第26話 損害報告
ーーーーー戦艦大和・第一艦橋ーーーーー
「あっけなく終わったな。まあ速度の差があれだけあったら当然かもしれんな。」
「ですがもう少し早く落とせなかったのでしょうか?」
「楓君、彼らも戦えず我慢していたんだ、多目に見てやろう。」
そう言うと副官をなだめる、こちらに被害も無く勝てたのだから良しとするべきだろう。油断をして落とされる可能性もあったのだから。
「で、艦長。艦の被害は直りそうか?」
「はい、チーク材の張り直しも終わりましたし、対空砲にも異常は見当たらないそうです。」
「負傷者は?」
「事前に艦内に退避しておりましたので、一人もいません。」
「それはよかった。レーダー室、敵の反応はあるか?」
伝声管にとりつき聞いてみる。
「こちらレーダー室、敵の反応はありません。」
「そうか。艦長戦闘配置解除、警戒体制に移れ」
「了解、全艦に連絡、戦闘体制解除、警戒体制に移れ、司令官、戦闘機はどうしましょうか?」
「あと30分したら一個中隊にして構わん、加藤中佐は帰艦したか?」
通信士が答える。
「少々お待ちください。・・・はい帰艦してガンルームにいるそうです。」
「では連絡を繋いでくれ。」
「了解、どうぞ」
通信機をもらい訪ねる。
「加藤中佐か?」
『はっ、加藤武夫中佐であります。』
「先の迎撃ご苦労様、私の奢りで一本付けておこう、今後も頑張ってくれ。」
『粉骨砕身頑張ります。』
通信機を返しながら、楓君に伝える。
「加藤隊に日本酒1ダース送ってやってくれ。」
「了解しました。」
少しむくれているように見える。可愛らしい物だ。
「どうした?楓君」
「いえこれくらいで褒美を出すのはいかがなものかと思いまして。」
「確かにな、だが戦果を上げた以上報いねば士気は下がるからな、それに航空隊の初陣だ、祝う方がいいだろう?」
「了解しました」
次は放心しとる貴族様の処置だな。




