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第29話 食事情

 通された部屋でお茶を飲みながらクッキーを齧っている。

「なあ、楓君?紅茶はまだうまいんだが、このクッキーは、なんでこんなにまずいんだ。甘みは足りんし、かといって腹に溜まるわけでもないし、どういうことなんだ?携行食じゃないんだろ?」

「この世界において砂糖は高級品になります。そのため基本的には塩味が一般的なのです。香辛料の入手が困難であり滅多に流通しないためです、特に砂糖は王族や上位の貴族などが独占しているのが現状です。そのためこのクッキーはまだ甘い方になります。決して歓迎していない訳ではありません。」

「どこの世界でも、香辛料が高いのは仕方の無いことか・・・、となると風呂なんかは?」

「一週間から十日に一回くらいですね、地球でも日本以外では一般的ではないからです。」

なお商人達は港に近ずいた時点で自力で向かっている。これ以上世話になるのは戴けないそうだ、ただ後日正式に夕食のご招待をしたいとは言われたが。

 衛生面からだと宜しくは無いな、と思っていると廊下を走ってくる音が聞こえる。

「お待たせして申し・・・わけ・・・な・・・い・・・。」

 勢い良く入ってきて固まっている。これはこれで見ていて楽しいものだ。

「いきなり来て申し訳ありませんな、公爵。艦隊の停泊地が決まりましたので、そのお知らせに来たのですよ。」

 十分すぎるくらいに固まっていたな?

「な、何でヴァルト殿がこちらに」

「艦隊の停泊の件ですが、この港町がどの様なものか見て見たかったもので、ご迷惑でしたか?」

疑問に思い聞いてみる。

「いえ、お別れしてそれほど、時間の経ってもいないのにと思いまして。」

「そういうことですか。停泊地の目星は予め付けておきましたから、ここから南に500キロほど行くと、小さな群島があるでしょう?そこを停泊地にしています。ヘリを飛ばせばそれほど時間がかかるわけではないですから。」

「あそこですか、あそこは潮の流れが強いと聞きますが?」

「潮の流れ程度なら問題はありませんから、あと帝国の艦隊と思われるのが、あと4日ほどでこちらに来るぐらいでしょう。」

「それは、本当なのか!?」

 先ほどまで黙っていた女性が聞いてくる。

「失礼ですが、どなたですか?」

 公爵があきれながら答えてくれる。

「娘のレナだ。しかし帝国の艦隊が4日ほどの距離にいるのか。」

「はじめまして、レナ殿、私はヴァルトと申します。」

「ああ、こちらこそよろしくお願いする・・・、じゃ無くて本当に帝国のやつらがこちらに来ているのか?」

「おや?聞いていないのですか、潜水艦隊で確認を取りましたので間違いは無いですよ。」

「潜水艦?で、ヴァルト殿、そのときにはどのように動かれるのですかな?」

 こちらを見ながら公爵が尋ねる。

「そのことの確認に来たのですよ。」

 そう言って私は不適に微笑むのだった。

シュラーク群島:名も無い群島なので便宜上なずけた、日本で言うところの小笠原諸島のような感じ、海底に豊富な鉱物資源と原油が存在する。

南に100キロ→南に500キロに修正

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