第11話 現状把握
------海賊船------
現在分かったことを纏めよう。この世界は「アーク」と呼ばれている。5大陸に分けられており、それぞれ種族が異なる王によって管轄されている、その王の名をとり、獣人大陸、龍人大陸、亜人大陸、魔人大陸、人大陸となっている。魔物はおらず、魔人や一部の亜人以外は魔石を持っていないと魔法は使えない。ごく稀に使えるものがいるが強制的に国に使えさせられる。魔石は魔素が多いところにある石が自然に変化することでできる。
商船や海賊船などが活動していたのは交易港「ヨルトリンゲル」で交易国家「エーリア」の主要港の一つだ。人大陸は、ここ200年の間、王がいない。いわゆる内乱状態になっている。現在強大な勢力になっているのは、ラルクス帝国とホルフェス皇国の2つだ。一応休戦協定は結んでいるそうだが仲は悪いそうだ。
エーリアは両国の真ん中に位置している上に強力な軍備があるため平和だったそうだがセシリアの所属している帝国が魔道艦なる飛行船を開発したらしく、皇国やエーリスに裏工作を開始したそうだ。具体的には盗賊・海賊に偽装させ必須物資を届けなくさせたり、間者を使って噂を流しているそうだ。
エーリスは魔石が豊富に採れる反面、食料や衣類の原料等は交易で入手するしかないためかなり効果的なやり方だろう、とのことだ。なおセシリアは無益な殺戮は行わず他の港に行かせたそうだ。ちなみにエーリスの位置は大陸の南方に位置しており、船での交易の際にはここで補給をしてから他国に向かうらしい。なお中立国なので安心して寄港できたそうだが今では見る影もないそうだ。
「で、明らかに軍機にしなければならないような事まで教えるとは。何か用件があると見えるが、いかがかな?セシリア殿」
「セシリアで結構だ。ええと・・・」
「ヴァルトだよ。名乗ってなくてすまなかったね。あと知りたい情報があったのでね、先に話を聞いたわけさ。」
「い、いや、別に構いはしない。話をした理由は部下たちの事をを助けて欲しいのだ。そのためならば私の事は好きにしてくれて構わない。」
「「「隊長」」」
男共が喚いているが、虐殺などする気は無いんだが。
「心配せずとも、そんなことはしないよ。だが君たちが生きていると君たちの家族に害が及ぶ可能性が高いのでね。すまないが船は沈没させてもらうが宜しいかな?」
「あ、ああ。私たちの家族にまで気を使ってくれて感謝する。」
「いや何、全部沈んだ英雄に対して何かするほど馬鹿な人間はいないだろうという考えからだ。うまくいくかは賭けだけどね。」
「それでも・・・だ。ありがとう(チュッ)」
ほほにキスをされてしまった、と思ったときには船内に入ってしまっていた。まあ役得だと思っておこう。
「司令官」
後ろから恐ろしい気配がする。と思ったら反対側のほほにもキスをされた。
「な、なんだい、楓君?」
「いいえ。ただ司令官の事が好きなのは私も、ということを知っておいて欲しかっただけです。」
そう言って微笑んだ彼女の笑顔はとても魅力的だった。
「はは、ありがたく受け取っておこう。で用件は何かな?」
「はい、秋月から商船と接触できたのでつれて戻るそうです。船の速度が遅いので時間がかかるそうです。」
「そうか、じゃあレベルなんかの確認をしておこうか。」