は、よくこう言うことを言うらしいのだが生で聞くのは初めてだ。結構ショックが来るものだな。これは私たちが毒味した方が良いかな?
「美味そうだな、では頂くとするかな。なあ、楓君。」
共に席に着いている楓君に促す。
「はい、司令官。」
私たちが食べるのを信じられないものを見るような目付きで二人が 見てくる。
「ふむ、ロブスターを入れたカレーも悪くないな。海老のミソをルーに溶かしているのだな。深みがついて良い。」
「ええ、スパイスが効いていて食欲を刺激しますね。」
二人で美味そうに食べていると、公爵達もおずおずと口に運ぶ。すると、
「「「「「「美味い(美味しい)」」」」」」
後は一心不乱に掻き込んでいった。おまけにお代わりまでして、微笑ましいことこの上ない。
「ご満足頂けましたか?」
公爵達に聞くと皆が満足した顔で頷き、食後のコーヒーや紅茶を飲んでいる。
「あの様な見た目からは想像も付かないような味ですね。」
「私はデザートが好きです。」
女性の騎士が答える、やはり女性はやはり甘いものがお気に召したようだ。
「では帰りにお持ち帰り出来るようにしておきますよ。」
「ありがとうございます。」
迫力が違うなー。




