〈chapter:09-02〉
【前回のあらすじ】
カノンちゃんの名推理劇場。犯人はジョージさん。
「さあ、何のことかな?
俺にはマイドーターの言うことがさっぱりわからないよ」
ですがこの期に及んで、ジョージさんはシラを切ります。
えぇい往生際の悪いっ……と、言いたいところなのですが、しかし残念ながらそれらはすべて私の勝手な憶測であり、予想。素人丸出しの推理であり、それらにジョージさんを論破する証言や物証はありあません。
でもそれでも。
理論ではなく直感で。
血の繋がりで。
私には、ジョージさんが嘘をついていることがわかります。
わかってしまいます。
それだけに、非常に悔しいのですがですが……
「……はぁ。もういいです。ジョージさんがしらばっくれるんならもういいですよーだ」
「ん? そうかい」
そう言ってジョージさんは何事もなかったかのように中断していた食事を再開しました。
この余裕っぷり……あぁ腹が立つ!
これでは、まるで、本当に、最初から最後までジョージさんの掌の上ではないですか!
そんなの、納得いきません!
私にも意地があります!
なにか、なにか少しでもいいから、このツラの皮が厚い叔父さんに『ぎゃふん』と言わせる逆転の一手がないものでしょうか……?
………………。
…………。
……。
そうだ!
「あーあ、しかし残念ですねぇ」
やや間を置き、食事を終えたタイミングを見計らって。
私はさも独り言のように、しかしジョージさんに聴こえる声量で呟きます。
「もし今回の一件が私の推理通りなら、その立役者だったジョージさんには、なにかしらの『ご褒美』でもあげようと思っていたのに……」
「本当かい!?」
ドンッ!
その瞬間、『待ってました』といわんばかりに、食卓から身を乗り出してジョージさんが話に食いついてきました。
「えっとなんだい!? その『ご褒美』とは、『なんでもいいからひとつだけ言うこと聞いてあげるよ』的なアレかい!?」
「え、ええ、まあそんなところでしょうね……あ、でも性的な要求はダメですよ!」
「当然じゃないか! マイドーターにそんなことをさせる俺がどこにいる!?」
知らねえよ。
え?
っていうか私、早まった?
この反応。もしかしてここまでが、ジョージさんの計画だったの?
「ああ、そうだよ、すべてはマイドーターの推理通りさ。いやはやまったく、その慧眼と深慮には恐れ入るね。さすがマイシスターの娘。アンクルである俺も鼻が高いよ」
「あ、あの、ジョージさん……?」
「そうだね。でもいちおうは、順を追って説明しておこうか」
動揺する私を無視して、ジョージさんは二の句を告げさせずに語り続けます。
「まずこのシナリオを思いついたのは、うちの玄関先であのドーターズフレンドとの立ち話をしていたのを盗み聞──ゲフンゲフン。たまたま、漏れ聞いたときのことなんだ」
「ジョージさん? いま、盗み聞きって言いませんでした?」
「そしてロッキーの性格をそれなりに把握している俺は、その時点で、だいたいの話の流れを理解した」
ジョージさん。
いま、さらりと問題発言を流しましたね。
それにまあ……たしかにロッキーさんも、似たようなことを言っていましたからねぇ。
付き合いが長いぶん、お互いの言動や思考なんかはお見通しなんでしょう。
「だからあとはそれを気にしていたマイドーターの心にしこりが残らないよう、失礼ながらちょっとばかりマイドーターの背中を押させてもらって、ナオにサポートを頼んで、あとは話し合いにジャマが入らないようこちらで手を打っておいただけさ。そういった意味ではたんなる偶然だが、マイドーターがあの店を選んでくれたのは幸運だったね」
「そ、そうなんですか……」
「そうなんだ」
そう言って、すっかりすべてを白状したジョージさんは……
「それで、『ご褒美』の件なんだが」
にっこりと。
有無を言わせない、迫力のある狩人の笑みを浮かべるのでした。
……私、ここにきて今日一番の大ピンチです!
さあ、次回で最終回!
ジョージさんが有終の美を飾ります!!
お読みいただき、ありがとうございました。




