第二十七話
ーーーーー零式水偵・機内ーーーーー
「そこまで緊張なさらなくても大丈夫ですよ。」
そう言いながら笑いかけても彼らはガチガチに固まっている。だがそれは仕方のないことだろう。いくら竜に乗っているとはいえ、あちらは風を感じることができるし飛竜が飛んでいるのだから乗っても飛べるという考えの方が大きい。だが鉄の乗り物が空に飛ぶなど、見たことのないものは信じられないに決まっている。何より船が鉄で出来ているのにも驚くだろう。全くこれが飛ぶといったときの顔は見物だった。
「分かっているのですが、飛竜と違って風を感じることができないので、どうしても実感が沸かないのですよ。」
確かに風を感じることは出来ないから違和感を感じても仕方ないだろう。これならば零式観測機でも積んでおくべきと閣下に進言しておこう。しかしこれで抑えて飛行していると言ったも良いかもしれない。面白そうだが止めておくとしよう。彼の緊張をほぐすために話していると視界内、翔鶴を護衛する秋月やアトランタが見えてきた。
「ほら、もうすぐ主力艦隊が見えますよ」
そう指差す先には前方警戒の秋月が見えた。
ーーーーーレイウェル公爵ーーーーー
私は彼女の言葉を聞き恐る恐る外を見た、その光景は驚くべきものだった。先程見た巨大な船と同じ大きさの船が多数いるではないか!だが私が本当に驚いたのは先程の船よりも平らな甲板を持つ船がいたことだ。
「あ、あの船は一体何なのですか?!」
私は礼儀を忘れて問い掛けてしまう。我を忘れて聞いてしまったことに声を出した後に気付き、顔を赤くしてしまった。
「フフ、慌てなくてもお教えしますよ。あれは艦隊総旗艦翔鶴です。あそこに閣下がおられます。周囲にいるのが瑞鶴とアトランタ、オークランド、それに駆逐艦です。」
どの船も巨大だ。我々の所有する最大の船でもあれの半分もあるまい、あれは島だと言われたほうが納得できるほどだ。これだけの軍事力を持っている人間に一体何を言われるのだろう。
老人の心中などは気にすることなく零式水偵は翔鶴の近くに着水するのだった。
ちなみに燃料や弾薬の補給には魔力を用いての召喚で行っている。全艦に補給しても10分の1くらいしか消費しない、消費した魔力は30分もあれば回復できる。今現在はこれで問題ないことを書いておく。補給時間は0時、6時、12時、18時である。




