第49話 第二艦隊戦闘開始
ーーーー第二艦隊ーーーー
「少しずつ逃げてきているな。」
双眼鏡で敵艦隊の方向を見ていたがたまに輸送船が出てきて駆逐艦に拿捕されている。どの船も反撃もせずに捕まっている。基本的に非武装だからな。
「総司令官は暴れられているんだな、血相を変えて逃げてきているようだ。」
「ですが大半の船はまだあちらに留まっているみたいですね、忠誠心が高いんでしょうか?」
「もしくは人質などをとられているためそこにとどまるを得ない状態になっているか、だな。」
現在10隻ほどの輸送船を拿捕しているが2隻ほどは骨があるのか反撃を行い撃沈された。なお見せしめとして逃げ出したものは爆雷を投じて殺している、反撃をしたものを生かす価値は無い、食料の無駄だ。
「さて、では行くか。全艦に通達、突撃せよ。降伏したものは攻撃を禁ず、反撃をしたものは撃沈せよ。以上」
「了解しました。」
第二艦隊の全艦が最大戦速で突入を開始する、輸送船というのは不満だが命令を疑問に思うものはいない、それが敬愛する総司令官に対する無礼に当たると承知しているからだ。
ーーーーー輸送船ーーーーー
「あちらではどうなっているか分かるか?」
マストに登っている監視員に問いかけるが
「煙が見えるだけで何が起こっているのか検討がつきません。」
「勇んで行ったから問題は無いと思うのだが・・・不安だな、あいつは敵が近くにいるとよく暴走するからな。」
「隊長は将軍とはお知り合いなのですか?」
副隊長が聞いてくる。※輸送船は軍属ではないのでまとめ役の軍人が10隻に一人の割合で乗り込んでいる、各輸送船には軍需物資が積まれているが威圧目的のため兵は乗っていない。占領しに行くとはいってもそこまでの抵抗は無いと帝国軍上層部が判断したため。
「幼なじみだ。あいつみたいに要領が良くなくてな、未だに百人隊長止まりだよ。実家からはあいつみたいになれと煩いんだけどな、俺はこっちの方が性にあっているらしい。」
苦笑しながら話していると監視員から報告が来る。
「後方から接近する船を確認、数は1、2・・・まだ増えています。」
「何だと!友軍の船か?」
後ろから敵が来るはずはないと思い込んでいる者たちが確認の為に監視員に問いかけるが
「あのような船は見たことがありません‼それにどの船もとてつもなく大きいです。」
監視員に選ばれる者は目が良くないといけない、敵を先に発見すればそれだけ有利に戦いを進めることができるからだ。給料も良いため結構競争が激しい。その為自分の視力には自信を持っているのだ。
「武装もない船では戦えん、本隊に近い船を連絡に行かせろ。我々だけでは始末されるのを待つだけだ。急げ‼」
命令を受けて本隊に行こうとするがその速度は呆れるほどに遅い。たどり着いても無駄ではあっただろうが。
ーーーー第二艦隊ーーーー
「目標、敵艦隊。照準準備、ただし射撃はまだ待て。」
ネルソン、ロドネー、ビスマルク、ティルピィッツが射撃準備を整えていく。
「了解、弾種はどうしましょうか?」
「榴弾を、時限信管で砲撃しなさい。直発信管では突き抜けてしまうわ。」
「了解、貴女たち急ぐわよ。一番槍は私たちが貰うのよ。」
主砲に榴弾が装填される、大和の対46センチ楊弾機になっているため射撃速度は1分間に4回の済射が可能になっている。(急済射の場合は5回)一応威嚇射撃ではあるが数隻沈むのは相手に対する恫喝になるとして許可されている。
「A砲塔装填完了」「B砲塔装填完了」「C砲塔装填完」
「全砲塔装填完了、艦長射撃準備できました。」
砲術長の返事を聞きビスマルクの号令が出るまで待機する。
ーーーーービスマルクーーーーー
「駆逐艦及び巡洋艦に降伏を呼び掛けさせろ、1分以内に停船しない場合1分のみ砲撃する。あえて30秒に1回の射撃にする。」
「了解しました。」
突撃していく駆逐艦からスピーカーで降伏をし停船を呼び掛けるが一向に停船しない。それどころか反撃をしてくる船があるほどだ。船に積んであるバリスタでだが。(当然届かない)
「やはり数隻は沈めないといけないか。」
「そうですね。」
「砲撃開始、ある程度の敵船を沈めろ己の行いを悔い改めさせろ。」
全艦から砲撃が開始された。一瞬砲煙で艦隊が見えなくなるほどだった。




