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〈chapter:02-04〉

【前回のあらすじ】


はたしてカノンのピンチに現れた人物の正体とは……!?

 ガッシリと。

 私に伸ばそうとしていた手を鷲掴みにされ、バンダナ男が狼狽えます。

 戸惑う視線は私の背後に向けられていました。


「っ!? な、なんだテメェ、急に──」

「いいからその手を引けと言っている。薄汚いクソ虫め」


 バンダナ男の手首を掴む思ったより大きな掌からは、ギリギリと骨の軋む音。

 顔を歪めたバンダナ男はすぐに手を引きます。

 手首には真っ赤なアザができていました。

 バンダナ男は涙目です。

 ははっ、ざまぁ!


「……キミ、大丈夫かい?」


 なんて、ネガティブなことを考えていた私に頭上からの声。

 遅れてそれが私の身を案じるものだと気づき、慌てて私は振り返ります。


 するとそこにいたのはやはり……

 この至近距離から見ても美人だと思う、スラリとした長身のおねーさんでした。


 女性にしてはかなりの長身。

 ヨユウで百八十は超えているでしょう。

 けれど涼しげな竹のように均整のとれたその体躯は『大きい』というより『細長い』という印象。

 冗談のように長い足を、デニム生地のジーンズが包んでいます。

 大きめのサングラスをしているために目元は窺えませんが……

 肌は白く。

 唇は薄く。

 鼻梁は筋が通っていて、顎の輪郭はシャープに引き締まっています。

 後ろで束ねられた艶やかな黒髪が、とってもクールでステキですね。


「お、おいなんだアンタ。やっぱ、喋れるんじゃないか──」

「ゴミ虫どもの言語はラーニングしていない。だから単刀直入に言ってやる。消えろ」

「っ!? テメェ──」

「三度目はない。消えろ」

「……っ!」


 あまりに一方的で、絶対的。

 問答無用な美人さんの最後通告。

 醸し出される圧倒的な『凄味』に、男たちは完全に委縮してしまったようです。


 否っ!


「……ふ、ふ、ふざけてんじゃねぇぞコラァッ!」


 ゴミ虫なりにプライドというものがあったのでしょうか。

 メンツを守るため、バンダナ男がなかばヤケになっておねーさんに殴りかかってきました。


「シッ!」


 しかし私が悲鳴をあげるより早く、おねーさんは私を抱きかかえてその場で一回転。

 バンダナ男が繰り出した拳を紙一重でかわし、さらに遠心力を利用してそのままハイキック。

 ズゴッ! 

 鈍い音とともに、跳ね上がった爪先がバンダナ男のこめかみに吸い込まれ、そのまま意識を頭蓋骨から弾き飛ばしてしまいます。


「「「「 ひ、ヒデちゃん!? 」」」」


 驚愕するバンダナ男の仲間たち。


「……まだやるのか、ゴミ虫ども?」


 おねーさんの、鋭い視線と声が突き刺さります。


「「「「 ひ、ひぃいいい! 」」」」


 白目を剥いたバンダナ男を担いだ男たちは逃げるようにその場を立ち去って行きました。

 情けない男たちの後ろ姿に、胸がスカッとしないといえば嘘になりますが……


「……お、おねーさん?」


 それよりも今、私の頭なかを占めているのは新たに浮上した大問題です。


「ん? どうしたんだい、フェアレディー(勇敢な少女)」

「あ、すいません、でもその………おねーさんの胸って、とっても薄いんですね」

「そうかい?」


 ええ。

 服装で上手く隠されていましたが、これは『小さい』というよりほぼ『ない』。


 むしろ分厚い。

 この感触はまるで、鍛え上げられた殿方のような……


「まあ俺は男だからな。胸はなくて当然だろう」

「女装を認めちゃった!?」


 ここにきてまさかのカミングアウトです!


「それよりもフェアレディー」


 驚きに目を見開く私に、おねーさん……

 もとい、女装のおにーさんは。

 サングラスを外して、そうとわかっていても見惚れるほどに美しい笑みを浮かべながら、


「キミがマイシスターのドーター、茉莉花音だね」


 と、私の名前を口にするのでした。


                 ●


 皆さんもうお気づきでしょうが……

 これが私とジョージさんの、記念すべきファーストコンタクトでした。


というわけで、ジョージさんの登場です。

バレバレでしたね。


一応ここで二章を区切り、次から第三章になります。


お読みいただき、ありがとうございます。

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