第37話 潜水艦の一幕
ーーーーー潜水艦隊旗艦・伊1001ーーーーー
「司令官から許可が出たぞ。」
「本当ですか?では早速準備に入りましょう。」
急いで準備にかかろうとする副長を指揮官が止める。
「まあ待て、許可は出たが夜間だ、ついでに軍事施設にも攻撃を加えて良いそうだ。」
「それは航空隊の奴等も喜びますよ、しかし良いんですかね?」
「どういうことだ?」
「いえ、司令官は今まであまりこのような任務に我々を使わなかったじゃあないですか?どうして許可が出たんですかね?」
「理由はこれだ。」
電文を副長に見せる。
『潜水艦隊を基本的に偵察に使っているのは、単純に敵の帆船に攻撃しても魚雷が艦底を通り抜けるだけだからだ。航空攻撃ならば問題無しという判断からだ。そろそろ潜水艦隊も戦闘した方が良いだろう。派手にやってこい、ただし誘導爆弾とかも使って良いから民間人に被害を与えるな。敵に交渉材料を与える必要はないからな。』
「分かりやすくて良いですね。」
「納得したか?」
「はい、派手にやって良いんですから部下達にも教えて来ます‼」
階下にある格納庫に向かって行く。部下思いの良い上官ではあるのだ(ちょっと融通は利かないが)。
「副長は相変わらずですね。」
「それが良いところではあるんだがな。」
航空参謀と共に苦笑するしかない指揮官であった。なお木梨鷹一少将である。
ーーーーー戦艦大和・第一艦橋ーーーーー
「これで偵察の件は問題無いな。」
「はい、もう一隻の伊1000は使わないのですか?」
「念のために置いておいた方が良いだろう。」
ばれたとしても一隻と思ってくれた方が都合が良い。
「さて、お待たせして申し訳ない、もうじき昼ですから食事でもいかがですか?」
公爵達に笑いかけ聞いてみる。
「食事ですか?」
「帝国の艦隊と戦うまでは時間が有りますし腹が減っては戦は出来ませんよ。少しでも機が紛れますし空腹では判断能力も下がりますよ。」
「では早速行こうじゃないか、ヴァルト殿」
ウキウキという擬音がするほどに上機嫌なレナ嬢を見て思わず公爵に問いかける。
「娘さんは気難しい感じのように思いましたが違うのですか?」
「私もあの様なレナを初めて見る。」
二人して顔を見合わせる。
「二人ともどうしたんだ?早く行こう。」
「あ、ああ。」
「お待たせして申し訳ない、では参りましょうレナ殿。」
私がレナ殿と言うと頬を膨らませて
「レナで結構だ、ヴァルト殿。敬称は不要だよ。」
「では私もヴァルトで結構ですよ。」
そう言うと二人で笑い合うのだった。
潜水艦伊1001艦載機数:艦載機型ta-152・20機、晴嵐改艦上機版・10機




