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第55話

遅くなりました。あと今回からサブタイトルはやめます。飛空船が二つ出てきたので少し設定を変えます。

ーーーーー旗艦・大和ーーーーー

「小沢司令官から富嶽の爆撃は成功したそうです、合計6つの砦を消滅させたそうです。損害は無しです。」

「そうか、何人の人間が死んだのだろうか・・・だがこれも必要な犠牲ということで納得するとしよう。」

「こればかりは減らすことはできません、ですが我が軍の将兵の負傷者がいないことを喜びましょう。」

「そうだね、上陸部隊は今どこにいるのかな?」

そう聞くと地図を持ってきて台の上に広げる。

「この川の手前にあるのが友軍の砦付近まで行っているそうです。マウスが少し遅いのでタイガーが先行しているそうです、未だに妨害の類いはありませんので後一時間ほどで会敵するかと思われます。」

「そうか、じゃあ問題はないな。指揮官は誰だったかな?」

「上陸軍指揮官はマンネルヘイム少将がとっています、何か電文を送りますか?」

「では、深追いはしないように、それとあくまでも撤退させれば良いからある程度の攻撃でかまわないと伝えてくれ。」

「了解しました、撤退しても帰る所かないというのは可哀想ですね。」

「さしずめかつての死の行軍のように死体が折り重なるだろう・・・まあ侵略してきたのだからそれぐらいは覚悟しているんじゃないかな?」

勝者が全てを手に入れるというのは間違いではないだろうが強国が一方的に搾取するのは見ていて虫酸が走る、侵略してきた者達には鳥にでも啄まれるのがお似合いだ。

「では、上陸軍のお手並みを拝見するとしようか。

そう言いながらコーヒーを飲み艦橋の窓から外を見る、一人でも少ない犠牲で勝って来てほしい、そう思いながら。


ーーーーー上陸軍ーーーーー

「そろそろ戦っている砦が見えるはずです!!」

戦車が大挙して移動しているのだからその騒々しさたるや半端なものではない、車外はともかく車内は大声で話さないと聞こえない。

「了解、くそ!もう少し静かにならないか、もしくはハーフトラックかジープに乗り換えれないか!!」

「こっちの方が安全なんですから我慢してください!!」

安全重視の副官と行動派の将軍だとこうなる・・・良い例なのか、悪い例なのか考えるのは止めとこう、ちなみに部下たちはまたか、と思っているだけ。

『少将‼交戦中の砦を発見、どうしますか?』

一番先頭で状況を確認していた戦車より連絡が入る。

「そうか!どんな感じだ?」

嬉々として聞くと怒鳴り声で返ってきた。

『どんなもくそもありますか‼ほとんど陥落寸前です、城門は破られており随所からも炎が上がっているようで黒煙が見えます、ですが旗は王国の旗でまだ戦っているのだろう剣撃の音が聞こえてきます、手遅れになる前に攻撃許可をください‼』

これだけ怒鳴ってくるということは砦の状態は抜き差しならないところまできてしまっているのだろう、何て考えている場合じゃないか。

「分かった、お前の指揮する部隊と自走砲の支援で助けられるか?無理ならば航空隊の支援も要請するが。」

『お願いします、出来れば我々だけで救援したいのですが流れ弾が当たらないとも限りません、航空隊でしたらそのようなことはないと思いますので。』

「分かった、すぐに連絡を入れる。攻撃開始は任せる。」

『航空隊が攻撃に移るとともに攻撃に入ります。では失礼します。』

通信が切れた。

「よし、自走砲連隊前進し支援を行え、航空隊に連絡を入れろ、多弾頭爆弾による支援爆撃を求む、だ。」

「了解」

航空支援の要請を受けた空母と強襲揚陸艦から流星改と99襲撃機改が飛び立つ、大まかに流星改が叩いた後99襲撃機改が細かい目標を始末する。後は機銃掃射による支援が大体の行動になる。爆撃機が発艦し終えた後烈風改が護衛に続く、こちらは10センチロケット弾を積んでいるだけだ。飛行時間は一時間半ほどの距離だ。


