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第十七話

-----アドミラル・シエーア-----

「敵艦に命中してますね、穴だらけになってます。リュッツオウの流れ弾が当たったみたいです。」

「戦場だから仕方がないか、でもあれ生きてるかな?」

沈黙が痛い。

「・・・そろそろ島風達が接近するな。」

気にしない方向にしたようだ。

「はい、そろそろ一万を切りますね。」

「撃ち方止め、リュッツオウにも連絡しろ。後は駆逐艦の獲物だ。ただし逃げられると困るから狙いは付けておくように。」

「了解しました、伝えます。」

 敬礼し、伝令が通信室に向かっていく。駆逐艦が主砲を撃ちながら突撃していく、勇ましいものだ。

「これでほぼ勝ちだな。駆逐艦にくれぐれも撃沈しないように伝えてくれ。」

「はい、ですが油断はしないほうが宜しいかと。」

「その通りだな、勝って兜の緒を締めよと云うからな。警戒は厳にしろ。手は抜くなよ。」

 艦橋の見張り員に声をかける。

『了解。』

「レーダー室も頼むぞ、些細なことでも報告してくれ。」

『了解です。』

 双眼鏡で駆逐艦達の戦いを見守る、いざというときは援護するためだが

「問題はなさそうだな。」

 反撃もできず逃げることもできず攻撃されている敵船は哀れだ。


----駆逐艦島風------

「やっぱり、あっちの主砲にはかなわんな。待たせるのも悪いし手早く終わらせるか。」

「艦長、そろそろ1万メートルです。」

「よし、射程に入り次第、撃ち方はじめ、1分以内に黙らせろ。あと喫水線は狙うなよ、撃沈するなという命令だからな。」

「了解。」

 命令が下された後、駆逐艦からの砲弾が雨あられと降っていく、巡洋艦との違いがあるとしたら、発射速度が段違いだということだろう。鉄鋼弾なので穴だらけになっていく。

「あの様子なら、まず動ける奴はいないだろう。アドミラル・シェーアに連絡『我、島風、全敵船無効化せり、指示求む』以上だ。」

「了解、連絡します。」

距離が近いので発光信号で送られた。


-----海賊船-----

 うなだれている一人の女性に初老の男性が駆け寄る。

「一体何が起こったというんだ・・・」

「隊長、気を確かに。」

いつの間にか親分から隊長に戻っているが気にできるような者は誰もいない。

「あ、ああ、だが我々の新鋭艦がこうも容易く破れるなどあるはずが無いとしか思えないんだ、夢ならば覚めてくれないだろうか。」

外見は古ぼけているが中身は全くの別物と言えるほどに弄られているのだ。

「隊長、それは皆思っています。ですが気を強く持ってください、我々の隊長はあなたなんですから。」

「そうだな。」

「た、隊長、大変です!!」

「何だ、さっきのあれ以上の衝撃があるのか。」

 疲れた顔で部下の方に顔を向けた女性は絶句した。先ほどの船とは比べ物にもならない巨大な船が同等の速度で接近していたからだ。

「な、何だ、あれは・・・・。あのような大きさの船があるというのか・・・。」

 その巨大な船から声が届く。

『我、アドミラル・シェーアなり、これ以上の抵抗は無用なり、早急に降伏せよ、当艦は無益な殺戮を望まず、5分の猶予を設けるものなり、降伏する場合、帆をたたみ停船せよ、別進路に移動しようとした場合、抵抗した場合、攻撃する以上。』

 あれだけ圧倒的な戦いを見せられて抵抗することは自殺行為だ。それ以前にボロボロになっている船でどう戦えと言うのか。すぐに降伏するように命令を出そうとしたとき、隣の船がその巨大船に攻撃した。あの船の船長は馬鹿だと思っていたがその通りだった。

「ふざけるな!!僕に命令なんかするんじゃない、僕は公爵家の人間なんだからな、国に帰ったら覚えていろ!!」

 その言葉の後に、そいつを含めたその船の乗組員は地獄を見たと思う、その巨大な船から攻撃され、炎に包まれた。その後攻撃してきた船が近寄り筒のような物を投げ込んだ、すると海中が爆発し海に飛び込んだ者達が挽き肉になり海面が真っ赤に染まった。

「ああなりたくなければ、すぐに動け、我々も敵扱いされるぞ。」

 部下たちは慌てて青旗を掲げる、あんなのを身近で見せられたら抵抗する気は根元から折れるな、とどこか頭の隅で冷静に考えていた。

青旗:この世界での降伏の合図、染めるのに時間がかかるためかなり貴重。

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