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第21話 これからの方針

-----艦隊総旗艦・大和-----

「失礼します。レイウェル公爵閣下をお連れいたしました。」

「ご苦労様、どうぞ中にお入りください。ああ君、案内ご苦労様、持ち場に戻っていいよ。」

「はっ、失礼いたしました。」

 敬礼をした後、歳若い二等兵が下がっていく。公爵と呼ばれた男性は唖然としてこちらを見ている。

「し、失礼ですが、あなたが艦隊の司令官殿であられますか?」

「無理な敬語は結構ですよ、それより立ったまま話されるのもしんどいでしょう?椅子にお座りください。」

「あ、ありがとう。では失礼させてもらって、おお、素晴らしいすわり心地ですね。」

「気に入っていただけて何よりです。では、改めて自己紹介させていただきましょう、私はヴァルトと申します、始めまして。お飲み物は何がよろしいですか?」

「いや、お気になさらずに。ですが司令官といわれるにはその・・・、なんといいますか・・・」

 彼の言わんとすることは分からないでもない。

「あなたの仰りたいことは分かりますよ。このような子供がこの艦隊の司令官などといわれてもすぐには誰も信じることなどできないでしょう。まあ追々馴れていただければ幸いですね。」

 苦笑をしながら答える、いくらこの世界に貴族の制度があるからといって、私のような歳で司令官になることはできない。国王などがなる例があるがそれはあくまでも飾りなどである場合が多いからだ。彼はそのことを言っているのだろう、私以外の実質的司令官は誰なのか・・・と。まあ、こちらとしては下に見てくれている方が何かと楽なのだが。

「さて、公爵閣下が直接来られたのはいかなるご用件ですかな?あなたのような高位の方が直接来られるのは、何か切迫した事情がお有りのようですが・・・。いかがですか。」

 港の様子や商人たちからの情報で良くないことになっているのは知っているが、当人からの直接聞いた方がより具体的に把握することができる。多少の主観が入るのは諦めよう。

「私が直接会いに来たのは助力を頼みたいからなのです。先だって帝国より宣戦布告がされたそうです。わが国は土地は痩せておりますが、魔法に必要な魔石は多量に産出できます、いままでは帝国と皇国の軍事力が拮抗していたため問題なかったのですが、帝国が飛行船なる兵器を作り出しその拮抗が崩れました。騎士団が辛うじて国境を守っているそうですが彼我の戦力差は絶望的で、私の治めるヨルトリンゲルをとられた場合、前線は挟撃され、国は一気に蹂躙されるでしょう。お願いです。どうか、どうかわが国に手をお貸しください。」

 そう言うと、椅子から立ち剣を目の前に置き額を地面に付けている。どうも地球で言うところの土下座のようだ。

「頭をお上げください、私のような若者にそこまでしなくとも結構ですよ。複数聞きたいことがありますのでそれにお答えいただいたら考えさせていただきます。」

 公爵は頷いた、先ほどよりかは幾分顔色は良いようだ。

「聞きたいこととは、周辺国からの援助は受けられないのかということ、皇国からの援軍は無理なのかということ、我々の立ち位置はどうなるのかということです。」

「周辺国はすでに交戦中か、征服されてしまっておりこちらに援助を要請している有様です、次に皇国からの援軍ですが、皇国の国境線から帝国の不穏な動きが見えるため兵力を回す事はできないそうです、最後にあなた方の立ち位置は傭兵ということになります。」

「傭兵ということは命令には従えということですか?」

「そうなります。」

 こちらの能力を把握せずに使われては無駄が増えるだけ・・・最後の一つは傭兵ではなく独立軍としてもらおう。

「傭兵ではなく独立軍ということにしていただきたい、命令ではなく要請という形でのみ行動します、また我々は対等な立場ですのでそちらが違反行為もしくは理不尽な命令をした場合攻撃することもあります、我々独自の行動をすることも許可していただきます、戦後不当に縛り付けることもしないこともお願いします。これくらいですかね」

「我々が頼む側だからな。了承した。例え王家が出てきてもかばってみせよう。」

「では、それでよろしくお願いします。」

 ドアがノックされ従兵が入ってくる。

「失礼します。艦長より北から20機の所属不明機が接近中とのことで艦橋にお越し願いたいそうです。」

 このタイミングで・・・か。

「公爵閣下、失礼して宜しいですか?」

「私も同行しても宜しいですかな、どのような戦闘になるか興味がありますので。」

「いいですよ。」

 そう言うと艦橋に急ぐのだった。

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