ーーーー 一時間半後ーーーー

「もうすぐ上陸部隊が見えてきます。」

「よーし、全機攻撃用意。良いかくれぐれも友軍と自軍の部隊には当てるなよ!」

『『了解』』

99襲撃機隊隊長からの無線で小編隊に別れて突撃態勢に入る。なお多弾頭爆弾は進軍するときに不発弾が出たりする危険があるため500キロ爆弾の装備に変えられている。

『こちら戦車隊、ようやく来てくれたか。航空隊』

「憎まれ口を叩けるとは余裕だな、これより支援する。」

『ほっとけ、これが地だ。それでどれくらいで終わりそうだ?』

「あまりにも近くにいる敵には攻撃は出来ない、それはそちらで対処してくれ、大体1キロ以遠の敵は排除できるはずだ。」

『分かった、こちらも前進を開始する。巻き込むなよ。』

「なるべく善処する、行くぞ。」

流星改が高度を取り急降下に入る、対空砲火が無いが念のため機銃掃射を行いながらだ。地上にいる者達が流星改を見ているが何も出来ない、まるで大地に縫い付けられたようだ、意図的に敵を動けなくするためかつてシュトゥーカに搭載されていたラッパが取り付けられ甲高い音を立てている。

キィィィィーン

「高度1000・・・800撃て!!」

ガコン

500キロ爆弾が胴体から離れ即座にスロットルを引き上昇に移る、後部座席からは牽制に機銃を乱射しながら戦果の確認をする。

『命中、でかいクレーターが出来てます。あ、今逃げているのがいます、銃撃します。』

目標がはっきりしないので適当に人が一杯いるところを狙って落としたのだ。かなりの数を巻き添えに出来たことに変わりはない。高度も安全と思われる2000メートルまで上げたので他の機の動向を見る。

「上手く攻撃できているようだな。」

大半の機体が爆撃し終わり上空に来ている、今は99襲撃機が生き残りを爆撃しており生き残りは少ないと思われた、ただ上空で見ても正確には分からないので最終的には地上から確認して貰わないといけないが。

『こちら烈風隊、聞こえるか?』

いきなり無線が入ってくる。

「ああ、よく聞こえる。どうしたんだ?」

『所属不明の機体が近づいて来ているとの連絡が飛竜改から届いた、数は十数機らしいが富嶽並の大きさらしい、速度は聞いて驚け、何と40キロだ、よく落ちないもんだ。四十機ほど連れていって迎撃する、護衛機は残すが気をつけてくれ。』

「了解した、そちらも気を付けてな。」

『死ぬ気はないよ、また会おう』

大きく旋回して北に進路を取った烈風改達が機速を上げながら上昇する、上空から一撃離脱をかけるつもりなのだろう。しかし富嶽並の大型機とはどの様なものか後でガンフィルムを見させてもらおう。


ーーーー烈風隊ーーーー

『こちら飛竜改三番機、烈風隊聞こえますか?』

ノイズも入っていないクリアな通信が入る。

「ああ、よく聞こえる。このまま進めば敵機が見えるのか?」

『はい、高度、進路共にそのままでお願いします。間もなく見えるはずです。』

「了解、全機聞こえたな、編隊を一時解除、各機機銃試射を行え」

機体が少し離れて機銃の試射に入る、自分も行うために少し離れて20ミリ機関砲

の試射を行う。

ズドドドド

機体が振動し心地よい響きが聞こえる。

「良し、問題はないな。敵機はまだ見えないか・・・いた!」

遠くにゴマ粒のような大きさの何かを見つける、飛行機のように何かで覆っているわけではないようで反射光等は無い、距離は離れているがかなりの大きさだ。

「こちら烈風一番、飛竜改へ敵機を確認、これより迎撃する。」

『分かりました、まずは敵機の情報をお願いします、出来ることならば資料として何機か鹵獲してほしいのですが、生還を第一にせよとの総司令官からの言葉がありますので無理に鹵獲しなくても良いです。』

「良いのか?」

『残骸からでも情報は入手出来ますので遠慮なく殺ってください。』

ウキウキという感じで伝えて来る・・・まあ良いか。

「良し、全機行くぞ。」

『『了解』』

さらに高度を上げ近くの雲を目指す、上手くいけば雲から敵の詳細が分かるはずだ 。敵を知り己を知れば百戦危うからず、だ。


グオオオオーン

心地のよいエンジンのうねりを感じながら不明機の上空に差し掛かる。

「何だ?ありゃ?」

開いた口が塞がらないとはこの事だろう、飛空船というのがいるとは聞いていたから船が飛んでいるのは理解しよう、だがあれは飛行船じゃあ無いのか?

