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第16話 港町の様子

-----港町・ヨルトリンゲル----

「飛行船は飛び去りました。現在町の被害状況を確認しています。ですがかなりの数の負傷者が出ているものと思われます。」

 一人の青年が初老の男性に報告する。青年の顔立ちは整っており町を歩けば振り向かない娘はいないだろうと思わせるほどだ。

「そうか・・・、こちらの攻撃で落とせた飛行船はいなかったのか?」

 初老の男性が聞く、年のころは50代に入ったところというところで。口ひげを蓄えたナイスミドルだ。当然髭も白いが、髪にも白いものが混じっている。

「こちらの体制が整う前に攻撃を受けましたので、落とせたものはいないそうです。あと王都からの早馬で先ほど帝国からの宣戦布告があり警戒せよ、とのことでした。せっかくレイウェル公爵様が帝国の動きを察知してらっしゃいましたのに有効に使えないとは、王都にいる人間は馬鹿ばかりなのですね。」

 そう言うと怒り心頭なのか、顔が真っ赤になっている。

「そう言うな、国としては今までの攻撃が余り無かったのだから、今回も攻撃は無いだろうとの考えがあったのだろう。しかし今は敵に対する備えも行はねばならない、ヨハン。港にいる艦船に北から来る船を警戒させる哨戒艇を出しておいてくれ、昼間は偵察騎も出しておいて欲しい。」

 そう言うと損害のことを考えてのことか、顔に渋面を張り付かせるのだった。


-----8時間後-----

 飛竜は一番早い竜で戦闘能力は低い、飛行速度は最大で350キロほど、体力の関係で6~8時間ほどしか飛べない。今回はかなり危ない状況のため限界まで偵察させたようだ、速度は200キロで4時間。ちなみにヨルトリンゲルには60騎の飛行騎兵がいるが偵察騎は10騎しかいない(他の数は戦闘騎兵20、爆撃騎兵20、輸送騎兵10)、これは育成にも維持にも金がかかるため仕方の無いことなのだ。なお一都市に配備される飛行騎兵は多くとも30騎程なので、この都市は極めて重要なのが見て取れるだろう。

「レイウェル公爵様、偵察の結果が来ましたので報告させていただきます。」

 ヨハンが部屋に入ると用件を切り出す。

「分かった話してくれ。」

「はい、北西の海域を調べてみた結果、800キロの地点に帝国の帆船が集結していたそうです。多数の船で数は数えられなかったそうです。このまま進行してくるとすると3日後にはここに到着します。」

「やはり、きおったか。町民に教え避難したいものはすぐに避難する様に伝えよ。無駄な犠牲は少しでも減らしたい、町民の護衛は精鋭部隊を当ててやってくれ。彼らはこれからの戦いに必要だろうしな、ヨハン、お前は指揮官として参加しなさい。」

「嫌です、公爵様、いえお父様と離れるくらいでしたら死を選びます。」

 目にあふれんばかりの涙をためて言う。

「騎士を目指したときから我が子として扱わぬと言ったであろう。騎士ならば命を遵守せい。明日の正午、避難民を連れて脱出せよ。良いな。」

「・・・お父様。」

「復唱はどうした!」

「・・・了解しました。明日の正午、・・・避難民を連れて脱出し、王都に向かいます。」

 拳からは血が流れている。復唱し終わった後、涙を流しながら出て行った。

「澄まぬな。許してくれとは言わぬ、だが我が妻の忘れ形見たるお前を殺させたくは無いのだ。分かっておくれレナ。」

 親子の情を吹き飛ばすように敵軍は近ずいてきている。さて、どうなることやら・・・。

 なお、ヴァルトの艦隊はというと潜水艦隊がヨルトリンゲルの西800キロまで近ずいていたが偵察騎の反応をレーダーが捉えたため急速潜航した。そのため潜水艦隊の姿を捉えることなく引き返している。引き返した後で浮上し本隊に不明機接近の無線を打った。

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