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〈chapter:08-05〉

【前回のあらすじ】


 ナオきゅんはジョージさんのメル友になっていました。

「……で、いったいなんでこんなことになってんだよ?」


 そしてその日の放課後。

 昼休みの打ち合わせ通り、待ち合わせ場所である喫茶店『フォレストベル』にやってきた砂金さんは、すでに対面のテーブル席に座っていた私たちに向かって、怪訝そうに目を細めました。


「……すいません」

「……ん? あ、俺のことは気にしないくていいから。ちゃっちゃと話を始めてくれや」

「カノンちゃんはわたくしの親友です! ポッと出のあなたなんかに渡しませんから!」

「……茉莉。これ、ホントにどういうことだよ? なあ?」

「すいません。本当にすいません。心の底からすいません。ごめんなさい」


 自分から『ふたりだけで話したいことがある』と言っておいてのこの体たらく。

 先ほどからテーブルの向こう側でこめかみに青筋を立てている砂金さんにシバかれても仕方ありません。


 というわけでご覧のとおり、現在私の隣には、なぜかナオきゅんとユリりんが同席していました。

 いちおう、こうなった経緯としては……


『昼休みに今日の放課後、砂金さんと会うことを伝える』→『ユリりんが同席を申し出る』→『さすがに私、それは無理だよと断る』→『ユリりんマジ号泣』→『私、渋々折れる』→『そこでナオきゅんも同席を申し出る』→『私、有り難いけどそれは無理だよと断る』→『ナオきゅんに「お前に決定権はない」と宣告される』→『私、心が折れる』


 ……的な☆

 ぶっちゃけ私も被害者なんだよ、的なっ! きゃはっ☆

 本当に、いったいなんでこんなことになったんでしょうね……(涙)


「ま、べつにいいけどさ」


 そんな私の事情を、すでに疲れきっている私の表情から察してくれたのでしょう。

 砂金さんがそう話を区切ってくれたことで、ようやく話が本筋に勧められそうな雰囲気です。


「「「「 …… 」」」」


 ピリピリ。

 徐々に硬質さを帯びていく空気。


 しばしの沈黙。

 店内にかかる控えめな洋楽のBGMが、ちょうどそういう時間帯なのか、私たちのほかに誰もいない室内を穏やかに満たしていました。音楽の合間にキュッキュッと、美人でカッコいい女マスターがカウンター席の向こう側でコップを拭く音が聴こえてきます。


 そして……


「とりあえず、確認するけどさぁ」


 BGMが途切れた瞬間、口火を切ったのは砂金さんでした。


「アンタらふたり……いったいどこまで、ウチの事情を知ってんだ?」

「ほとんど何も。べつに興味ねぇし」

「カノンちゃんのことならなんでも知ってますけどね! 少なくともあなたよりは!」

「……なあ茉莉。こいつらホント、なんでここにいるんだ?」


 さぁ。

 それは私も聞きたいくらいなんですよね。


 とくにナオきゅん。

 先日の『抜けがけ事件』(とユリりんは言っていました)もあり、いつも以上になぜかナオきゅんを敵視しているユリりんはともかく、自分の関心のないことにはとことんドライ&クールなナオきゅんがここにいることは、本当に意味がわかりません。


 あとさっきから必要以上にユリりんが私に(物理的に)くっついてきて、砂金さんに対して『お友だち』アピールをしている理由もわかりません。

 なにこれ威嚇? 牽制?


 ちなみに私側の席配置は、奥から順に『私』→『ユリりん』→『ナオきゅん』です。

 ただひとりで対面に座る砂金さんはそんなナオきゅんたち不可解なの態度に眉をひそめていましたが、ひとまずここは話を進めることが優先と判断したのでしょうか。


「まあべつに、隠すほどのことでもねえからいいけどよぉ」


 と言って。

 気だるげに、先日私に語ったばかりの、自らの身の上話を説明してくれました。

 そのあとで。


「……ふーん。ま、砂金もいろいろと大変だったんだな」

「そうですか……砂金さんの学校での態度には、そのような事情があったのですね」

「ま、そういう私の事情はこの際どうでもいいんだ。……で、茉莉よう」


 ギロリ。

 鋭い碧眼が私を捉えます。


「アンタはそんなウチに、いったい何を言いたいんだ?」


 さあ……

 ここからが、ようやく私の本題です!


 三人寄れば文殊の知恵と言いますが、この面子だと話を進めるのも一苦労です。

 やはり大事なのは数よりも質なのでしょう。


 お読みいただき、ありがとうございます。

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