『隊長、あの飛行船の気球部分何か動いてないですか?』

『後ろの方なんか派手に動いてるな。』

部下から疑問に満ちた質問が飛び交う、今言えるのはあれが強いか強くないかだ。

「飛竜改へ、こちら烈風一番、聞こえるか?」

『こちら飛竜改、どうしました。』

深呼吸をして気分を落ち着けた後、再度報告する。

「不明機を視認した、外見はツェッペリン飛行船なんだがゴンドラ部分はそのまま船をくっ付けた感じだな。問題は気球部分だ、たぶんあれは生物だぞ。」

『鳥ですか?』

「いや、そんなに羽が生えてないから違うな。たぶん鯨だな。」

『鯨ですか?』

「ああ、海で塩を吹いたり大口で魚を大量に食うあれだ。」

微妙な空気が流れる。あんなものが空を飛んでいるなんて悪い冗談以外無いとしか言いようがない。

『まあ、かわいらしいでしょうが、叩き落としてください、十分に気をつけて。』

「了解、全機まずはロケット弾で攻撃して落っこちなけりゃ機銃で叩き落とす。行くぞ」

『『了解』』


距離が近づき大きさを確認する。

「でけぇな、ツェッペリン飛行船並って報告間違いじゃ無かったな。」

大きさは300メートル程だろうか、ゴンドラは二つあり大きさは80メートル程だ、数は12隻。

「となると上は死角になるな、各機上空から攻撃を仕掛ける、念のため1隻に4機で当たる、行くぞ。」

『了解、しかし迎撃が無いですね。あ、高度を上げてますよ‼』

烈風改には比べ物にならないがゆっくりと上昇している、しかし尾を振りながら上昇している様は見ているととても幻想的だな。退く気が無い奴等に情けは禁物、さっさと落とそう。

「高度をとられる前に落とす、距離800で発射2発で様子を見る」

スロットルを全開にして接近する、迎撃はない。照準機のレティクルに飛空船が捉えられみるみる内に大きくなる。

「距離1000・・・900・・・800撃て!!」

バシュバシュバシュ・・・グワーン

グオオオオ

命中した瞬間鯨の胴体が膨れ上がりロケット弾の発射音の数倍はするような轟音が響き渡る、胴体下にあった船と共に落ちていく、船から脱出しようと飛び降りる者もいるが飛び降りても結果は変わらない、早く死ぬぐらいな物だろう。

「・・・まさか胴体の中は水素・・・なのか」

水素に火気を近づければどうなるか・・・爆発である、かつてのツェッペリン号のように落ちていく、ただ一つ違いがあるとすれば人よりも巨大な悲鳴が聞こえていることだろう、鯨の上げる断末魔の悲鳴が、落とされずに残った鯨の上げる悲しい歌が・・・。

キューーーン、クオーーーン

鳴きながら反転していく飛空船に追撃しようとするものはいなかった、先程の戦いで戦意が喪失したであろう事は想像に固くないからだ、何より自分達も戦う気が失せてしまったのだから。

「飛竜改、こちら烈風一番、不明機は10機撃墜残り2機は反転した、これより攻撃隊に合流する。」

『了解、お疲れさまでした。』

帰艦する攻撃隊に合流するべく進路を向ける、飛空船があのような物だったとはあれでは近くで銃撃等できようもない、極力ロケット弾を使うことを進言しよう。後味の悪い戦闘だったな。

飛空船:帝国の切り札、飛行鯨を飼い慣らし攻撃に使えるように訓練した。生来臆病であるため飛竜騎士の護衛が付けられない、そのため高高度で攻撃していた(ただし4000メートル)ため迎撃されなかった、結局無傷であったため防御装置などは考えられることはなかった、そのため今回の大惨事を招いたとも言える。帝国しか所有していないが今回落とされたので残りは30隻しかいない。なお、今回の戦いで鯨が脱走し事実上使用できなくなった。前話で出てきた飛空船はこれの劣化版で魔石で動かす、ただし燃費が凄まじく悪く費用対効果の関係から主力はこちらだった。これ以降飛空船は前話で出てきたのを指します。

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