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〈chapter:07-05〉

【前回のあらすじ】


 カノンちゃんが暴走しました。

「マイドーター……しかしそれはあまりにも幼い……身勝手な、子どもの発言だ」

「ええ、そうですよ? だって私、まだ子どもですもん」


 中学二年生のお子さまですもん。

 子どもはね、ちょっとおバカなくらいが可愛いんですよ。


 それにね。

 そもそも。

 自分が傷つくことを恐れていて、すでに傷ついている人を救えるものですか。

 そんなことをいちいち気にしていては、目の前の、救える人すら救えません。

 私が……気持ちよく、生きていけません。


「っていうか、ジョージさん」


 言葉に詰まるジョージさんに、私は、これを機に攻勢へと転じます。


「さっきから、いったい誰に向かってそんな偉そうな口を利いているんですか? たかだか変態の小説家風情が、天下の女子中学生さまに説教とか、ちょっとチョーシに乗りすぎじゃありません?」


 こちとら歌っても踊っても恋しても金になる、経済動物サマですよ?

 ちょっと美系でお金持ちで特殊な職業についているだけの変態の叔父さんとは、生物的なランクが違うのですよ。


「そ、そうだろうか?」

「そうですよ。っていうか近い。離れてください」

「あ、はい」

「あと頭が高いです。正座。ソファーから降りて床に正座してください」

「りょ、了解した」

「了解した? だからジョージさん、あなた何様ですか? そこは『命令していただいて有難うございます』でしょ?」

「せ、センキュー、マイドーター」


 さて。

 というわけで現在の状況を客観的に整理してみると、

 ソファーに偉そうにふんぞり返っている姪(←下宿人)と、

 その正面の床に正座している叔父さん(←家主)という、非常にカオスな構図が出来上がっていました。


 ヤベっ……

 ちょっとチョーシに乗りすぎたかも!

 さすがにこれは、ジョージさんも、怒ってるかな……?


「……マイドーターは、縞パン派なんだね」

「ぎゃー!」


 忘れてた!

 この人、ホンモノの変態だった!

 そして私は風呂上がりでバスタオルを身体に巻いただけだった!


「変態! 変態! 死んじゃえ! そして今見たものをすべて忘れろ!」


 ゲシゲシゲシッ!

 私はちょうど蹴りやすい位置にあるジョージさんの頭を上からストンピングします。

 えぇ、けっして上は向かせませんとも!

 これを見ていいのはナオきゅんだけなのです!


「……ま、マイドーター」

「なんですかジョージさん!? 言っておきますが命乞いは無駄ですよ!?」

「違う。そうじゃない。べつにそのままの姿勢でいいから聞いてくれ」

「へ? いや、べつにマジメな話なら足をどけますけど……?」

「いや、足はどけなくていい。そのまま話を聞いてくれ」


 ぞわり。

 姪に後頭部を踏みにじられながらそんなことを言う叔父に悪寒を覚えました。

 しかしこの変態にこれ以上視姦されるのもアレです。

 このまま話をさせましょう。


「それで? なんですかジョージさん」

「先ほどの話……マイドーターの、言い分はわかった。でも、それでも俺はやはり不安なんだ。俺には、マイシスターからマイドーターを預かっているという責任がある。大事なマイドーターに、いらぬ負担や傷を負わせたくない」

「ふーん」


 そうですか。

 まだその話を蒸し返しますか。

 そしてここでママのことを持ち出しますか。


 カッチーン。頭にきました。


「そうですか! だったらママに告げ口するなり私を家から追い出すなり、好きにすればいいじゃないですか! 私は私のやりたいようにやりますから! ジョージさんのバーカ! アホ! 変態! シスコン! 冷血人間! 見損ないました! ふんっ!」


 そんな捨て台詞を残して、そのまま二階の部屋に引きこもってしまった私は……

 その後、ジョージさんと言葉を交わすことはありませんでした。


 一度雰囲気が悪くなると、なかなか元に戻すのは難しいですよね。

 作者の体験談だと、謝るのは早いほうがいいです。

 あと謝るのは大体男のほうからです。

 

 お読みいただき、ありがとうございました。

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