第41話 惨劇の準備
「さて、我々と敵の艦隊の位置を見ると我々の艦載機にはちょうど良い距離にいるわけだ。」
彼我の差は600キロメートル、烈風改の航続距離が1450キロメートルなので問題ない距離にいる、だが
「我々は艦載機で敵の艦隊を撃沈したいわけではない。だが飛竜がいると砲戦の邪魔になるのは明白だ。」
「はい、いかがいたしましょうか?」
「夜まで進路を変更し一時離れる、夜になったらもとに戻し最大戦速で敵の艦隊に進路をとる。朝までには視界内に捉えられる筈だ。」
視界内に捉えられた船に攻撃してくるならば撃沈すれば良く、仮に距離を取られてもこちらは追撃できる。
「問題は飛竜がいつ出されるか、だな。」
「そこまで気にするほどの敵でしょうか?」
航空参謀が聞いてくる。
「確かに烈風改どころか九九式襲撃機でも叩き落とせるだろうが油断は禁物だ。発艦出来なければどの様な名機でも只の的だからな。カタパルトがあるとはいえ頼りすぎるのは宜しくない。」
適度な緊張感は良い薬になるからだ。
「他に質問のあるものはいるか?」
誰からも反応が無いので、これで切り上げることにする。
「では艦隊は進路を東南にとり、夕方に進路を現在の進路に戻し最大戦速で敵の艦隊に向かう。その際第二艦隊に距離を詰めるように無線を入れろ。潜水艦隊には港の攻撃に入るように、ただし無理は避けるように、一度の攻撃にするように無線を入れろ。戦略爆撃機隊の司令官には攻撃命令を受領次第、敵の前線基地を爆撃させるように無線を入れろ。以上だ。」
「了解しました。明日は忙しくなりそうですね。」
壁を見ながら答える。
「敵には地獄になるだろう。だが彼らが行っているのは非道だ、他国に攻めるという。ならばこちらもそれ相応の攻撃は行おう。我々は力を見せておかなければ侮る者しかいないだろう。彼らにはその為の犠牲になってもらう。」
「使われるだけというのは勘弁して欲しいからですね。」
「その通りだ。」




