〈chapter:07-04〉
【前回のあらすじ】
カノンちゃんがキレました。
「な、なにをするんだマイドーター!?」
「黙りなさいよ、ジョージさん」
目を白黒させるジョージさんに、私は淡々とした声音で答えました。
ええ、そのとおりです。
私は怒っているのです。
「ま、マイドーター?」
「まず大前提として、これだけははっきりと言っておきます。いいですかジョージさん? 私は、あなたの言うことを間違っているとは思いません。むしろ思いっきり正しいと思います。そのことは勘違いしないでくださいね?」
そのうえで、私はジョージさんに宣言してやります。
「だけど、それが何だって言うんですか!」
「っ!? マイドーター!?」
「ええそうですね。弱者を助けるのは強者の『驕り』です。他人に助けるを求めるのは弱者の『甘え』です。それは自己満足です。他力本願です。一時的なその場しのぎで、根本的な解決にはなりません」
それどころか。
裏切られることもあるでしょう。
徒労に終わることもあるでしょう。
苦労は報われず、想いは実らず、逆に恨まれることすらあるかもしれません。
「それでも私は……誰かを、助けます!」
裏切られても。
報われなくても。
恨まれても。
何度でも……懲りずに、手を差し伸べてあげますよ。
私が納得いくまで。
気の済むまで、ね!
「ま、マイドーター。だが、それではあまりにも──」
「無茶苦茶だ、非合理的だと思いますか?」
だからジョージさん。
あなたはそこからすでに、誤解しているんですよ。
「いいんですよ、そんなこと。だって私はべつに、そんなことを、誰かに感謝をされたくてやっているわけじゃないんですから」
そうなのです。
突き詰めてしまえば、これは私の自己満足。
ジョージさんのいうところの、強者の『驕り』に過ぎません。
私はただ。
私のために。
私が満足したくて。
私の好き勝手にやっているだけなのですから……
その結果、人に裏切られようと、恨まれようと、それこそ私の自己責任です。
「しかしそれでは──」
「それにね、ジョージさん」
なおも私を説得しようとするジョージさんに、私は、決定的な一言を突きつけます。
「ジョージさんの言うことは正しい。理にかなっている。建設的で、合理的です」
「だったら、なぜ──」
「でもそれじゃあ、ぜんぜん気持ちよくないんですよ!」
「っ!? な、なにを言っているんだマイドーター?」
「え? ジョージさんこそ、何をそんなに驚いているんですか?」
もしかしてジョージさん。
私が心の底から人を想って、人のために、自分を犠牲にして行動する善人……
だなんて。
そんなふうに捉えていたわけじゃないですよね?
「私はあくまで、どこにでもいる、ただの自分勝手で自己チューな人間ですよ?」
だからいくらナオきゅんに冷たくされても構わないし。
本当は砂金さんのためにならなくても、つい口を挟みたくなってしまうのです。
すべては自分のため。
私自身が満足して、すっきりするために。
私は他人に干渉して、口出しして、あれこれといらない世話を焼くのです。
そこに……
ジョージさんの言う『正しさ』や『合理性』なんて、関係ないのです。
カノンちゃんもまた、完璧な善人ではありません。
だからといって悪人というわけでもありませんが。
お読みいただき、ありがとうございます。




