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第七話

初戦闘です。

ーーーーー竜側ーーーーー

竜達は困惑していた、彼等は渡り竜と呼ばれる存在で竜種の中では高位にいるものたちだ。通常の竜は地上で行動ができるように羽根と脚がある、だが渡り竜と呼ばれる彼等は長距離を飛べるように脚も羽根になっている(イメージ的にはプレシオサウルスみたいな感じ)。地上では鈍重な動きしかできないが一度空を飛べば敵はいない筈だった、そう今までは・・・。


「グオオオ?」

いつも渡りの休憩に使っていた島に到着しそうになったとき、渡り竜のリーダーは安堵した。ここまで来れば行程の半分は過ぎたことになるからだし、渡りの最中は休むところが無いからだ。ここで魚を食べ体力を付け、残りの行程を行かなければならない、自らの群れを目的地にたどり着かせるのが群れのリーダーとしての責任なのだから、その心労たるや押して図るべしである(竜に心労があるのかどうかは別問題)。その時上から見たことのない物体が下りてくる、何だろうと思っていると最後尾にいた若い竜が火弾を吹いて攻撃した、去年生まれたばかりのヤンチャ盛りの子竜だ(渡り竜は基本的に五年で群れから巣立つ、そのときが成竜扱いになる。これは繁殖出来るようになるまで五年かかるからだ。)。追い払うつもりだったようだが機敏な動きで避けられ、逆にその物体から攻撃を受けた。

「グオオオア?」

竜にしては薄いが、同種族の攻撃を除けばどのような攻撃をも防げる鱗が砕けた、体から流れるはずのない血が滴り落ちる。

「グアアアア‼」

自らが傷つけられたことに怒りを覚えた子竜は、小賢しい物体を落とそうと爪で切り裂こうとするが近寄れない。一つに集中していると後ろから近寄ってきた、目の前の敵に夢中になっている子竜の頭に銃弾が命中する。

「ギャアア?」

断末摩の悲鳴を上げて落ちていく。それが引き金となり竜達は小賢しい物体を本気で攻撃する、仲間を、家族を落とされて黙っているなど出来ないからだ。

その時眼下に島と何かが見えた、それは島と初めて見る船だった。リーダーである竜は、この何かを守るために小賢しい物体が攻撃して来ているのだと判断した。その為目標をそれらに向ける雑魚は後回しだ。怒りに染まる竜達は自分達が死の門を開けたことに気づいてはいない、ヴァルトは逃げた場合追いかける気はなかったからだ。


ーーーーー二式水戦ーーーーー

「あれを食らうとヤバいな、おっと。」

ショットガンのように細かい火弾を避け、7.7ミリ弾、12.7ミリ弾を打ち込んでいく。確実に命中していくが、それでも落ちない。普通の飛行機ならばとうに落ちているはずなのに・・・、とりあえず一匹は頭に当たって落とすことができた。生物的な弱点はあるようだ。

「グアアア」

一番大きな竜が大きな声で吠えると大淀達に向かっていく。どうやらあちらが本命であることに気づいたらしい。

「やらせるか!!」

加速させて追撃するが距離は開く一方だ、あちらの方が少し速いらしい。届かないと分かりながら機銃を撃つ。

タタタ

一匹の翼に命中してフラフラと高度を落とす。だが他のは依然として大淀達に向かっていく。

「糞が!!下駄が付いてるから加速が悪くてどうしようもねえ!!このままじゃ・・・」

悪態をついていると無線が入る。

『こちら大淀、二式水戦は間宮達の上空援護に付け。これ以上の接近は防空圏内の進入になる、直ちに退避しろ。このままでは同士討ちになる。』

「くそ!了解、間宮達の援護につく。あと少し早く見つけてれば・・・。」

『遠方で見つけるのは今では不可能だ、早くあっちに向かってくれ。』


ーーーーー大淀ーーーーー

ドン

15センチ砲が三式弾をを発射してくる、一番遠距離まで攻撃できる火砲だが如何せん数が少ない。竜達の進路に三式弾が傘を開き、覆っていく。三式弾の信管にはVT信管が取り付けられている、史実では対地攻撃以外には役にたたなかったが、VT信管を取り付けたため命中率は雲泥の差だ。

「敵機に命中、撃墜は・・・2?残りの一匹にも損害は与えられたもよう。速度が落ちました!!」

対空監視員からの報告に艦内から歓声が上がる、十分に落とすことが可能だと分かったのだ、次こそは叩き落とすと意気込んでいるものもいる。それが油断を招く。

チュドーン

右舷から閃光が瞬く、艦橋にいた全員がそちらを向くと梅が艦体を真っ二つにされ沈んでいった。そして大淀にも被弾した。

「損害報告!!」

高元艦長が怒鳴る、今は一秒でも惜しい。

「梅、轟沈!!敵発見・・・数は一!」

『二番砲塔に被弾!砲塔は使い物になりません!!一番砲塔も主砲基部の歪みのため旋回不可能!!誘爆を防ぐために弾薬庫注水の許可を願います!!』

「よし、弾薬庫注水!急げ。攻撃した奴は?」

見張り員から報告がくる。

「再攻撃体制に入っています!!」

「対空砲狙えるか?」

高角砲指揮所に連絡を取るが

『無理です!!仰角をおとす時間もありません、40ミリ20ミリ機銃撃ち方初め!!自由射撃‼あ?照準なんか関係あるか各自で狙え‼』

ドドドドド、ドンドンドン

機銃が射撃を開始する、だが敵は避けるつもりはないらしく機銃弾を受けながら前進してくる、翼が血にまみれ目が潰れようとも。

「総員対ショック防御、ここまで近寄られたらどうしようもない。」

「閣下、退避を。」

「いらんよ、さてどうなるかな。」

近くの柱などに掴まり体を固定したがいつまでたっても衝撃は来なかった。

「なぜ衝撃が来んのだ?」

誰も答えることの出来ない質問をする、答えは無線で判明した。

『こちら零式水偵、敵機は落としました。大淀無事ですか?』

どうやら零式水偵が撃墜してくれたらしい、これで戦いは終わったようだ。こちらの損害は酷い、五匹に襲われ梅が沈没(沈没の理由は魚雷発射菅に被弾したあと誘爆したため、生存者無し)、大淀は限りなく大破に近い中破だ。しかし今は生き残れたことを感謝しよう。

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