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第60話

ーーーー1年後ーーーー

「閣下、清水中将から連絡です。」

楓くんが長官室に入ってくる、本拠地の整備は着実に整っており、現在は植物を自生させたり溜め池の整備等を行っている。そしてなんやらかんやらと施設を増やしたら島が手狭になってしまった。結局、創造使い淡路島並みに大きくなった。ここまで大きければもう不足はあるまい、そうであってくれ。心からの叫びである。

「清水中将から?珍しいな、何かあったかな?」

シュラーク群島の防衛部隊指揮官である清水中将は無駄な報告を嫌っている。その為定時連絡以外は滅多に通信がくることはない。

「通信内容から見ると帝国と王国の講和が上手くいったみたいです。一時的な休戦ではなく不可侵条約だそうで、閣下にも参加していただきたいらしく清水中将に伝えたようですね。」

王国の現状を知るために、シュラーク群島から一週間に一度二式大艇を派遣している、公爵が見る見る内に痩せていくので不思議に思った搭乗員が聞くと「食事が不味い」と伝えてきたそうだ。というのもこの世界では魔法が発達したため保存食や発酵食品が発達しなかった、よって高価な香辛料、砂糖を除けば基本的に味付けは塩味もしくは素材そのままの味だけである。そんなところにいた人間が多彩な味付けのものを食べて元の生活に戻れるか、否である。現に公爵はそうなってしまっている(一種の中毒)。これは暗に我々が原因のような物だ、可哀想なので定期便で送る二式大艇に缶詰(かやくご飯、シチュー等)を送らせた、無論タダではない。情報と多数の金貨での交換だ、金貨は貰っておけば何かに使えるであろうという判断から、最悪溶かせば何かには使えるだろう。1つ金貨一枚と多少割高かと思ったのだが喜んで払ったそうだ、どれだけ飢えていたのだろう。材料費から加工費含めても銀貨1枚もあれば作れるんだが、それは言わない方がいいかな。

更に港のドックでは空母が改装されている、予定では後一月で引き渡しできるはずだ。船は大鳳型2隻とインドミタブル型2隻だ、装甲空母を建造する事を決めた背景には一年前の戦いで得たある装備が起因する、重装甲トリケラトプスが着ていた鎧である。一番厚い顔の部分の鎧を試験していると通常の鉄の1.8倍の耐弾能力を発揮した、柔軟性も良好で復元能力も高かった。素晴らしい特性である、それらを考えてその金属で船を呼び出そうとしても無理だった。楓くんいわく「地球にある金属でないと召還できないであった」。仕方がないので甲板を引っ剥がして改装しやすい空母から手を付けているわけだ。なお50ミリの板を富嶽の1トン爆弾で爆撃させたが(大きさは縦20メートル横20メートル)跳ね返し少し歪んだ程度だった、この事から考えると新たな大鳳達は本当の装甲空母となるだろう。戦艦も準備が整い次第砲塔前面、上部装甲に追加する予定だ。シュラーク群島から豊富にミスリルが採れるといっても(一月に500トン)加工に時間がかかりすぎるのが欠点だ、溶鉱炉に10日間入れないと溶け始めないし完全に溶けきるまで更に5日かかる。おかげで飛行甲板の取り付けに思わぬ時間を食ってしまった。これでいい結果が出たとしてもすぐに戦艦の全身を覆えるほどのミスリルは無い、どこかで買おうかな。

「どこで調印を結ぶのかな?そこらへんの事は入っているかな。艦隊の回航なりを考えると一週間は欲しいんだが。」

「それですが、調印式自体は半年後だそうです、というのも他の大陸の王の使い達が来るのを待ってから始めるらしいです。」

「ほう、王の使いが来るのか。ということは駐在の大使はいないという考えでいいのかな?」

「はい、統一した国家でないと他の大陸の王は認めないそうです。それがあって初めて正式な王と対外的にも認められるそうです。」

「今は誰も認められていない、自称王というところか。全く道化師だな。」

しかし、半年後か。全ての艦の改装も終わるし艦隊の訓練も2ヶ月もあれば十分だろう。

「では出発は5ヶ月後でいいか、ゆっくりと訓練出来るな。」

「はい、閣下。」

出発までにすることは多々ある、今は時間を有効活用することをせねばならない。

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