第48話 駆逐艦、航空部隊の戦い
ーーーー巡洋艦・最上ーーーー
「司令官達が暴れだしたな。では我々も反撃開始と行こう、全艦砲雷撃戦用意、目標は特には決めんで良い。溢れるほどいるしな。」
「了解しました。」
最上に搭載されている15.5センチ主砲三連装三基が敵艦隊に向けられる、駆逐艦も解き放たれる前の猟犬のように盛大に煙を上げている。
「準備終わりました。いつでも行けます。」
「よし、全艦突撃。俺達の恐ろしさ思い知らせてやれ。」
「「「オーーーー」」」
駆逐艦が10センチ砲を撃ちながら突撃し射程に入り次第40ミリや20ミリも射撃に入った。逃げたくても逃げられない帝国艦船は一隻また一隻と沈んでいった。
ーーーー駆逐艦・秋月ーーーー
「最上より発光信号『突撃せよ』です。」
航海長が報告すると艦長から命令が発せられる。
「よし、突撃!」
「艦長!上の奴等はどうするんですか?」
砲術長が聞いてくる。先ほどから飛んでいる飛竜がうるさくて仕方がないのだ。
「あっちは別のやつが始末してくれる、まあ近寄って来たら打ち落とせ。」
「了解」
ーーーー帝国艦隊ーーーー
「くそ、何故だ!何故あれほど燃えていながら戦えるのだ‼」
「将軍、今はその様な事をいっている時ではありません。」
話している間にもまた一隻沈められた。
「ええい!爆撃騎達は何をしておる、今こそ奴等を叩くべき時ではないか‼」
先程船に有効な攻撃をした者達に期待を寄せているようかだが、彼らは彼らで窮地に立たされていた。
ーーーー爆撃騎隊ーーーー
「隊長、艦隊が攻撃を受けています。」
「何!?くそ救援に戻るぞ‼」
きびすを返し艦隊に戻ろうとしたが、
「隊長‼上から何か来ます。」
言葉につられて上を見ると猛然と何かが突っ込んで来た。
「く!被害は?」
辛うじて無事であった隊長は周りを確認するが先程話し掛けてきた部下を含めて30騎は姿が見えなかった。
「先程の攻撃で落とされた、だとこれは夢か?悪い夢なのか?」
フルプレートに加え飛竜にも鎧を着せているはずの自分達が容易に落とされる、悪い夢とも思いたいであろう、だが現実逃避しようとしたが彼もすぐに落とされることになる、まだ反撃は続くのだ。
ーーーー戦闘機隊第一迎撃隊ーーーー
「今までは総司令官の命令で攻撃出来なかったが、許可が出たから落としてやるよ‼よくも大和を攻撃しやがったな‼この屑どもが‼」
第一波迎撃隊は烈風改のみで構成されている。雲に隠れながら命令を待ち、眼下で旗艦が攻撃される様を見続けるしかなかった。たとえ被害を受けることを知っていても気分の良いものではない、しかも敬愛する総司令官も乗っているのだ。彼女たちの怒りは凄まじいものになっていた。
ズドドドドドド
上空からの一撃離脱を行い30機近くを落とした後、反撃をしようと飛竜が攻撃しようとするがそれは早計過ぎた。何故ならばまだ上空からの攻撃は続くのだ。高度が下がった機体は弱い、その為の対処も出来ていたのだ。
ーーーー第二迎撃隊ーーーー
「上から被られると弱いのでね、やらせはしない。」
第二迎撃隊は流星改で構成されている、格闘戦は無理だが一撃離脱ならば十分な運用が可能だからだ、そのため烈風改が高度を取るまでの迎撃に当てられたのだ。
「下手に狙いを付けるな、当てる必要はない。混乱の渦にとらえ続けろ。」
そうは言っているがなるべく撃墜するように狙っているのは愛嬌だ。
「烈風改も高度が取れたようだな。」
流星改が高度を取ろうとしたときに烈風改が攻撃に移った。今回は編隊を組まず各個にだが、上空から飛竜が一掃されるのに大した時間はかからなかった。逃げられたのはほんの少し勘の良い人間と動物的本能に従った数騎だけだった。彼らは必死で内陸にある基地を目指した、何度も振り返りながら。あの悪魔に追い付かれたくない一心で。
ーーーー輸送船ーーーー
「一体、何が起こっているんだ‼」
護衛の戦闘船がいなくなって早一時間程がたっただろうか?一部の船は後退しようと言い、数隻は実際に後退していった。
「我々はどうしますか?」
長年一緒にいる友人が聞いてくる、今回の戦いは圧勝になるという噂だった。だから参加したのだ、だが今の状態はどうだ?詳しくは見えないが負けているようにしか見えない・・・ここは
「我々も後退しよう、ここにいても殺られるのを待つだけだと思う。」
「分かった、皆後退するぞ。」
「「へい、旦那」」
私たちが後退して少したち艦隊が見えなくなった頃、それは突然現れた。
「な、何だ。あれは?」
そこには巨大な船が何隻もいた。




