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第六話

それから三日がたった、周辺の海図も完成した(ただし零式水偵で偵察できる半径1500キロメートル)。大まかな地形を言うと、ここは海原のど真ん中にあるということ、無人島であるということ、水はあるが飲用には適しておらず飲んでも腹を下してしまうらしい(軍医いわく)、島の大きさは50メートル程の円形であるということ、近くには島があるが(百キロ程離れている)同じく無人島で苔のように少しの雑草が生えているだけであり、活火山らしく時折噴煙が上がっているそうだ。島の大きさは百メートルほどの台形状であるということ、地形はこんなものである。

「ここは明らかに生活には適していないな。かつての硫黄島のような状態ではな。」

楓君と艦橋で話しながら次の方針を決める、現状何処に行くかだが。

「どっちに行けば土地があるのかな?」

「渡り鳥などがいれば分かりやすいのですが・・・この島には飛んできませんね。」

魚は豊富にいるので暇な将兵は釣りに出ている、ただしいきなり深くなる地形であるため、鮫がかなりいる。その為素潜り等は禁止されている。

「うーん、当てもなく放浪するというのはいただけないしな。」

唸りながら考えていると、電探室から連絡が来る。切羽つまった様子だ。

『対空電探に感あり、不明機が接近中‼数は不明‼距離80キロ‼』

楓君が伝声管に近づいて詳しい事を聞く。

「飛行機なの?」

『分かりません、距離が遠すぎます。ですがこちらを真っ直ぐに近づいてきています。』

敵であるかどうかなど関係はない、今の状態では攻撃を受けるだけだ。

「全艦出航できるか?」

高元艦長に確認する。

「全艦缶の火は付いたままです、出航可能です。」

燃料などの消耗品は召喚で手に入るので点検時以外は缶の火は付けたままだ、今回はそれが功をそうしたわけだ。

「全艦出航し次第対空戦闘用意、本艦と松、梅で迎撃する!神州丸、間宮は秋月、照月と共に一時離脱させろ。」

「艦隊を分けるのですか?」

楓君が驚きに満ちた顔で聞いてくる。

「此方は軍艦だがあちらは商船構造だ、一発でも食らったら致命傷だ、二式水戦も当てろ、急げ‼」

秋月、照月は駆逐艦でも指折りの対空火力を持つ。今は大淀を守らせるより間宮達を守らせる方が得策だ。敵は待ってはくれない、安全じゃないとは思っていたが・・・すぐに来るか。


ーーーーー大淀・後部格納庫ーーーーー

「急げ、二式水戦をカタパルトに載せるんだ‼準備が終わったのから出せ‼」

カタパルトに載せ終わった機体から射出されていく、普通の二式水戦なら耐えられないが機体強度を増しているため射出も可能になったのだ。といっても三機だけなので(内二機は念のためカタパルトに乗っていた)三十秒ほどで全機打ち出せた。

「ふう、これで一段落か。」

整備班長がそう言い、対空機銃の予備要員として行こうとすると声がかけられる。

「私たちは出れないのか?」

零式水偵のパイロットだ、何もしないというのは厳しいのだろう。

「空戦じゃ役にたたんだろ、おとなしく他の所で待っていてくれ。」

「少しくらいは役に立つかも知れないだろ?!」

 なおも食い下がってくる、水偵には短艇攻撃用の20ミリ機関砲が積まれているがあくまでも下にしか撃てない。

「では閣下に直談判してこい、許可が出たら出してやる。艦内電話はあっちだ。」

指差された電話に行きすぐに話す。

「艦橋ですか?閣下をお願いします!!」

激しい剣幕で怒鳴っている、どうなることやら。


ーーーーー大淀・艦橋ーーーーー

「閣下、格納庫から連絡です。」

騒がしくなっている艦橋に声が響く。

「何かあったか?」

まさかカタパルトが故障したとかではないだろうな。

「零式水偵を出してほしいとパイロットから陳情がきています、どうしますか。」

上に行っても役にはたたんと思うが・・・それでも艦内で無防備な状態よりかはマシか。

「よし、出るのを許可する、ただし無理な戦闘はこれを禁止する。低空に下りた奴を狙うように伝えろ。」

「了解しました。」

電話の相手に伝える、十秒もしない内にカタパルトから零式水偵が射出され高度を上げていく。その時見張員が大声を上げる。

「敵機視認、距離四万メートル、、高度3500、機数五、大きさは・・・B-17並みです!!」

双眼鏡を向けると巨大な蜥蜴が見えた。二式水戦が接敵するが敵も火弾をはいてくる。

「二式水戦より通信、『我、攻撃を受く、これより反撃を開始す。』以上です。」

「当然だ、今はあれを落とすことを第一とする。二式水戦に防空圏内には入り込まないように連絡を入れろ。」

「了解。」

かくして異世界での初戦闘が開始されるのだった。

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