第27話 艦隊の進路
「大丈夫ですか?レイウェル公爵閣下」
いまだに放心しているみたいなので荒療治でいいか、そう思い頬を叩く。殴ってもいいのだが多分首ごと持っていきそうだ。
「は、いったいあれは、そうか夢だったのだな。」
「残念ながら夢ではないです、敵勢力は殲滅しましたよ。これからあなた達のヨルトリンゲルに向かいますよ。それで戦闘を見ていかがでしたか?」
そう言って微笑むと、彼らは互いに顔を見合わせていた。そして皆を代表して公爵が答える。
「あの飛竜の攻撃を受けて無傷なんて信じられません、しかし上にいる魔導兵器は素晴らしいですね。帝国の精鋭がまるで赤子のような扱いでした。」
どうもあれが精鋭だったそうだ、あんなに弱くて大丈夫なのかと心配になってしまう。
「あれで精鋭ですか?やはり育成は楽では無いですか?」
「飛竜そのものの数が少ないですからどうしても少なくなってしまうんです。それに飛行船が出てくるまでは唯一の飛行戦力でしたからね。」
地上から迎撃するのはやはり難しいのだろう。これで帝国が慎重になってくれるといいんだが、まあ、望みは薄そうだな。航空戦力のアピールはできた。後は艦隊のデモンストレーションをしないとな、飛行艦の方は都市に来た奴で実験するとしよう。防御力がどれだけあるか楽しみだ。
「それでレイウェル公爵。港に入る前に関係各所に連絡をいれていただきたいのですが。」
「そ、そうですね、すぐに戻って準備させます。」
焦っているのか少し言葉の切れが悪い。
「誤解しないで頂きたいのだが貴公の船を全て港に入れる事は出来ない。それと言うのも・・・」
「大きさが足りないから・・・ですね。」
「その通りです。」
厳密には深さも全く足りないのだが、それは言わないほうがいいだろう。かろうじて駆逐艦が入る事ができるだけだ。
「では港の外に停泊しますので用がある時はこちらにお出で下さい。」
「分かりました、ではヨルトリンゲルに戻って部下に説明してきます。」
「では、フィリップス中将、よろしくお願いします。」
「はっ、了解しました。」
レイウェル公爵を伴って中将が退室したため楓君に話しかける。
「初対面としてはまずまずかな。」
「彼は誠実そうですが、貴族ですから警戒しておいたほうがよろしいかと思います。」
「現状では足場固めも大事だよ。自由になる土地を入手して補給地を作るまではね。資源が豊富ならば言うことは無いんだけどね。」
楓君が頷いて同意を示してくれた。
飛竜の育成に時間がかかる:飛竜は発情期が一年に1回だけで、しかも期間が10日と短い。さらに乗せるものを選ぶため補充には最低でも2年は必要。




