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第63話

ーーーーー第一外征艦隊・大和ーーーーー

「あれ?陛下、どちらに行かれるんですか?」

もうすぐシュラーク群島に到着するのにヴァルト様が後部格納庫に向かっていた。不審に思ったので(失礼だが)質問させて頂いたのだ。

「うん、見つかったか。艦長、楓くんには黙っておいてくれ。」

「はあ、理由を仰って頂けるのでしたらご協力致しますが・・・ヤバい事では無いですよね?」

楓宰相にバレた時にどうなるかは考えたくない、全裸で夜間哨戒や艦内マラソンを気絶するまでとかをやりたくはない(実際にやらされたやつがいる、風邪をひいていたが)。

「バレたら弁護ぐらいはしてあげるよ、先にヨルトリンゲルで町を見てみようと思ってね。この間は見る暇が無かっただろう?」

前回行ったときは観光をしようにも港は壊滅状態、船は軒並み沈没、町も焼け野原と至れり尽くせりといった所だった。

「でしたら後で入港しました時に行かれれば宜しいではありませんか、何故そんなに急がれるのですか?」

さすがに理由もなく怒られるのは勘弁願いたい。

「決まっているだろう、お忍びというのは憧れるじゃないか。」

・・・。

「本当にそれだけなんですか?」

「それだけだね。」

これは止めても無駄だな。

「止めても無理でしょうから、私は見ていないことにします。」

「それが懸命だよ、帰るときは連絡するからね。」

軽い足取りで歩いていく陛下を恨みがましい目で見ていたのは仕方がない。

ドン、バシュ

カタパルトから春嵐が出ていく、こうなったら覚悟を決めておこう。


数分後大和の艦内で悲鳴が上がる、艦長が無残な姿で発見される(死んではいない)。そのときの事を語るものは誰もいないので真相は闇の中だ。合掌、チーン。


ーーーーー春嵐・機内ーーーーー

「良かったのですか、陛下。」

操縦席の少尉が聞いてくる、春嵐は後席にも操縦装置があるため雛壇式のコクピット配置になっている。

「たまには息抜きも必要だからね、それに報告だけでは見えない所もあるだろうから丁度良いしね。」

春嵐は高速で飛行できるので到着までは さほど時間がかからない。

「もうすぐ海岸線です。」

少尉が報告してくれる、飛行ルートは一旦北上しその後ヨルトリンゲルの近くに下りるルートとなっている。一旦北上するのは帝国領がどうなっているのか知りたかったからだ、ニライカナイ王国としては介入をそこまでしない方針にした為、細かい情報が入ってこないのだ。

「ふむ、砦は放棄されたようだな。まぁ、あのクレーターをどうにかできるとは思えないから必然的な結果だな。」

先の攻撃でこの辺りは大分地形が変わってしまっている、砦等は再建されているのかと思ったがその心配は無かったようだ。(魔法がある世界なのでそれぐらい出来るのではないか?という確認のために行われていた、帝国としても復旧はしたいのだが軍団の再建や反乱等が多発しているためしたくても出来ない状態にあると言える。)

「盗賊や海賊がいるかも知れないな、我々の艦ならば問題は無いだろうが。・・・考えても仕方がない、ヨルトリンゲルに向かってくれ。」

「了解。」

春嵐が進路をヨルトリンゲルに向ける。後方には荒野となった土地があるだけだった。


ーーーーーヨルトリンゲル・近郊ーーーーー

「では私は戻ります、くれぐれもお気をつけください。陛下。」

春嵐から降りると少尉がそう言ってくる。

「危ないところには行かないつもりだから大丈夫だと思うが、気を付けておこう。君も気を付けてな、後これは餞別だよ。」

タバコを一箱渡す。

「有り難く頂戴します、では。」

滑走して上空に戻っていく、多分すぐに戻らされるだろうな。今ごろあちらでは蜂の巣を突ついたような騒ぎになっているだろうな、まあその時はその時だ。気分を新たにヨルトリンゲルに向かうのだった。


ーーーーー大和・第一艦橋ーーーーー

「では、キリキリ吐きなさい。陛下は何処に行かれたの。素直に話さないと痛い目にあうわよ?」

椅子に座らさせられて尋問されているのは艦長だ、尋問しているのが楓大佐(昇進しました)、艦橋にいる要員は巻き添えを食わないように逃げている。

「ですからどちらに行かれたのかまでは知りません‼」

涙目で必死に訴えているが聞き届けられることはない。

「し、失礼します。」

艦橋に従兵が入ってくると全員の視線が集中する。

「出ていた春嵐が戻って参りました。」

「すぐにパイロットをこっちに連れてきなさい‼直ぐに‼」

背後に盤若が見えるかのような気迫で楓大佐が命じる、従兵が数人と共に急いで水上機格納庫に急ぐ。

「うわー、おっかねー。」

「馬鹿‼聞こえたら殺されるぞ‼」

チュイン ビシッ

従兵の頬の近くを銃弾がかすっていく。

「今のは忘れてあげるから直ぐにパイロットを連れてきなさい、次は貴方達の眉間に穴が空くわよ?」

凍りつくような笑顔で笑ってらっしゃる、従兵達は

「「「はい‼直ぐに連れて参ります‼だから命ばかりはお助けをー‼」」」

素早く駆けていくため最後の方は聞き取りにくかった。すぐにパイロットが連れてこられヴァルトが何処に行ったかは判明した。

「一足先に行かれたわけですか・・・、ならば我々も付いていくべきですね。外征艦隊は今の艦速を維持しなさい、シャルンホルスト、グナイゼナウは大鳳と共に先行しなさい。護衛は二個駆逐戦隊(巡洋艦2隻(屈斜路、オコタンペ)、駆逐艦8隻(秋月型4隻、フレッチャー型4隻))を、最大戦速で向かうのよ!!」

シャルンホルスト以下13隻が分離してヨルトリンゲルに向かった、しかしこの時から事態は動いていた。遥かに遠い帝国でクーデターが勃発したのである。

春嵐:はるあらしと読む、ニライカナイ王国の新型水上攻撃機。速度性能に特化している、双フロート式で油圧式の収容装置を持つ双発機。機体の外見はDO.335プファイルにフロートを取り付けた形になる。前部エンジンはターボプロッブ、後部はジェットエンジンが取り付けられた(ただし30分のみ使用可能)。格納式で1トンまで爆弾、魚雷を積める。単座、複座の2つがある。

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