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〈chapter:05-05〉

【前回のあらすじ】


ロッキーが仲間になりたそうにこちらを見ている。

「へー。そうやって砂金のやつ、ロッキー先生のところに弟子入りしたんですか」

「そや。いやー、あんときは笑うたでぇ。そりゃあ編集部にマンガの持ち込みするヤツはようけおるやろうけど、まさか漫画家の家に原稿持ってきて『弟子にしてください!』やで? しかもピッチピチの美少女とくれば、そりゃあ弟子にするしかないやろ!」

「くっ……なるほど、その手があったか……」


 いやいやナオきゅん、そこは唸る場面じゃないですよ?

 ロッキーさんが大物だから笑ってますけど、それ、ふつうに犯罪行為ですからね。

 個人のプライバシーを侵害してますからね?

 っていうか砂金さん、どうやって漫画家さんの住所を調べたんでしょうか。

 もしかして本格的な、ストーカーさん? 

 だとしたら私のまわり、ストーカー気質の人間多すぎやしませんか?


 ともあれ私とナオきゅん。

 そしてなぜかロッキーさんが、並んでジョージさん宅への道のりを歩きます。

 ロッキーさん曰く「え? ジョージのとこにこのボウズを連れてく? なんや、えらいオモロそうなイベントやないか。ワイも連れてってぇな! ぜったい役に立つと思うでぇ!」とのことなので、そういうことになりました。


 私としてはナオきゅんとのデートに第三者が加わることは望ましくないですし、ロッキーさんが何の役に立つのかさっぱり不明ですが、しかしナオきゅんとしては憧れの漫画家さんと同伴できることいたく喜んでおられましたし、そもそも先にロッキーさんに勘違いで非礼を働いてしまった私としては、それを拒否する権利はありません。


 というわけでなし崩し的に結成された三人パーティー(カップル+部外者)。

 しかし思いのほか、会話は弾んでいます。


「でも、納得がいきました。あの狐来先生が、なぜ六道先生にだけ自分の作品の漫画化を許可しているのか……それは弧来先生とロッキー先生が、プライベートでもご友人だったからなんですね」

「んー、まあそれだけでもないんやけどのぅ。でもま、たしかに今の業界に、ジョージの原作を漫画にできる人間はワイしかおらんやろうからな。人間関係的にも、技術的にも」

「たしかに狐来先生原作、六道先生作画で発表された連作短編集『七色蜥蜴』は、おふたりにしか成し得ない完成度だったと思います。ホラーあり、ミステリあり、コメディあり、バトルあり、推理ありの集団群像劇が、ラストでまさかあそこまでキレイにまとまるだなんて……正直、鳥肌が立ちました!」

「ははっ。そりゃワイの手柄やない。ジョージの構成力の賜物や」

「そんなことありませんよ! たしかに狐来先生の構成力は素晴らしいですが、それを読者に『魅せ』て『惹き込んで』いるのは、ロッキー先生の画力です! それに、少し前に最後の単行本が発売された『百花繚乱』の主人公をはじめとしたメインキャラクターたち! 俺は前もってその原作を読ませていただいていましたが、そのあとで連載が始まった漫画を見たとき、痺れましたよ! まさか原作のイメージを、あそこまで破壊するなんて!」

「ははっ。ありゃあ賛否両論やったなぁ」

「それは上っ面だけで作品を評価している人間の、浅はかな意見ですよ! むしろああした発想は、ちゃんと作品を読み込んでいないとでてきません。げんに連載終了間際になると、アンチはほとんどいなかったじゃないですか」

「まーそもそもアンチのヤツらは、とっとと漫画から離れたからのぅ」

「それでも最終的な結論は、数字が証明しています。第一巻の増刷が五回越えしていることからも、読者がそれをどう評価しているのかは明らかじゃないですか」

「んー、まあファンにそう言ってもらえると、とりあえず嬉しいわぁ」


 ……。

 というか私、さっきから、まったく会話に入れません。

 活き活きとナオきゅんが振る話がディープ過ぎて、予備知識のない私は参加できないのです。


 当初はそれでも頑張って強引に会話に参加したり、しきりに相槌を打ったりしていましたが、けっきょくは微妙な笑顔のままフェードアウト。こうして前を歩くロッキーさんたちの背後をキープです。


「あはははは!」


 っていうかナオきゅん、さっきからなんなんですかその満面の笑みは!?

 そんないい笑顔、少なくともここ半年は私に見ていませんよ?

 ちょっとぐらいこっちを気にして! 

 私を忘れないで!


「あ、あのっ!」


 とうとう空気扱いに耐え切れなくなって、私は前をゆくふたりに声をかけてしまいます。

 ですがただたんに興味を惹きたかっただけので、あとが続きません。

 ロッキーさんは笑顔で待ってくれていますが、ナオきゅんは「なんだよバカノン。言いたいことがないんなら黙ってろよ」と冷ややかな目で語っています。

 こういうとき、以心伝心は辛いです。

 

 くっ……

 このまま引き下がってなるものですか!

 私は無理やり話題を捻り出します。


「そ、そういえばさっきの砂金さんとの口論って、なんだったんですか?」


人って、テンパるとだいたい自滅しますよね?

作者の実体験でした。


お読みいただき、ありがとうございます。

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